トリップ先の私は既に他の人と結婚していた件

サンドイッチ

「安藤ちゃん着替えないの？」
先輩が気付いたら脱衣場から出てきていた。
「あっ、きゃああ…」
下着姿で着替えていないことに気づき、慌てふためいてしまう。
「ちょっとそのままで待ってて」
そう言うと先輩はおもむろに部屋を出ていく。一体どこに行くというのだろうか。もしかしてと思ったがそうだとしたら
その間少し肌寒いため布団を被り待っていることにした。
「どうしよう…」
今日この後のことを全く考えてなかった。この後私はどうなるのだろうか。怒られるのは間違えない。と言うか今更だがこれは不倫になるのでは無いのだろうか。バレたらとんでもなく大変なことになる。
そんな事を考えているうちに楓先輩が帰ってきた。
「おいで」
手招きをする楓先輩。
「無理です」
布団にくるまり顔だけ出して彼に返事する。
「何してるの、可愛いな」
先輩が柔らかく微笑み、私の頬を両手で挟む。
「うむむ…」
サンドイッチにされた気分だ。あははと笑いながら布団に潜り込もうとしてくるため阻止する。
「ちょっと冷えたの、入れて」
「やだっ 」
「何で？」
「手を洗ってきて下さい！」
「はーい、じゃあその後入れて」
そう言うと洗面所に向かう先輩。その隙に着物もう一度を着る。
「安藤ちゃん、ほら」
戻ってきた時手をこちらにかざし、手を洗ったアピールをしてくる先輩。
「あははっ」
思わず笑いが込み上げてしまう。もう成人しているというのにましてやいつもの先輩からは到底する行動とは考えられないからだ。