トリップ先の私は既に他の人と結婚していた件

アールグレイ

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乾燥

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「部屋を出るってあの人誰なの」
化粧水と乳液慣れた手つきで顔に触れることに違和感を感じる。
「逃げないと、ここから逃げないとっ」
ベッドのそばにある窓を開けると、とても高層階で逃げれそうにない。
というより、あの男の人は誰なの…。もしかして。
扉を勢いよく開ける。
「か、川神さん」
「えっ……?」
驚いたように後ろを振り返る彼。
「違うの?」
「そ、そうだよ」
「ここはどこ、私どうして……」
「み……安藤さん」
「何ですかっ、これは悪い夢?どうしてあなたが隣に寝てたの?もしかして私を拉致したの?!」
「えっ?」
吹き出しそうなあの憎たらしい表情を一瞬見せる。
「ちょっとあんた……!拉致したのになんて態度よ!」
指を指し、彼を見下ろす。
「何?」
不機嫌そうに下から見上げる彼は綺麗だった。何故か心に響く何かがあるように感じ、目を逸らした。
「とっとと家に帰しなさいよ!今帰したら許してあげる」
真っ先に警察に突き出してやるわ。なんてことするのよ。イケメンだからって拉致をして言い訳ないじゃない。
「良いよ」
「本当に?!」
「ただし1週間はここにいろ」
「はあ?!!!」
何言ってるのこの馬鹿。そんなこと出来るわけないでしょ。早く帰らないとお母さんに怒られる。というか何故骨折していたはずなのに歩けてるのだろう。急に痛みを感じる足。
「痛いっ」
両手で足を抑える。その時左手に違和感があった。何これ……。
「あんた攫った挙句にこんなお遊びまで私にさせたの?」
おぞましく感じ、指輪を外しリビングの扉を開け出ていこうとする。
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