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まこまこ

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「よお」
車を降りると、一人の男性が立っていた。
その人はいかにもボロボロな格好で寝癖が酷かった。髪の毛は、爆発したのか一部ちりちりになっていた。眉毛も心なしか踊っているように見える。
「おはよう、真」
楓先輩が、そう言うけどおはようとはとても言えない状況である。
「おはよう、こちらの方は?」
ふああと欠伸をしながら、彼は私の方を振り向きそう言う。
「高校の時の手の掛かる後輩だよ」
楓先輩にそんな風に思われてたなんて、微塵も知らなかった。これじゃあ、恋愛対象どころか下手したら友達にさえなれないのでは。
「可愛く着飾ってる彼女に対してその言い草とはな。なんと言うやらだ」
「その格好のお前に言われたくない」
仲良さそうに彼の肩を押す楓先輩。
「おっと、昨日寝てないんだから辞めろよな」
「また記憶ないとか言い始めるのか」
「ドグラ・マグラじゃあるまいし、俺はそんなじゃない。間違えても俺を研究の方にするなよ。俺はあくまでも研究者だ。ただ、忘れたい記憶は沢山あるな」
仲良さそうな二人を他所に完全に疎外感が否めない。
「楓先輩、私も混ぜてください」
「あははっ、この子面白いな」
「からかうな」
「ちゃんとしてる時に会いたかったよ」 
マジマジと見つめてくる真さんという人。
「辞めろ」
「まあ、そう過敏になるな。後で飲みもん買ってきてやるからさ」
「いい、それくらい自分で出来る」
「あはは、そうかよ」
「じゃあな、手の掛かる後輩ちゃん」
ひらひらと力なく手を振り、踵を返しふらりと建物の方へ向かう真さん。
「はい、また!」
「あんななりしてるけど、普段はちゃんとしてるんだ」
「え、そうなんですか」
「ただ、ちゃんとしてる時としてない時の差が激しいけどね。…真はモテるよ」
「そうなんですね」
「ああゆうのはタイプ?」
「えっ、えっ!?」
急にそんなことを言われて驚いてしまった。
「そうなんだ」
「いや、違います!」
私は楓先輩がー。
「だよな、安藤ちゃんのタイプは完全旦那さんでしょ」
「なっ…」
上げられたり、下げられたり船酔いしてる気分になる。
「楓先輩、私楓先輩が…」
「何?」
この状況で好きなんて言えないようにわざと測ってるとしか思えない。若干楓先輩から苛立ちのような感情が伝わってくる。
「楓先輩が幸せになれるように私も手伝いますね」
「何それ、生意気」
そう言って髪をクシャりとされた。


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