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焦燥
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「はい」
「彼の話をすると安藤さんは表情が動きやすいので心のリハビリにもよいかと思ってましたが、とんだでしゃばりだったようですね」
「いかにも」
やり過ぎてしまったかなと少し思ったけれど、嫌われるためにはちゃんとしないと。
「ならあんたは何が好きなの」
「え?」
「他に何が好きなのかって聞いてるんだけど」
「私はそ、そうですね」
そうだった、この時有名なお店のチーズケーキが食べたいと言ったら本当に買って来たと言っていた。そんなことされてしまっては、下手に牽制できない。はるくんがその時がきっかけで私と話せるようになってきたと言っていた。
「美術品が好きで美術館に行くのが大好きです」
さすがにこの骨折してまだ歩けないわたしに対して美術館に行こうなどは言わないはず。
「そうなんですか」
「はい、常用展示されてる作品はもう何度も見ました。特別展や阿修羅展。絵画も好きです」
「どんな手法で描いてる画家が好きなの」
「えーっと、エッシャーとかですかね」
手法ってなに。油絵とか、水彩画とか、版画とかそうゆうことなのだろうか。
「面白いよね、行ったの?」
「そうですね」
中学生の教科書とかでよく表紙になってたのが彼の作品が多かった。見たことある作品も多くだまし絵がとても楽しかった。
けれど、何故か一番頭に残ってたのは恋人と過ごした景色を描いていたものだった。
「でも安藤さんはもっと派手だったり、こだわらない作品が好きなのかと」
その通り。昔行ったエジプト展の死者の書が三十七メートルもあると言われてたから。巨大な巻物みたいになってるのかと思ってわくわくして行ってみたら区切られて部分的に額縁みたいに貼られててガッカリしたとかそんなこと言いたかった。
「平日の朝とか夜の展示とか一緒に行きますか?」
外出許可も僕が行くなら、手続き大丈夫なので、お友達も呼んだらどうですか。とまで言われた。
「彼の話をすると安藤さんは表情が動きやすいので心のリハビリにもよいかと思ってましたが、とんだでしゃばりだったようですね」
「いかにも」
やり過ぎてしまったかなと少し思ったけれど、嫌われるためにはちゃんとしないと。
「ならあんたは何が好きなの」
「え?」
「他に何が好きなのかって聞いてるんだけど」
「私はそ、そうですね」
そうだった、この時有名なお店のチーズケーキが食べたいと言ったら本当に買って来たと言っていた。そんなことされてしまっては、下手に牽制できない。はるくんがその時がきっかけで私と話せるようになってきたと言っていた。
「美術品が好きで美術館に行くのが大好きです」
さすがにこの骨折してまだ歩けないわたしに対して美術館に行こうなどは言わないはず。
「そうなんですか」
「はい、常用展示されてる作品はもう何度も見ました。特別展や阿修羅展。絵画も好きです」
「どんな手法で描いてる画家が好きなの」
「えーっと、エッシャーとかですかね」
手法ってなに。油絵とか、水彩画とか、版画とかそうゆうことなのだろうか。
「面白いよね、行ったの?」
「そうですね」
中学生の教科書とかでよく表紙になってたのが彼の作品が多かった。見たことある作品も多くだまし絵がとても楽しかった。
けれど、何故か一番頭に残ってたのは恋人と過ごした景色を描いていたものだった。
「でも安藤さんはもっと派手だったり、こだわらない作品が好きなのかと」
その通り。昔行ったエジプト展の死者の書が三十七メートルもあると言われてたから。巨大な巻物みたいになってるのかと思ってわくわくして行ってみたら区切られて部分的に額縁みたいに貼られててガッカリしたとかそんなこと言いたかった。
「平日の朝とか夜の展示とか一緒に行きますか?」
外出許可も僕が行くなら、手続き大丈夫なので、お友達も呼んだらどうですか。とまで言われた。
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