トリップ先の私は既に他の人と結婚していた件

アールグレイ

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「みみ、今日までは一緒にいて欲しい。折角だから、三人で寝よう」
   そんな事を言いはじめたはるくんに、いつもなら突っ込む所の剛さんも口を噤んだ。
「ああ、せやな。でも、ベッド三人は狭いで」
   突っ込みはしなかったものの、本当に真剣に考え始めた剛さん。
「そうですよね」
しかし、私も昨夜はるくんと一緒に寝た時にパジャマを出したけど、クローゼットの中に簡易ベッドの折り畳みの様なものは無かったし、かと言ってないとは言いきれない。
「ああ、嬢ちゃん潰してまうわ」
それはあかんやろと言って、やっぱり帰ると立ち上がる剛さん。
「はは、冗談だよ。剛には客間に布団を敷くよ」
   はるくんが、悪戯っぽく笑う。その間も、手は優しく握られており彼の温かさが伝わってくる。なのに、何故だろう。手を離した瞬間何処が遠くへ飛んでいきそうな気がしてならない。
「何やねん、本気で今どうしようかと思っとったわ。タクシー呼ぶか、ソファで寝るか」
   剛さんも、すっかり騙されたようでぽかんとしている。
「ねえ、みみ。もし俺が捨てられてたら拾ってくれる?」
「えっ、勿論拾うけど、どうして?」
「みみは何て答えてくれるのだろうと思って」
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