1 / 2
単体が他物と混ざるとき...それは他物が小さな集合体である
私の日常
しおりを挟む
「彼と出会ったのはいつだろうか」
時々思い出してまたくだらない話をしたいときがふと訪れる。
これは数え切れない回数を重ねるうちの一つであり、よくある日常の1万分の1にも満たない事象である。
彼というのはもちろん"人“であり、兄と叫べるほど人柄の良い人である。
私は、触れ合うどころか目を合わすこともなく、実際に会ったこともない人間である彼と匿名として誰も知らない場所で、誰も知らない時間に関わっていた。
彼との関係は...2、3年といったところか。
彼と会うまで、とある小屋を見つけてから2、3年の関係が出来る間、私は1人寂しく小屋にこもっていた。
とても埃まみれでマスクがないと毎分咳をしてしまいそうなぐらいの小屋で、ただ淡々と壁に貼られた紙に書いてあるメッセージを読んでは時折、気になる人を見つけては紙に短絡的に言えば「あなたと関わりたい」といった内容を殴り書きし、息を整えてポストの中に入れていた。
ポストの中を覗いても、慎重に入れた手紙は魔法のように消えるわけでもなく、ただ埃まみれの狭い空間に落とされているだけだった。
けれど気付いたらそこにあったはずの紙切れが消えていた。
何かがおかしいと目を擦ろうとすると、手のひらに違和感があった。
ずっと閉じていたはずなのに。
ずっと握っていたはずの手の中に、小さく丸められた紙があった。
その紙を開いて見てみると、自分が書いていた文字ではなく、また別の人が書いたような字を並べた一言のコメントであった。
その文字はとても不思議なモノであった。
なぜかその文字を読むと知らない声が聞こえてくる。
物理的にではなく、脳の中に囁くように。
しかしこのことが当たり前かのように、また何処からともなく静かに現れた紙にコメントに返すような文を書いてはポストに入れていた。
この会話と言えるのかどうか怪しい行動が1つ落ち着いたとき、私はまた壁を散策する。
2度目の壁には、1度目に見た壁に貼られていた紙の形や文字がガラリと変わり、初めてその壁を見るように眺めていた。
そんなことを繰り返しているとお腹が空いてくる。
そうなると私は小屋を出て、山を下り、またそこらの道を歩いている人と変わらないように歩き、家に帰ったら家族と食事をし、色々しては寝ていた。
私は、平日も休日も小屋に日中小屋にこもっていること以外は、何処にでもいる人間の生活をしている。
もちろん私は人間である。
今思うと、彼と出会う前は本当にひどい生活をしていたのだなと実感する。
だからといって、彼と出会った後もあまり生活は変わらない。
変わらなかった。
変わる必要はないし、何か変わったと言えば悪い方向に、小屋にこもる時間が長くなるように変わっていったことぐらいか。
何にせよ、このつまらなそうな虚無な生活は1年、また1年と重ねていき、重ねた回数は数えるのも面倒くさくなるようなほどだった。
ところで、どうして私がこの小屋と出会えたのかは自分自身あまり気にしていない。
しかし、あの小屋と出会っていなければ私はどんな生活を送っていたのかは気になることがある。
その時は大抵孤独を感じるときだ。
例えば、彼を思い出すときとか。
時々思い出してまたくだらない話をしたいときがふと訪れる。
これは数え切れない回数を重ねるうちの一つであり、よくある日常の1万分の1にも満たない事象である。
彼というのはもちろん"人“であり、兄と叫べるほど人柄の良い人である。
私は、触れ合うどころか目を合わすこともなく、実際に会ったこともない人間である彼と匿名として誰も知らない場所で、誰も知らない時間に関わっていた。
彼との関係は...2、3年といったところか。
彼と会うまで、とある小屋を見つけてから2、3年の関係が出来る間、私は1人寂しく小屋にこもっていた。
とても埃まみれでマスクがないと毎分咳をしてしまいそうなぐらいの小屋で、ただ淡々と壁に貼られた紙に書いてあるメッセージを読んでは時折、気になる人を見つけては紙に短絡的に言えば「あなたと関わりたい」といった内容を殴り書きし、息を整えてポストの中に入れていた。
ポストの中を覗いても、慎重に入れた手紙は魔法のように消えるわけでもなく、ただ埃まみれの狭い空間に落とされているだけだった。
けれど気付いたらそこにあったはずの紙切れが消えていた。
何かがおかしいと目を擦ろうとすると、手のひらに違和感があった。
ずっと閉じていたはずなのに。
ずっと握っていたはずの手の中に、小さく丸められた紙があった。
その紙を開いて見てみると、自分が書いていた文字ではなく、また別の人が書いたような字を並べた一言のコメントであった。
その文字はとても不思議なモノであった。
なぜかその文字を読むと知らない声が聞こえてくる。
物理的にではなく、脳の中に囁くように。
しかしこのことが当たり前かのように、また何処からともなく静かに現れた紙にコメントに返すような文を書いてはポストに入れていた。
この会話と言えるのかどうか怪しい行動が1つ落ち着いたとき、私はまた壁を散策する。
2度目の壁には、1度目に見た壁に貼られていた紙の形や文字がガラリと変わり、初めてその壁を見るように眺めていた。
そんなことを繰り返しているとお腹が空いてくる。
そうなると私は小屋を出て、山を下り、またそこらの道を歩いている人と変わらないように歩き、家に帰ったら家族と食事をし、色々しては寝ていた。
私は、平日も休日も小屋に日中小屋にこもっていること以外は、何処にでもいる人間の生活をしている。
もちろん私は人間である。
今思うと、彼と出会う前は本当にひどい生活をしていたのだなと実感する。
だからといって、彼と出会った後もあまり生活は変わらない。
変わらなかった。
変わる必要はないし、何か変わったと言えば悪い方向に、小屋にこもる時間が長くなるように変わっていったことぐらいか。
何にせよ、このつまらなそうな虚無な生活は1年、また1年と重ねていき、重ねた回数は数えるのも面倒くさくなるようなほどだった。
ところで、どうして私がこの小屋と出会えたのかは自分自身あまり気にしていない。
しかし、あの小屋と出会っていなければ私はどんな生活を送っていたのかは気になることがある。
その時は大抵孤独を感じるときだ。
例えば、彼を思い出すときとか。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
執事👨一人声劇台本
樹(いつき)@作品使用時は作者名明記必須
青春
執事台本を今まで書いた事がなかったのですが、機会があって書いてみました。
一作だけではなく、これから色々書いてみようと思います。
⚠動画・音声投稿サイトにご使用になる場合⚠
・使用許可は不要ですが、自作発言や転載はもちろん禁止です。著作権は放棄しておりません。必ず作者名の樹(いつき)を記載して下さい。(何度注意しても作者名の記載が無い場合には台本使用を禁止します)
・語尾変更や方言などの多少のアレンジはokですが、大幅なアレンジや台本の世界観をぶち壊すようなアレンジやエフェクトなどはご遠慮願います。
その他の詳細は【作品を使用する際の注意点】をご覧下さい。
就職面接の感ドコロ!?
フルーツパフェ
大衆娯楽
今や十年前とは真逆の、売り手市場の就職活動。
学生達は賃金と休暇を貪欲に追い求め、いつ送られてくるかわからない採用辞退メールに怯えながら、それでも優秀な人材を発掘しようとしていた。
その業務ストレスのせいだろうか。
ある面接官は、女子学生達のリクルートスーツに興奮する性癖を備え、仕事のストレスから面接の現場を愉しむことに決めたのだった。
同い年のはずなのに、扱いがおかしい!
葵井しいな
青春
柊木葵は低身長・童顔・ソプラノボイスの三拍子が揃った男子高校生。
そのことがコンプレックスで、同時に男らしさや大人っぽさに憧れを持つようになっていた。
けれどそのたびに幼馴染みの女の子に甘やかされたり、同級生にもからかわれたりで上手くいかない毎日。
果たして葵は、日々を過ごす中で自分を変えることが出来るのか?
※主人公は基本的にヒロインポジションですが、たま~に身の丈に合わないことをします。
DREAM RIDE
遥都
青春
順風満帆に野球エリートの道を歩いていた主人公晴矢は、一つの出来事をキッカケに夢を失くした。
ある日ネットで一つの記事を見つけた晴矢は今後の人生を大きく変える夢に出会う。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
僕たち
知人さん
青春
主人公の男子高校生が幼い頃、
亡くなったはずの兄弟と再会するが、
再会できた場所は心、精神の中で
自由に自分の身体に兄弟を呼び出す事が
可能。
だけど身体を使わせるたびに体調が
悪化していき、主人公の男性は
ある日、学校で倒れてしまう。
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる