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休息

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「みみはこうゆう話、楽しい時期だよね」
柔らかく微笑みながら、ふふと笑う。
「うん、好きだよ。それでその後は?」
   最後の食器を洗い終わって、食器乾燥機に入れる。
 それからはるくんの横に移動し、体をそちらに向け聞く体制に入る。
「その後はみみと付き合って、結婚して今に至るかな」
「え?」
   予想外だった、こんなに格好良くて優しい彼がそんなに恋愛経験が少ないなんて。
「冗談だよね、はる。絶対他に居たでしょう」 
   肩に触れて、表情を確かめるも全く動揺さえしない。
「ううん、居なかった。だから、全部みみが初めてだよ。キスもその先も」
そう言うとはるくんは本を閉じて、獲物が掛かったと言わんばかりに私の事をソファに押し倒す。
「はっ、はるっ…?」
「何したの、二人で」
はるくんは、私の頬を撫でてそのままその手が首を辿る。彼の顔が近付いてきて、思わず目を瞑る。
 その瞬間、柔らかくて暖かいものが首に当たる。
「ひゃあっ…」
「とぼけなくていいよ、あんなにしっかり結んだ髪が解けるようなことしたんでしょ」
私の髪ゴムを外しながら、冷静に問い詰めるように聞いてくるはるくん。
「……」
 「最後までした?」
    そう言いながら、太ももに手を這わせて来た。直接では無いもののひんやりとした手の感触に驚く。
「し、してない……キスはしたよ」
   肩を押して抵抗しようとするも、全くびくともしない。もう今嘘を言ったところで、逃げられない。そう確信した。
「そう」
   そう言うと、はるくんは私の両手を掴み唇を這わしてくる。凄く優しく蕩けるように。
「んっ…はるっ…?」
 感じ取れる怒りとは裏腹に優しいキスに何処か安堵した途端、先程首を伝っていたそれが口の中に入ってくる。逃げようとしても舌を絡められ、逃げられない。
息が苦しくなって、もっと口を開けるともっと激しく唇を角度を変えて這わしてくる。

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