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情け
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「そう。なら良かった。ココア入れてるから一緒に飲もうよ」
私の手を引いて、リビングのドアを閉める。途端に葉書よりもはるくんに対しての緊張が激しくなる。ポケットに葉書を入れて一旦落ち着こうと息を吐く。
「ソファに座って待ってて」
「うん」
と返事をし、ふとテレビを見ると性に悩む若い男女がゲストに来ていた。私の友達の親友がバイセクシャルだったことを思い出す。その子は女性にも男性にも優しく温かい人だったそうだ。私は、楓先輩一筋だけど小さい時の女の子の幼なじみが
「みみちゃんの足綺麗、思わず頬ずりしたくなる」
と実際に足に頬ずりしてきたことがあってその当時は仲良くしてた女の子というのもあって驚きと恐怖と酷く興奮したのを覚えてる。お化け屋敷でお化けに会いに行くのに怖いのに行ってしまう感覚に似てた。皮肉なことにこの時の思い出のせいで、今では美しいこの足が唯一誇れる場所となった。
「見たいテレビあるなら好きなチャンネルに変えていいよ」
そんなことを考えてると、同じサイズの少し歪な絵柄のマグカップと綺麗に絵が描かれてるマグカップを両手に持ったはるくんがテレビを横目にそう言う。
「ありがとう、そう言えば私ね朝補習の時に格好良いお兄さん達が通学路の真ん中に立ってたの」
コトンとマグカップを置き、私の隣に座り
「熱いから気をつけてね」
と一言添える。
「ありがとう」
直ぐに手を伸ばそうとしたけど、少し待つことにした。
「うん、それで?」
はるくんはリモコンの音量を少しだけ下げて興味深々に聞いてくる。
「それでね、特に格好良いお兄さんが三人居たの」
目を輝かせてはるくんに訴えるように言う。
「ふふ、そうなんだ」
「そうなの、身長も高くてね!顔も整ってた。それで格好良かったからちょっと歩きながら見てたら目の前でイケメンがイケメンの頬にキスしてたの」
「おおっ」
「びっくりでしょ、それにねその取り残されたもう一人の人がキスして人に軽く蹴りを入れてね。その後抱き締めてたの」
「凄いね、三角関係かな。それともまだ複雑だったりして」
「うん、朝の七時の話だよ。雀がチュンチュンチュンって鳴いてて、空は薄く雲が掛かってるくらいで青くて綺麗だったの」
「ふふ、一般的な朝の登校と比べると変わってるね」
「そうでしょ、でもねその時の表情がすごく真剣で寂しそうだったの。お互いがお互いが無いと死んでしまいそうな感じで」
「誰だって好きな人にはそうだよね」
「うん、そうなの。だからね、それがきっかけで…」
私も楓先輩に想いを伝えようと思うようになったんだよ。って言いかけてやめた。
「ふふ、言わなくても分かるよ。遠慮しなくていいのに」
変なところで切ってしまい、元の空気を取り戻そうとするけど、違和感と喉に何かつかえたような気分になり声を出したいけど出せない。
私の手を引いて、リビングのドアを閉める。途端に葉書よりもはるくんに対しての緊張が激しくなる。ポケットに葉書を入れて一旦落ち着こうと息を吐く。
「ソファに座って待ってて」
「うん」
と返事をし、ふとテレビを見ると性に悩む若い男女がゲストに来ていた。私の友達の親友がバイセクシャルだったことを思い出す。その子は女性にも男性にも優しく温かい人だったそうだ。私は、楓先輩一筋だけど小さい時の女の子の幼なじみが
「みみちゃんの足綺麗、思わず頬ずりしたくなる」
と実際に足に頬ずりしてきたことがあってその当時は仲良くしてた女の子というのもあって驚きと恐怖と酷く興奮したのを覚えてる。お化け屋敷でお化けに会いに行くのに怖いのに行ってしまう感覚に似てた。皮肉なことにこの時の思い出のせいで、今では美しいこの足が唯一誇れる場所となった。
「見たいテレビあるなら好きなチャンネルに変えていいよ」
そんなことを考えてると、同じサイズの少し歪な絵柄のマグカップと綺麗に絵が描かれてるマグカップを両手に持ったはるくんがテレビを横目にそう言う。
「ありがとう、そう言えば私ね朝補習の時に格好良いお兄さん達が通学路の真ん中に立ってたの」
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「熱いから気をつけてね」
と一言添える。
「ありがとう」
直ぐに手を伸ばそうとしたけど、少し待つことにした。
「うん、それで?」
はるくんはリモコンの音量を少しだけ下げて興味深々に聞いてくる。
「それでね、特に格好良いお兄さんが三人居たの」
目を輝かせてはるくんに訴えるように言う。
「ふふ、そうなんだ」
「そうなの、身長も高くてね!顔も整ってた。それで格好良かったからちょっと歩きながら見てたら目の前でイケメンがイケメンの頬にキスしてたの」
「おおっ」
「びっくりでしょ、それにねその取り残されたもう一人の人がキスして人に軽く蹴りを入れてね。その後抱き締めてたの」
「凄いね、三角関係かな。それともまだ複雑だったりして」
「うん、朝の七時の話だよ。雀がチュンチュンチュンって鳴いてて、空は薄く雲が掛かってるくらいで青くて綺麗だったの」
「ふふ、一般的な朝の登校と比べると変わってるね」
「そうでしょ、でもねその時の表情がすごく真剣で寂しそうだったの。お互いがお互いが無いと死んでしまいそうな感じで」
「誰だって好きな人にはそうだよね」
「うん、そうなの。だからね、それがきっかけで…」
私も楓先輩に想いを伝えようと思うようになったんだよ。って言いかけてやめた。
「ふふ、言わなくても分かるよ。遠慮しなくていいのに」
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