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本音

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「よしっ、バッグも見つかったしこれでっ」
そう思い、ウォークインクローゼットを閉めようとしたときだった。ポトッと音もなく河豚の人形が落ちる。
「何これ、可愛い」
ぷにぷにすると目が飛び出てきてずっと遊んでいたくなる。
「いかん、こんなことしてる場合じゃ」
河豚のキーホルダーも元通りバッグの中に入れてまた寝室から出る。
遥さんはこちらに来る様子も無い。よしっ、やはり今のうちに外に出てしまおう。申し訳ないけど、私にとってここは落ち着ける場所じゃない。夢を操れるタイプの今回は夢だから好きにさせて貰おう。座って靴を履いてるときに後ろからカチャという扉が開く音がする。
「何処に行くの」
「決まってます、出ていくんです」
「行く当ては?」
「そんなの知らないです」
「みみ行かないで」
「いや、行きま…」
その言葉を無視して、立とうとしたときに後ろから抱き締められていた。
「怒らせたなら謝るよ、だけど勝手に出ていかないで。お願いだから傍に居て欲しい。戸惑ってるんだよね、この状況に」
「そうです、怖いんです。急に目が覚めたらこんなところに居て夢かと思ったら違うし」
気が付くと涙が溢れてきた。何でだろう、安心したのか。それとも悔しいのだろうか。どちらもが混じったように私の心ををかき乱す。
「うん、良いよ。ここで聞いてるから言ってごらん」
「皆何処なの、お母さん、お父さん、菜都、楓先輩っ。私だけなの、意識がこんな風になってて不安なのは」
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