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「安藤ちゃん、また来る。本当は林檎剥いてあげたかったけど思ったより時間経ってるから」
そう言うと楓先輩は、座っていた椅子から腰を上げて川神さんが出ていって間もなく帰ろうとする。
「楓先輩」
   引き止めたいけれども、彼女でもなんでもない私がこうやって先輩を引き止める訳には行かない。咄嗟に出た言葉に自分でも驚いた。
「何どうしたの、一人は寂しい?」
「はい…」
「そう」 
    楓先輩は少し困ったように微笑む。
「嘘ですよ、帰ってください。楓先輩のお母さん心配します!」
「あはは」
楓先輩は、笑いながら椅子を畳んでまた来ると手を振って扉を後にした。
「ふう…」
   思わず息がこぼれる。この数ヶ月本当に未来と過去を行き来している。
 前までは未来の記憶など無かったのに、私にもはるくんいや川神さんと同じようにバグが起こっているのだろうか。何度も繰り返されるあの一週間。
 そして必ずはるくんが倒れてしまう。
毎回同じように未来へ行っても最初の二日は高校生の時の私が反映されて必ずと言っていいほど楓先輩を探し出そうとする。
 結論に至った考えとして、もうこうなったら川神さんに好かれないようにしたら良いのではという方向に行った。今までの出会いや経緯を剛さんと川神さん本人から聞き、それ通りにしないようにすることで結婚する未来自体を無くせば、あのような結果にはならないはず。
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