トリップ先の私は既に他の人と結婚していた件

会えない期間

「少なくとも半年は入院してもらわないといけません」
次の日の朝、雲ひとつない快晴の空が窓の枠の外に広がる中そのように言われた。
「そうですか…」
外に出たい、髪の毛のアレンジをして苦手な教科と戦ってなつとお喋りして。楓先輩に会いたい。
「はい、急に飛び出したと伺いました。何故だったんですか」
「実はあのテレビに出てるイケメン俳優居るじゃないですか。その人だと思って思わず飛び出しちゃって」
   わざわざ、本当のことを言ったところで何の解決にもならないし、楓先輩にはもう知られちゃってるけど。
「少し考えたら分かりますよね、危険だということは」
川神さんのお父さんだろう院長先生が来た。やはり似てる。特に目元と整った唇。歳とったらこんな感じなんだろうか。川神さん絶対頑固なおじいちゃんになりそう。
「分かってます…ごめんなさい」
「黒髪の安藤さんと同じ高校の服を着た男性が心配してましたよ」
「えっ、あのっ」
「僕の息子に勉強教えさせます。高校二年生ということは来年受験ですよね」
「はい、結構です。親戚とかでもあるまいし」
   そんな事より絶対今の楓先輩の事だよね。その話を聞きたいよ。
「そうだったんですか、やはり女の人がいいですか。ですが、あの子は塾の講師もオンラインでしたりと評価もいいんです」
「凄いですね」
  どうやったらそんな子が育つのか。私のように恋愛ばかに理解できるのか。
「うん、だからきちんと勉強するんだ。不安要素を無くすために。ああ、勿論お金は取らないからね」