108 / 182
分岐
しおりを挟む
本当は優しく振る舞いたいけれども、確実に嫌われるためには、心を鬼にして振る舞うしかないのだと思う。
「安藤さん、林檎剥けました」
丁寧に林檎を剥いてくれて、お皿に盛ってくれた。中には兎の林檎まで作ってくれていて可愛い思わず叫びたくなった。
「楓先輩に剥いてもらいたかった…」
けれど、少しでも関わる機会を作ると後々あんな事になってしまう。わざと怒らせるような態度を取るために本当に悲しそうにそう言う。
「さっき来て頂いた方ですね。気持ちは分かりますよ」
勉強道具を出しながら、伏し目がちにそう言う。
「……」
「兎に角あまり騒ぐようで僕の言うことを聞きたくないなら担当を変えるという手もあります」
「それは良かったです。出来るだけ早くそうしてください」
本当に良かった。担当が変わったら毎回顔を合わせることも無いだろうし。このまま行けばきっと結婚なんていう事にはならないだろう。
「…さっきの人がこの間話してた彼でしょう」
少し間を置いて川神さんがそう言う。
「そうですよ」
「この間僕の大学のオープンキャンパスに来てました」
「そうなんですか」
「ええ、安藤さんもそこを目指したいのなら今の学力だと足りませんよ」
「知ってます」
「ですから、勉学の間だけでも僕のいうことを聞いてください。途中で投げ出すのが一番嫌いなんです。その間だけ、言うこと聞いてくれたら大丈夫なので」
何故か怒りと悲しみが混じったような表情をする川神さん。
「安藤さん、林檎剥けました」
丁寧に林檎を剥いてくれて、お皿に盛ってくれた。中には兎の林檎まで作ってくれていて可愛い思わず叫びたくなった。
「楓先輩に剥いてもらいたかった…」
けれど、少しでも関わる機会を作ると後々あんな事になってしまう。わざと怒らせるような態度を取るために本当に悲しそうにそう言う。
「さっき来て頂いた方ですね。気持ちは分かりますよ」
勉強道具を出しながら、伏し目がちにそう言う。
「……」
「兎に角あまり騒ぐようで僕の言うことを聞きたくないなら担当を変えるという手もあります」
「それは良かったです。出来るだけ早くそうしてください」
本当に良かった。担当が変わったら毎回顔を合わせることも無いだろうし。このまま行けばきっと結婚なんていう事にはならないだろう。
「…さっきの人がこの間話してた彼でしょう」
少し間を置いて川神さんがそう言う。
「そうですよ」
「この間僕の大学のオープンキャンパスに来てました」
「そうなんですか」
「ええ、安藤さんもそこを目指したいのなら今の学力だと足りませんよ」
「知ってます」
「ですから、勉学の間だけでも僕のいうことを聞いてください。途中で投げ出すのが一番嫌いなんです。その間だけ、言うこと聞いてくれたら大丈夫なので」
何故か怒りと悲しみが混じったような表情をする川神さん。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
64
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる