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侵入者

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「あ~、プリン発見!食べちゃお~」
「ちょっとみみ!!なつのは、食べないでよ!」
「え~どうしようかな」
「二つともお友達が食べてください」
気が付くと、扉にさっきの川神とかいうチクリ魔じゃなくて。煩い人が居た。
「え、やだ。恥ずかしい。ごめんなさい、煩かったですよね」
  なつは、急いで髪の毛と身嗜みを整える。
「煩くないよ、この人が勝手に扉開けただけよ」
「検温の時間なので」
「だから何ですか」
「舌出してください、すぐ終わるので」
   当たり前のように顔色ひとつ変えずに私に近づいてくる。
「きゃあー!私はお邪魔かしら」
   なつは、私の傍からそそくさと離れる。それを逃さずスカートを掴む。
「自分でします」
   川神さんに向かって手を出す。さっき謝りたいという気持ちが湧いていたはずなのに何故だろう。
「いえ、これも仕事なので」
   作られた笑顔のまま、そう答える。
「なら良いです」
   出していた手を引っ込める。
「そうですか」
「どうぞ、お帰りくだ…え?」
   川神さんは、私のボタンを一つ外し脇に体温計を挟んできた。
「ちょっと何するんですか」
思わず、自分を抱きしめる。
「そう、そのまま挟んで。貴女が舌出さないからここに長居する選択肢になったんですよ」
「あらら、みみ。どんまい」
「なつ」
「ところで、箸が進んでないですね。下げても?」
「駄目です 」
「きちんと食べてください、安藤さんの体調管理も仕事なんです」
「食べたくても食べれないんです」
   主に来訪者が止まないからなのだけれど。
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