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研究室
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「うん。取り敢えずさ大学の研究室借りようと思うんだ。そこでそれを詳しく見せてもらってもいいかな」
指を刺したのはさっきから動かなくなって随分時間が経ったフグ太郎。
「はい·····」
「大丈夫だよ、ちゃんと返すから傷も極力つけ無いし」
頭を撫でられそうになったけれども、咄嗟に避けてしまった。
「あっ、ごめん。そうだった」
楓先輩は、ゆっくり手を下ろす。
「こちらこそごめんなさい」
なんとなく気まずい雰囲気になってしまい、心許ない。
「いや、こちらこそ」
楓先輩はそう言うと、私より少し斜め前を歩く。
「先輩、先輩が先程言っていた以外に何か情報は無いですか?」
楓先輩は、一瞬歩みを止めるがこちらを振り返らずに首を軽く横に振る。何か隠しているに違いない。少なくとも楓先輩自信に秘密があるというよりも、その周りの環境により秘密が出来たのではと考える。私の場合も、意識がこちらに来た時、そして実際に今話した内容も全てこちらの世界に起きてから起こったものである。
「どうしたもんかな」
ぽつりと呟いた楓先輩。その後何も無かったように話が切り替わり、この世界で流行ってる物や、消えて無くなったお店についてなどたわいも無い話で盛り上がった。生ぬるい風が頬に当たる。
「そう言えばその髪似合ってる」
「ありがとうございます」
「誰にしてもらったの?」
「こちらの世界の旦那さんです」
「そっか、手先器用な人なんだね。俺もやって貰いたいな」
「はい、女の子より女子力凄いです。先輩何するんですか?はるくん優しいからしてくれますよ」
「サイドの編み込み·····とか?」
一生懸命彼は考えてる。
「先輩は私がやりますよ 」
「ありがとう、頭にピンとか刺さないでね」
「刺しませんよ」
あははと久しぶりに笑った楓先輩を見た。
「そう言えば、安藤ちゃんさっきからケータイが鳴ってるけど大丈夫?マナーモードになってるから光ってるだけになってるよ」
「え·····?」
ふと鞄を漁るもそこには何も無い。
「外側」
「あっ、本当だ。いつの間に入れられてたんだろう」
急いで、確認すると不在着信が1件入っていた。
車持ってくるからここで電話してて。パーキングすぐそこだから。そう言うとそのまま、進んで行ってしまった楓先輩。
「誰だろう」
電話を掛け直すと着信中から通話中になる。
「もしもし·····」
「こんにちは」
電話から聞こえてきたのはよそうだにしない声。
「えっ?!」
「えっじゃないやろが」
「だって、そんな事って」
「あるわ」
指を刺したのはさっきから動かなくなって随分時間が経ったフグ太郎。
「はい·····」
「大丈夫だよ、ちゃんと返すから傷も極力つけ無いし」
頭を撫でられそうになったけれども、咄嗟に避けてしまった。
「あっ、ごめん。そうだった」
楓先輩は、ゆっくり手を下ろす。
「こちらこそごめんなさい」
なんとなく気まずい雰囲気になってしまい、心許ない。
「いや、こちらこそ」
楓先輩はそう言うと、私より少し斜め前を歩く。
「先輩、先輩が先程言っていた以外に何か情報は無いですか?」
楓先輩は、一瞬歩みを止めるがこちらを振り返らずに首を軽く横に振る。何か隠しているに違いない。少なくとも楓先輩自信に秘密があるというよりも、その周りの環境により秘密が出来たのではと考える。私の場合も、意識がこちらに来た時、そして実際に今話した内容も全てこちらの世界に起きてから起こったものである。
「どうしたもんかな」
ぽつりと呟いた楓先輩。その後何も無かったように話が切り替わり、この世界で流行ってる物や、消えて無くなったお店についてなどたわいも無い話で盛り上がった。生ぬるい風が頬に当たる。
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「ありがとうございます」
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「はい、女の子より女子力凄いです。先輩何するんですか?はるくん優しいからしてくれますよ」
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一生懸命彼は考えてる。
「先輩は私がやりますよ 」
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「刺しませんよ」
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「そう言えば、安藤ちゃんさっきからケータイが鳴ってるけど大丈夫?マナーモードになってるから光ってるだけになってるよ」
「え·····?」
ふと鞄を漁るもそこには何も無い。
「外側」
「あっ、本当だ。いつの間に入れられてたんだろう」
急いで、確認すると不在着信が1件入っていた。
車持ってくるからここで電話してて。パーキングすぐそこだから。そう言うとそのまま、進んで行ってしまった楓先輩。
「誰だろう」
電話を掛け直すと着信中から通話中になる。
「もしもし·····」
「こんにちは」
電話から聞こえてきたのはよそうだにしない声。
「えっ?!」
「えっじゃないやろが」
「だって、そんな事って」
「あるわ」
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