80 / 182
休息
しおりを挟む
「ありがとう」
こんな事誰でも一度は言って欲しいのではないのだろうか。でも、それがはるくんのために変わりたいと願っているのではないと知りながらだったからか。目を合わせれなかったし、はるくんも視線を逸らした。
「どういたしまして」
何だか行き詰った気分だ。もう少しで、穴から出れると思ったらその空いてる穴はとても人が通れる穴じゃなくて小動物とか、虫だとかは難なく通れそう。人じゃとても通れない。
そんな所に居るのにもう後ろには得体の知れない怖さが迫ってる。そんな気分だ。
「そう言えば昔の彼女が言ってたんだ、欲しいのは物じゃなくて確かな言葉と態度だって」
はるくんが呟くように言う。
「当時ね、初めての彼女で俺なりに大事にしようと思って。バイトを根詰めて高いプレゼント買ったら喜ぶんじゃないのかって」
意外だった、そんな過去があったなんて。顔も性格も良いはるくん。
私のイメージではお戯れのように沢山の女の子に囲まれて、その中で一番美人で尽くしてくれそうな女の子と付き合って。
尚且つ頭を上手く使って甘えてそうだなと。
「でも違ったみたい、一緒に居れたらそれで良かったのにって。プレゼント受け取って貰えなくて。次の日にはもう別の人と付き合い始めたんだよね」
「そんなことがあったんだね、それではるはどうしたの」
「そのままにした。その後女の子が苦手になったかな。捨てても良いから当時は貰って欲しかったんだと思う」
はるくんは、また本を読みながらそう話を進める。
「うんうん、それはどっちも好きだけどすれ違っちゃったんだね」
何だか急に親近感が湧く。 小さい時から恋愛中心に生きてきた私にとってそのような思い出は沢山あった。
だからこそ、理解出来た。さっきの変な空気や恐怖感はいつの間にか一掃された。
こんな事誰でも一度は言って欲しいのではないのだろうか。でも、それがはるくんのために変わりたいと願っているのではないと知りながらだったからか。目を合わせれなかったし、はるくんも視線を逸らした。
「どういたしまして」
何だか行き詰った気分だ。もう少しで、穴から出れると思ったらその空いてる穴はとても人が通れる穴じゃなくて小動物とか、虫だとかは難なく通れそう。人じゃとても通れない。
そんな所に居るのにもう後ろには得体の知れない怖さが迫ってる。そんな気分だ。
「そう言えば昔の彼女が言ってたんだ、欲しいのは物じゃなくて確かな言葉と態度だって」
はるくんが呟くように言う。
「当時ね、初めての彼女で俺なりに大事にしようと思って。バイトを根詰めて高いプレゼント買ったら喜ぶんじゃないのかって」
意外だった、そんな過去があったなんて。顔も性格も良いはるくん。
私のイメージではお戯れのように沢山の女の子に囲まれて、その中で一番美人で尽くしてくれそうな女の子と付き合って。
尚且つ頭を上手く使って甘えてそうだなと。
「でも違ったみたい、一緒に居れたらそれで良かったのにって。プレゼント受け取って貰えなくて。次の日にはもう別の人と付き合い始めたんだよね」
「そんなことがあったんだね、それではるはどうしたの」
「そのままにした。その後女の子が苦手になったかな。捨てても良いから当時は貰って欲しかったんだと思う」
はるくんは、また本を読みながらそう話を進める。
「うんうん、それはどっちも好きだけどすれ違っちゃったんだね」
何だか急に親近感が湧く。 小さい時から恋愛中心に生きてきた私にとってそのような思い出は沢山あった。
だからこそ、理解出来た。さっきの変な空気や恐怖感はいつの間にか一掃された。
0
お気に入りに追加
68
あなたにおすすめの小説


夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です

淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。

婚約者が他の女性に興味がある様なので旅に出たら彼が豹変しました
Karamimi
恋愛
9歳の時お互いの両親が仲良しという理由から、幼馴染で同じ年の侯爵令息、オスカーと婚約した伯爵令嬢のアメリア。容姿端麗、強くて優しいオスカーが大好きなアメリアは、この婚約を心から喜んだ。
順風満帆に見えた2人だったが、婚約から5年後、貴族学院に入学してから状況は少しずつ変化する。元々容姿端麗、騎士団でも一目置かれ勉学にも優れたオスカーを他の令嬢たちが放っておく訳もなく、毎日たくさんの令嬢に囲まれるオスカー。
特に最近は、侯爵令嬢のミアと一緒に居る事も多くなった。自分より身分が高く美しいミアと幸せそうに微笑むオスカーの姿を見たアメリアは、ある決意をする。
そんなアメリアに対し、オスカーは…
とても残念なヒーローと、行動派だが周りに流されやすいヒロインのお話です。

白い結婚は無理でした(涙)
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、フィリシアは没落しかけの伯爵家の娘でございます。
明らかに邪な結婚話しかない中で、公爵令息の愛人から契約結婚の話を持ち掛けられました。
白い結婚が認められるまでの3年間、お世話になるのでよい妻であろうと頑張ります。
小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
現在、筆者は時間的かつ体力的にコメントなどの返信ができないため受け付けない設定にしています。
どうぞよろしくお願いいたします。

悪役令嬢カテリーナでございます。
くみたろう
恋愛
………………まあ、私、悪役令嬢だわ……
気付いたのはワインを頭からかけられた時だった。
どうやら私、ゲームの中の悪役令嬢に生まれ変わったらしい。
40歳未婚の喪女だった私は今や立派な公爵令嬢。ただ、痩せすぎて骨ばっている体がチャームポイントなだけ。
ぶつかるだけでアタックをかます強靭な骨の持ち主、それが私。
40歳喪女を舐めてくれては困りますよ? 私は没落などしませんからね。

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。

夫は私を愛してくれない
はくまいキャベツ
恋愛
「今までお世話になりました」
「…ああ。ご苦労様」
彼はまるで長年勤めて退職する部下を労うかのように、妻である私にそう言った。いや、妻で“あった”私に。
二十数年間すれ違い続けた夫婦が別れを決めて、もう一度向き合う話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる