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動き始めた時間
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「え、そんな。医学生にしても早すぎなのではないでしょうか」
頂きますと言ったあと、銀のスプーンと、赤いお箸を手に取る。
「はい、僕はまだ見習いです。ここは、父の病院なので安藤さんの本当の担当の方と一緒にサポートしていく形になります」
今日の献立は、サバの味噌煮に豆腐とワカメネギのお味噌汁。ご飯はおかわり可能です。ふりかけもありますよ。と慣れたように言う。
「そうなんですか」
出来たら女性の看護師さんが良かったな。
「僕カウンセラーの資格もあるので、精神的な面でも助けられると思います。なんでも話してくださいね」
任せろと言わんばかりに、そう言ってくる川神さん。
「いや、あの…」
「安藤さんの担当の山本というものが後で来ると思います。彼女に話すのもいいと思います」
何か笑顔が作られ過ぎて、とても嫌悪感がする。苦手だ。多分、モテるから自分の知らぬうちに牽制してるのだろう。
生憎、私は楓先輩が好きだからそんな心配いらないと思う。こんな風に仮面を被って接されてしまうとどうしてこうも言葉が出ないのだろう。
「あの、川神さん」
「はい」
「私、好きな人居るので。そんな風に作り笑いとか要りません。必要最低限にしてください」
「…はい?」
この時、川神さんの眉間に皺が寄っていたのは言うまでもない。
そう今思うと、私たちの出会った頃の印象は最悪だったと思う。
頂きますと言ったあと、銀のスプーンと、赤いお箸を手に取る。
「はい、僕はまだ見習いです。ここは、父の病院なので安藤さんの本当の担当の方と一緒にサポートしていく形になります」
今日の献立は、サバの味噌煮に豆腐とワカメネギのお味噌汁。ご飯はおかわり可能です。ふりかけもありますよ。と慣れたように言う。
「そうなんですか」
出来たら女性の看護師さんが良かったな。
「僕カウンセラーの資格もあるので、精神的な面でも助けられると思います。なんでも話してくださいね」
任せろと言わんばかりに、そう言ってくる川神さん。
「いや、あの…」
「安藤さんの担当の山本というものが後で来ると思います。彼女に話すのもいいと思います」
何か笑顔が作られ過ぎて、とても嫌悪感がする。苦手だ。多分、モテるから自分の知らぬうちに牽制してるのだろう。
生憎、私は楓先輩が好きだからそんな心配いらないと思う。こんな風に仮面を被って接されてしまうとどうしてこうも言葉が出ないのだろう。
「あの、川神さん」
「はい」
「私、好きな人居るので。そんな風に作り笑いとか要りません。必要最低限にしてください」
「…はい?」
この時、川神さんの眉間に皺が寄っていたのは言うまでもない。
そう今思うと、私たちの出会った頃の印象は最悪だったと思う。
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