トリップ先の私は既に他の人と結婚していた件

アールグレイ

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お別れ

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「分かりました、その代わりに楓先輩にお別れの挨拶をさせて下さい。このままなんて、あんまりです」
「あー、気持ちは分かるんやけどな。ちょいまち」
痛い所を突かれたと言わんばかりに、考える剛さん。
「んー、分かった。ほんなら、ちょっとここで待っとき。悪いようにはせんから」
後部座席に乗せられて、扉を締められる。
「ちょっと!!フグ太郎!!」
窓を叩くものの返事はない。騙された、なんて事だ。この人ははるくんの味方だった。彼の機嫌が治るまでは、何としてでも阻止するつもりなんだ。窓越しに、スマホを見せられる。何をするつもりなんだろう。
向こうの様子を見てみると、楓先輩に対してフグ太郎が話しかけて、何やらスマホをいじっている。数分たってこちらに笑顔で戻ってきた。
「ただいまー、嬢ちゃん。楓くんの連絡先もろてきたからそれでええやろ?」
「連絡先なら、はるくんが知ってますけど」
その時なんとも言えない空気が、車内に漂った。
「あちゃー、折角上手くいったとおもたんやけどな」
運転席に腰をかけて少し肩を落とす剛さん。図体が大きいのに何だかリアクションがいちいち子供みたいに大きいせいか可愛く見える。
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