146 / 182
母の思い
しおりを挟む
「おい、そこ寝転ぶな」
痛みで悶えてる私に涼しい顔でそういう川神。
「貴方私のこと何だと思ってるの」
人がこんなに痛がってるのに、なんて奴なの。
「決まってるだろ、被検体だよ」
「最低っ!!」
思わず枕を投げつける。
「悪いけど、ちゃんと安静にしてくれる?血圧上がるよ?」
何食わぬ顔で枕をキャッチし、そのまま廊下に出ていこうとする。
「あんたが上げてるんでしょ!ち、ちょっと…!」
「何ですか?食事持ってきたいんですけど、僕一応まだ学生なんですよね、入り浸れないんですよね」
「枕返して!」
「返してくださいだろ」
「何ですって!?」
いつの間にか足の痛みを忘れて、兎に角目の前のこの人の言いなりにはなりたくない。そんな気持ちに駆られていた。
「はあ、呆れた。骨折したにも飽き足らずなんてざまなの」
川神の後ろから現れたのは私の母だった。
「すみませんね、うちの娘が」
如何にも不機嫌そうに眉間に皺を寄せて、スーツのままこちらに向かってくる。
「いえ、お元気なお嬢さんで何よりです。ただ、検温だけは」
「早く検温しなさい、たくっ。あんた来年受験なのよ!どうするつもりなのよ。すみません、ちょっと席を外していただいても良いでしょうか」
「ええ」
そう言うと元の場所に枕を戻し立ち去る彼。
「みみ、あんたね。聞いたわよ」
そう言うと近くにある椅子に腰をかける母。
「何よ」
「何よじゃないわよ、あんたって子は。好きな人追いかけて道路飛び出したんでしょう。呆れてモノが言えないわ」
けれど、母は泣きそうだった。
痛みで悶えてる私に涼しい顔でそういう川神。
「貴方私のこと何だと思ってるの」
人がこんなに痛がってるのに、なんて奴なの。
「決まってるだろ、被検体だよ」
「最低っ!!」
思わず枕を投げつける。
「悪いけど、ちゃんと安静にしてくれる?血圧上がるよ?」
何食わぬ顔で枕をキャッチし、そのまま廊下に出ていこうとする。
「あんたが上げてるんでしょ!ち、ちょっと…!」
「何ですか?食事持ってきたいんですけど、僕一応まだ学生なんですよね、入り浸れないんですよね」
「枕返して!」
「返してくださいだろ」
「何ですって!?」
いつの間にか足の痛みを忘れて、兎に角目の前のこの人の言いなりにはなりたくない。そんな気持ちに駆られていた。
「はあ、呆れた。骨折したにも飽き足らずなんてざまなの」
川神の後ろから現れたのは私の母だった。
「すみませんね、うちの娘が」
如何にも不機嫌そうに眉間に皺を寄せて、スーツのままこちらに向かってくる。
「いえ、お元気なお嬢さんで何よりです。ただ、検温だけは」
「早く検温しなさい、たくっ。あんた来年受験なのよ!どうするつもりなのよ。すみません、ちょっと席を外していただいても良いでしょうか」
「ええ」
そう言うと元の場所に枕を戻し立ち去る彼。
「みみ、あんたね。聞いたわよ」
そう言うと近くにある椅子に腰をかける母。
「何よ」
「何よじゃないわよ、あんたって子は。好きな人追いかけて道路飛び出したんでしょう。呆れてモノが言えないわ」
けれど、母は泣きそうだった。
0
お気に入りに追加
68
あなたにおすすめの小説


夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です

淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。

白い結婚は無理でした(涙)
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、フィリシアは没落しかけの伯爵家の娘でございます。
明らかに邪な結婚話しかない中で、公爵令息の愛人から契約結婚の話を持ち掛けられました。
白い結婚が認められるまでの3年間、お世話になるのでよい妻であろうと頑張ります。
小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
現在、筆者は時間的かつ体力的にコメントなどの返信ができないため受け付けない設定にしています。
どうぞよろしくお願いいたします。

悪役令嬢カテリーナでございます。
くみたろう
恋愛
………………まあ、私、悪役令嬢だわ……
気付いたのはワインを頭からかけられた時だった。
どうやら私、ゲームの中の悪役令嬢に生まれ変わったらしい。
40歳未婚の喪女だった私は今や立派な公爵令嬢。ただ、痩せすぎて骨ばっている体がチャームポイントなだけ。
ぶつかるだけでアタックをかます強靭な骨の持ち主、それが私。
40歳喪女を舐めてくれては困りますよ? 私は没落などしませんからね。

明日結婚式でした。しかし私は見てしまったのです――非常に残念な光景を。……ではさようなら、婚約は破棄です。
四季
恋愛
明日結婚式でした。しかし私は見てしまったのです――非常に残念な光景を。……ではさようなら、婚約は破棄です。


お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる