11 / 182
不器用な愛
しおりを挟む
「どう?」
今は肉じゃがを作っているのだけれど、なんと言うか玉ねぎが目に染みる。
「ううう、大丈夫です」
ゴーグルが欲しい、目が…目がぁあああ!!あの名作のように視界が塞がれている。
「みみ、目を瞑って玉ねぎ切ったら危ないよ。包丁貸して」
「大丈夫だよ、ありがとう!はる」
涙が止まらない、けど頑張らなくては。さっきあんな顔させてしまって。これも出来なかったらいよいよ楓先輩のところに次連れて行ってもらえないかもしれない。挙句の果てに元の世界の私は骨折してるみたいだし、本当にさっきの話が合っているとしたらあと6日以内にもう一度会えるように頑張らないといけない。
「手が動いてないみたいだけど、本当に大丈夫?」
「あっ、はっ、はい。大丈…!!」
ピュッと玉ねぎの汁が目に飛んできた。痛い、なんだこれは。目の中で落雷が。
「みみ、ちょっと目に入ったんじゃない。大丈夫?顔洗いに行こうか」
「ごめんなさい」
「大丈夫だよ、それより早くしないと危ないからね」
その後、顔を洗って何とか目はましになったけれど自室で休むことになった。
「何で今日起きた場所にまた眠ってるの、手伝わないといけないのに」
これじゃはるくんは、主夫だよ。あー、何たる失態。楓先輩に会うどころかベッドでお布団にくるまってるなんて。
「あっ、このぬいぐるみ可愛い」
ターコイズブルとーブルーのチェックになっていて目は紫色のうさぎのぬいぐるみが枕と枕の間に置いてあった。これは私のなのかな?それともはるくんのなのかな。後で聞いてみよう。このお部屋の掛け布団の色も青でなんと言うか物凄く落ち着く。ちょうどいい硬さの枕にふかふかの掛け布団。そして小窓からの光が心地よい。今は夕方の5時くらいだからだろうか。烏のなく声と子供たちのはしゃぐ声が窓越しに聞こえてくる。少し起き上がり外の様子を窓から眺める。黄色い帽子のランドセルを背負った男の子が棒を持っている男の子に追っかけられてる。足が後ろの子の方が早いのかすぐに追いつかれてじゃれている。
「ふふっ、可愛いな」
私ももっと早く楓先輩に会いたかった。そしたらこんな風にかけっ子とかできたかもしれない。まだ好きとも言えてないし、こんな状況になるなんて微塵も考えてなかった。お母さんが知ったらきっとまたあんたって子はどうしていつもそうなのよ!って怒られるに違いない。ただでさえ、塾代も高いのに挙句の果てに事故に遭うなんて怒ってるはず。早く戻りたい。でも、さっきは本当に驚いた。夫婦だからとはいえ、私の中身と思考は高校生。動揺しない訳がない。まだはるくんに抱き締められてる感覚が抜けない。生まれて初めてだった、男の人に抱きしめられたのもあんな風に優しくされるのも。今もこうしてお布団に寝るまではるくんは部屋を出なかった。
「優しい人…」
少し眠気が襲ってきて、窓から離れベッドに戻り、私は眠りに着いた。
今は肉じゃがを作っているのだけれど、なんと言うか玉ねぎが目に染みる。
「ううう、大丈夫です」
ゴーグルが欲しい、目が…目がぁあああ!!あの名作のように視界が塞がれている。
「みみ、目を瞑って玉ねぎ切ったら危ないよ。包丁貸して」
「大丈夫だよ、ありがとう!はる」
涙が止まらない、けど頑張らなくては。さっきあんな顔させてしまって。これも出来なかったらいよいよ楓先輩のところに次連れて行ってもらえないかもしれない。挙句の果てに元の世界の私は骨折してるみたいだし、本当にさっきの話が合っているとしたらあと6日以内にもう一度会えるように頑張らないといけない。
「手が動いてないみたいだけど、本当に大丈夫?」
「あっ、はっ、はい。大丈…!!」
ピュッと玉ねぎの汁が目に飛んできた。痛い、なんだこれは。目の中で落雷が。
「みみ、ちょっと目に入ったんじゃない。大丈夫?顔洗いに行こうか」
「ごめんなさい」
「大丈夫だよ、それより早くしないと危ないからね」
その後、顔を洗って何とか目はましになったけれど自室で休むことになった。
「何で今日起きた場所にまた眠ってるの、手伝わないといけないのに」
これじゃはるくんは、主夫だよ。あー、何たる失態。楓先輩に会うどころかベッドでお布団にくるまってるなんて。
「あっ、このぬいぐるみ可愛い」
ターコイズブルとーブルーのチェックになっていて目は紫色のうさぎのぬいぐるみが枕と枕の間に置いてあった。これは私のなのかな?それともはるくんのなのかな。後で聞いてみよう。このお部屋の掛け布団の色も青でなんと言うか物凄く落ち着く。ちょうどいい硬さの枕にふかふかの掛け布団。そして小窓からの光が心地よい。今は夕方の5時くらいだからだろうか。烏のなく声と子供たちのはしゃぐ声が窓越しに聞こえてくる。少し起き上がり外の様子を窓から眺める。黄色い帽子のランドセルを背負った男の子が棒を持っている男の子に追っかけられてる。足が後ろの子の方が早いのかすぐに追いつかれてじゃれている。
「ふふっ、可愛いな」
私ももっと早く楓先輩に会いたかった。そしたらこんな風にかけっ子とかできたかもしれない。まだ好きとも言えてないし、こんな状況になるなんて微塵も考えてなかった。お母さんが知ったらきっとまたあんたって子はどうしていつもそうなのよ!って怒られるに違いない。ただでさえ、塾代も高いのに挙句の果てに事故に遭うなんて怒ってるはず。早く戻りたい。でも、さっきは本当に驚いた。夫婦だからとはいえ、私の中身と思考は高校生。動揺しない訳がない。まだはるくんに抱き締められてる感覚が抜けない。生まれて初めてだった、男の人に抱きしめられたのもあんな風に優しくされるのも。今もこうしてお布団に寝るまではるくんは部屋を出なかった。
「優しい人…」
少し眠気が襲ってきて、窓から離れベッドに戻り、私は眠りに着いた。
0
お気に入りに追加
68
あなたにおすすめの小説


夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です

淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。

白い結婚は無理でした(涙)
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、フィリシアは没落しかけの伯爵家の娘でございます。
明らかに邪な結婚話しかない中で、公爵令息の愛人から契約結婚の話を持ち掛けられました。
白い結婚が認められるまでの3年間、お世話になるのでよい妻であろうと頑張ります。
小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
現在、筆者は時間的かつ体力的にコメントなどの返信ができないため受け付けない設定にしています。
どうぞよろしくお願いいたします。

悪役令嬢カテリーナでございます。
くみたろう
恋愛
………………まあ、私、悪役令嬢だわ……
気付いたのはワインを頭からかけられた時だった。
どうやら私、ゲームの中の悪役令嬢に生まれ変わったらしい。
40歳未婚の喪女だった私は今や立派な公爵令嬢。ただ、痩せすぎて骨ばっている体がチャームポイントなだけ。
ぶつかるだけでアタックをかます強靭な骨の持ち主、それが私。
40歳喪女を舐めてくれては困りますよ? 私は没落などしませんからね。

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。

五歳の時から、側にいた
田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。
それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。
グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。
前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる