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苛まれた心

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「おいで」
私の涙をそっと拭い、優しく抱きしめてくれる。
「怖かったね、今も怖いよな」
そう言いながら優しく言葉をかけ涙が止まるのを待ってくれている。
「はい」
幸せなはずなのに、とてつもない恐怖と焦りに襲われる。
そのまま何も言わずに私を抱きしめたまま、黙ってくれている。涙が全然止まらず謝る私にひたすら優しく接する先輩。
「幸せだよ」
そういった彼の瞳にもうっすらと涙が浮かんでいた。
優しく呟いてくたその一言に安堵を覚える。
「ふふ」
思わず微笑んでしまった。
「ねえ、もう1回する?」
楓先輩が柔らかく微笑みながら私の指を口に含む。
「あっ…」
「そんな不安なんて無くなるくらい優しくする」
羽織っていた着物を優しく脱がされ、鎖骨にキスを落とされる。
「やっ…」
「可愛い声出たね」
そう言うと私のおでこにキスをする。
「抱き締めて」
思わずそう言葉が出る。
「良いよ」
肌と肌の体温が交わり、とても温かい。頬に頬を擦り寄せてくる先輩が可愛くてたまらない。
「このまま抱きしめててあげる」
「ありがとうございます」
「ねえ」
「はい」
「この後どうしようか」
その言葉に色んな意味が含まれており、即答なんて勿論出来なかった。
「ふふ」
「意地悪」
先輩てこんな風に笑うんだ、と改めて思った。私は彼の背中に手を回しいつの間にか笑顔になっていたことに感謝しながら思いっきりハグをする。
「おおっ、強いな」
びっくりした様子だけど、嬉しそうな先輩。時計の秒針を刻む音がやけに耳に入ることは今は忘れたい。

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