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嬉しい報告
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「安藤ちゃん」
ある日いつものように過ごしていた所。私の部屋の扉がスライドした。見上げるととても会いたかった黒髪で少しミステリアスな彼が立っていた。左手には、ビニール袋。少し透けて見えるのは丸くて赤い色。
「楓先輩!!」
あまりの嬉しさに骨折してたことを忘れ、飛び上がり激痛に襲われる。
「大丈夫…?」
「はい、大丈夫です」
膝を抑えながらそう言う。
「とても大丈夫そうに見えないけど」
楓先輩は、ナースコールを押そうとさえしている。その手を制して近くにあった椅子を楓先輩の方にずらす。
「座って下さい」
「うん」
「安藤ちゃん、林檎剥こうか?入院の王道と言ったらこれかと思ってさ。買ってきてみた」
「楓先輩がですか?」
「そう」
「あの、私がやります」
前調理実習で大苦戦したというのを聞いてそれ以来楓先輩は、料理が苦手だということがわかった。
「どうして…?俺だって林檎くらい剥ける」
意地になったのか、カットナイフで林檎の皮を剥こうとした。
「楓先輩!!私林檎剥きたいんです!楓先輩にあーんしたいんで」
「嫌だ」
「何でですか、じゃああーんは無しにしますから」
「無理」
「楓先輩…私病人」
わざと痛みで苦しそうな演技をする。
「……」
その様子を見て楓先輩が、林檎から意識が私に変わる。
「先輩隙ありっ…」
一瞬怯んだ隙に林檎を取る。
「返して」
「やですっ」
「じゃあ、林檎剥けないね」
楓先輩は、手を後ろにして背中にナイフを隠す。
「ナイフ貸してください」
「嫌だ」
楓先輩はそっぽをむく。その横顔でさえも美しい。
「そんな事言わないで。さあっ」
内心きゅんきゅんしながら、楓先輩からどうにかナイフを取ろうとしていた所にまた扉が開く音がする。
ある日いつものように過ごしていた所。私の部屋の扉がスライドした。見上げるととても会いたかった黒髪で少しミステリアスな彼が立っていた。左手には、ビニール袋。少し透けて見えるのは丸くて赤い色。
「楓先輩!!」
あまりの嬉しさに骨折してたことを忘れ、飛び上がり激痛に襲われる。
「大丈夫…?」
「はい、大丈夫です」
膝を抑えながらそう言う。
「とても大丈夫そうに見えないけど」
楓先輩は、ナースコールを押そうとさえしている。その手を制して近くにあった椅子を楓先輩の方にずらす。
「座って下さい」
「うん」
「安藤ちゃん、林檎剥こうか?入院の王道と言ったらこれかと思ってさ。買ってきてみた」
「楓先輩がですか?」
「そう」
「あの、私がやります」
前調理実習で大苦戦したというのを聞いてそれ以来楓先輩は、料理が苦手だということがわかった。
「どうして…?俺だって林檎くらい剥ける」
意地になったのか、カットナイフで林檎の皮を剥こうとした。
「楓先輩!!私林檎剥きたいんです!楓先輩にあーんしたいんで」
「嫌だ」
「何でですか、じゃああーんは無しにしますから」
「無理」
「楓先輩…私病人」
わざと痛みで苦しそうな演技をする。
「……」
その様子を見て楓先輩が、林檎から意識が私に変わる。
「先輩隙ありっ…」
一瞬怯んだ隙に林檎を取る。
「返して」
「やですっ」
「じゃあ、林檎剥けないね」
楓先輩は、手を後ろにして背中にナイフを隠す。
「ナイフ貸してください」
「嫌だ」
楓先輩はそっぽをむく。その横顔でさえも美しい。
「そんな事言わないで。さあっ」
内心きゅんきゅんしながら、楓先輩からどうにかナイフを取ろうとしていた所にまた扉が開く音がする。
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