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第七話 嫌みな男
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涼子たち捜査班の丹念な聞き込み調査の結果、
死亡した来栖王司の周辺の人間たちが浮かび上がってきた。
来栖が社長を務める生出宝飾店は生出聖崇
という人物が創業した会社であり、
創業者が死亡したさい遺言によって息子の生出布崇が社長に就任した。
しかし、当時生出布崇は未成年であり、
後見人として専務の来栖王司が実質的経営を担う事となった。
来栖は生出の趣味であった骨董品の店を出店してやり、
生出にその店を任せ、そちらに目を向けさせる一方、
宝飾店の会社役員全員を買収し、
役員会議を開いて生出を社長から解任し、
自分が社長に就任してしまった。社長に就任すると、
来栖は自分の妻を離婚し、創業者生出聖崇の妻と結婚した。
創業者の妻といっても生出布崇の母親ではない。
生出布崇の母メドゥーサは、夫が新しく若い妻を迎えた時に
ノイローゼになり自殺している。
来栖が再婚した未亡人の名はイオカステで年齢は二十才。
タイの少数民族カレン族の女性だということだった。
西洋風の名前がついているのは、
欧米から布教に来た牧師から名前をつけられたからのようだ。
近年、タイの山岳地域ではクリスチャンの布教活動が盛んで、
地元の精霊信仰を捨ててキリスト教の洗礼を受ける者が急増している。
日本に連れてこられた時は十四才だったようだが、
日中学校にも行かず町中を徘徊しているところを補導され、
問題になり、児童養護局に保護されて十八才まで養育され
、高等学校にも行ったが、十八才になると自分の意志で生出布崇の父の所に戻った。
ちなみに自殺した生出布崇の母メドゥーサはミャンマーのカチン族と白人のハーフだった。
かつてミャンマーは英国領であり、
その中でもカチン族は英国に対して協力的であったため縁が深い。
ミャンマーが独立したあとも、
ホークランド紛争など英国が関わった戦争には傭兵として積極的に参加している。
そうした英国との深いつながりが災いしてミャンマー政府から迫害を受け、
生出布崇の母は村を政府軍に焼き討ちされ、
タイの難民キャンプに逃げてきていた所を生出の父と出会ったのだ。
このため、離婚されたあと帰る場所もなく絶望して自殺したようだ。
来栖が離婚した妻は現在三十三才。
タイのルビー採掘場の近くの村で見初めて結婚したときは十三才であったようだ。
実際問題、この男たちがやっていることは、
貧しい山岳地域の村人たちから大金で少女たちを買っているにすぎない。
村のほうでも一人娘を売れば、百人の村人が飢餓にさらされなくて済む。
離婚された来栖の元妻は福原のソープ街に身を沈めている。
実際に小学校さえ行ったことがなく、
日本語の読み書きどころか、
タイ語の読み書き、かけ算割り算の計算すらできない状況では風俗以外に行く場所はないようだ。
来栖との間に二十才の男子をもうけているが、
昔から暴力行為が絶えず、よく警察に捕まっていたが、
少年法が適用されない二十才になると犯罪行為は行わなくなったようだ。
涼子はこの女性に電話連絡を取り、
任意で会って話しがしたい旨要望したが、かたくなに拒否された。
警察に対しては敵愾心をもっているようである。
もう一人、最近来栖が頻繁に会っていた女性が居た。
欧米人の養子になったアジア山岳民族の女性で、
欧米の人権団体に所属している。名をナウシカアーという。
「へー、アニメの主人公みたいな名前」
調査ファイルを見た霞がつぶやいた。
「アニメじゃないよ、ギリシャ神話に登場する淑女さ」
「欧米人って聖書に載っている聖人の名前を子供につけるんじゃないんですか?」
「女性の場合はそうでもないみたいよ。
フローラだってヴィーナスだってビクトリアだってローマ神話の女神の名前だし」
アジアに精通したものはこうした欧米の人権団体に所属する女性には手を出さない。
とくに欧米人の養子になっている人間に手出しをすると手ひどい報復を受けるからだ。
ただ、アジアの少数民族との人脈を作るためにはこうした団体は非常に役に立つ。
人権団体が山岳地域の少数民族に人権を教え、少数民族が政府への抵抗運動を始めると、
軍事衝突が起こり、少数民族は大量の武器を必要とする。
少数民族は武器を調達するために山間地域の宝石の原石を掘り出したり、
子供を売って資金を調達する。
彼らの独立と尊厳を守るための資金提供者となり、
安価で宝石の原石や子供を買い取ってあげることにより、
山岳地域における地位と名誉、そして金を得られる。
彼ら少数民族の支配層と白人のバイヤーの間には共通の利益があった。
「何かむかつく」
霞がつぶやいた。
「私達としてはできうる限り人身売買業者を摘発し、
こうした組織ビジネスを崩壊さえるよう努めていくしか方法はない。
地味だけど自分の職務を全うし続ける以外に私達に選択肢はないのさ」
「うん、分かりました」
霞は素直に頷いた。
情報を整理していくうち、一人だけ、浮いた存在を発見した。
マンションの防犯カメラに写ったオタク風の小太りの男。
この人物はファッションに無頓着で、年齢が分かりにくい。
たしかに殺された来栖が居住していた階でエレベーターを降りている。
その場所は高級マンションであり、よほど収入がなければ購入できないものだ。
高級マンションにあまりにも不釣り合いな存在におもえた。
実際、この男に該当するような居住者はこのマンションの階には存在しなかった。
調べていくうちに分かった事だが、この人物の名前は比企万里郎 年齢二十才。
高校生時代、壮絶なイジメにあって、引きこもりとなり、
それ以来、長い間部屋に閉じこもり周囲との接触を閉ざしていたようだ。
ただ一度、母校のHPに設置されている掲示板に
母校の放火予告の書き込みをして警察に補導されたことがある。
その時の供述調書は、自分をいじめた人間への怨嗟の声が満ちあふれており、
特に執拗にいじめられた
外国人と日本人のハーフの同級生に対しては特に強い憎しみをもっているようであった。
マンションの住人をしらみつぶしに聞き込みをして回り、
比企が被害者の部屋のドアをノックしたり、
部屋の前をグルグルと歩きまわっている所を見たとの情報を得た。
これはかなりの有力情報ではあるが、まだ動機が判然としない。
逮捕状を取るためには、もう一歩進んだ情報が必要となる。
年齢が気になった。来栖が捨てた元妻には二十才になる息子がいたが、
この年齢が二十才だ。偶然の一致か、何か関連性があるのか、調査する必要世があると涼子は判断した。
「いやー、お待たせ、美人の涼子さん」
駆け足で甘粕がやってくる。
「来栖の離婚した妻についてだが」
「はいはい、調べてきましたよ、あらいざらい。
というか自分から進んで身の上話をしてくれました。話を聞いてもらって喜んでいました。あ、これ領収書ね」
甘粕はソープの領収書を差し出し、涼子から金を受け取った。
「これ経費でおちるの?」
「国民の税金からそんな金出せるか、自腹だよ」
「仕事熱心だねー、そんな事をしても、国は守ってくれないのに」
「うるせえな、私ら警察官は自分が守ってもらう事じゃなくて国民を守ることだけを考えているんだよ」
「偽善者乙!」
甘粕はおどけて冗談半分に言いながら笑顔で首をすくめた。
「一日一偽善だ、この野郎。それよりもえらく信頼されたもんだな」
「ソープで指名して、
“今夜はただ君にずっと抱きしめていてほしいんだ”
君とボクは魂で繋がっているんだ“ボクは今、君がここに居るだけで満足なんだ”
とか言ったりして三回つづけたら、なつきましたよ」
「ほう、金払ってやることやらなかったのか」
「そりゃ病気とか怖いもん。あいつらとボクとじゃ基本コストが違いますからね。
病気うつされたら歩兵に飛車取られるみたいなもんじゃないですか。
ホントは学歴の無いモノとは話もしたくないんだけどね、アハハ」
「まあいい、その女の息子について話を聞かせてくれないか。」
「ああ、言ってた比企って子との関係ですね。
お察しの通り同級生だったみたいですよ。
学校の先生に呼び出されて、今度恐喝したら退学だって言われたそうで、
母親もよく覚えてたみたいですよ。名前は丸子力也(マルコリキヤ)」
「丸子?何で来栖って名字じゃないんだ」
「生まれてすぐ施設に入れられて、その後養子に貰われたみたいですけど、
粗暴で養父母の手に負えなかったみたいで、
義務教育が終わったら母親の元に返されたみたいですよ」
「そうかい。そいつに一度会ってみたいもんだな」
「それよりも、来栖王司の検死結果でました?首吊ってたから自殺でしょ、自殺ですよね」
話をそらしつつ、斜め十五度ほどに首をかしげ甘粕はうすら笑いをうかべた。
「まだ結果は出ていない」
「結果がでるのに時間がかかるんですねえ、スピードアップしてもらうために、
多少お金がかかるなら、ご用立てしますよ」
「その丸子とかいう奴に会いたい」
涼子は甘粕の言葉を無視して要求を突きつけた。
「自殺でしょ」
「住所教えろ」
「だから自殺なんでしょ」
甘粕は笑顔で何度も執拗に聞いてくる。
「自殺か他殺かわからんが、御社がそこまで執拗に邪魔してくるってことは、
御社は他殺である情報を掴んでいると本官は推察する」
涼子は断定的に言った。
「丸子力也の住んでる場所教えます警察がまだ他殺と断定してないという発言を聞けただけでも有益でした」
甘粕は微笑を浮かべつつそう答えた。
「実はまだ検死結果が出ていないから自殺か他殺か分からな」
「じゃあ、丸子力也の住所教えますね。今後ともよろしくね、美人で綺麗な涼子お姉さん」
満面の作り笑顔で甘粕は丸子力也の住所と携帯電話番号を涼子に教えた。
「はいはいっと」
甘粕はスキップしながら帰っていった。
死亡した来栖王司の周辺の人間たちが浮かび上がってきた。
来栖が社長を務める生出宝飾店は生出聖崇
という人物が創業した会社であり、
創業者が死亡したさい遺言によって息子の生出布崇が社長に就任した。
しかし、当時生出布崇は未成年であり、
後見人として専務の来栖王司が実質的経営を担う事となった。
来栖は生出の趣味であった骨董品の店を出店してやり、
生出にその店を任せ、そちらに目を向けさせる一方、
宝飾店の会社役員全員を買収し、
役員会議を開いて生出を社長から解任し、
自分が社長に就任してしまった。社長に就任すると、
来栖は自分の妻を離婚し、創業者生出聖崇の妻と結婚した。
創業者の妻といっても生出布崇の母親ではない。
生出布崇の母メドゥーサは、夫が新しく若い妻を迎えた時に
ノイローゼになり自殺している。
来栖が再婚した未亡人の名はイオカステで年齢は二十才。
タイの少数民族カレン族の女性だということだった。
西洋風の名前がついているのは、
欧米から布教に来た牧師から名前をつけられたからのようだ。
近年、タイの山岳地域ではクリスチャンの布教活動が盛んで、
地元の精霊信仰を捨ててキリスト教の洗礼を受ける者が急増している。
日本に連れてこられた時は十四才だったようだが、
日中学校にも行かず町中を徘徊しているところを補導され、
問題になり、児童養護局に保護されて十八才まで養育され
、高等学校にも行ったが、十八才になると自分の意志で生出布崇の父の所に戻った。
ちなみに自殺した生出布崇の母メドゥーサはミャンマーのカチン族と白人のハーフだった。
かつてミャンマーは英国領であり、
その中でもカチン族は英国に対して協力的であったため縁が深い。
ミャンマーが独立したあとも、
ホークランド紛争など英国が関わった戦争には傭兵として積極的に参加している。
そうした英国との深いつながりが災いしてミャンマー政府から迫害を受け、
生出布崇の母は村を政府軍に焼き討ちされ、
タイの難民キャンプに逃げてきていた所を生出の父と出会ったのだ。
このため、離婚されたあと帰る場所もなく絶望して自殺したようだ。
来栖が離婚した妻は現在三十三才。
タイのルビー採掘場の近くの村で見初めて結婚したときは十三才であったようだ。
実際問題、この男たちがやっていることは、
貧しい山岳地域の村人たちから大金で少女たちを買っているにすぎない。
村のほうでも一人娘を売れば、百人の村人が飢餓にさらされなくて済む。
離婚された来栖の元妻は福原のソープ街に身を沈めている。
実際に小学校さえ行ったことがなく、
日本語の読み書きどころか、
タイ語の読み書き、かけ算割り算の計算すらできない状況では風俗以外に行く場所はないようだ。
来栖との間に二十才の男子をもうけているが、
昔から暴力行為が絶えず、よく警察に捕まっていたが、
少年法が適用されない二十才になると犯罪行為は行わなくなったようだ。
涼子はこの女性に電話連絡を取り、
任意で会って話しがしたい旨要望したが、かたくなに拒否された。
警察に対しては敵愾心をもっているようである。
もう一人、最近来栖が頻繁に会っていた女性が居た。
欧米人の養子になったアジア山岳民族の女性で、
欧米の人権団体に所属している。名をナウシカアーという。
「へー、アニメの主人公みたいな名前」
調査ファイルを見た霞がつぶやいた。
「アニメじゃないよ、ギリシャ神話に登場する淑女さ」
「欧米人って聖書に載っている聖人の名前を子供につけるんじゃないんですか?」
「女性の場合はそうでもないみたいよ。
フローラだってヴィーナスだってビクトリアだってローマ神話の女神の名前だし」
アジアに精通したものはこうした欧米の人権団体に所属する女性には手を出さない。
とくに欧米人の養子になっている人間に手出しをすると手ひどい報復を受けるからだ。
ただ、アジアの少数民族との人脈を作るためにはこうした団体は非常に役に立つ。
人権団体が山岳地域の少数民族に人権を教え、少数民族が政府への抵抗運動を始めると、
軍事衝突が起こり、少数民族は大量の武器を必要とする。
少数民族は武器を調達するために山間地域の宝石の原石を掘り出したり、
子供を売って資金を調達する。
彼らの独立と尊厳を守るための資金提供者となり、
安価で宝石の原石や子供を買い取ってあげることにより、
山岳地域における地位と名誉、そして金を得られる。
彼ら少数民族の支配層と白人のバイヤーの間には共通の利益があった。
「何かむかつく」
霞がつぶやいた。
「私達としてはできうる限り人身売買業者を摘発し、
こうした組織ビジネスを崩壊さえるよう努めていくしか方法はない。
地味だけど自分の職務を全うし続ける以外に私達に選択肢はないのさ」
「うん、分かりました」
霞は素直に頷いた。
情報を整理していくうち、一人だけ、浮いた存在を発見した。
マンションの防犯カメラに写ったオタク風の小太りの男。
この人物はファッションに無頓着で、年齢が分かりにくい。
たしかに殺された来栖が居住していた階でエレベーターを降りている。
その場所は高級マンションであり、よほど収入がなければ購入できないものだ。
高級マンションにあまりにも不釣り合いな存在におもえた。
実際、この男に該当するような居住者はこのマンションの階には存在しなかった。
調べていくうちに分かった事だが、この人物の名前は比企万里郎 年齢二十才。
高校生時代、壮絶なイジメにあって、引きこもりとなり、
それ以来、長い間部屋に閉じこもり周囲との接触を閉ざしていたようだ。
ただ一度、母校のHPに設置されている掲示板に
母校の放火予告の書き込みをして警察に補導されたことがある。
その時の供述調書は、自分をいじめた人間への怨嗟の声が満ちあふれており、
特に執拗にいじめられた
外国人と日本人のハーフの同級生に対しては特に強い憎しみをもっているようであった。
マンションの住人をしらみつぶしに聞き込みをして回り、
比企が被害者の部屋のドアをノックしたり、
部屋の前をグルグルと歩きまわっている所を見たとの情報を得た。
これはかなりの有力情報ではあるが、まだ動機が判然としない。
逮捕状を取るためには、もう一歩進んだ情報が必要となる。
年齢が気になった。来栖が捨てた元妻には二十才になる息子がいたが、
この年齢が二十才だ。偶然の一致か、何か関連性があるのか、調査する必要世があると涼子は判断した。
「いやー、お待たせ、美人の涼子さん」
駆け足で甘粕がやってくる。
「来栖の離婚した妻についてだが」
「はいはい、調べてきましたよ、あらいざらい。
というか自分から進んで身の上話をしてくれました。話を聞いてもらって喜んでいました。あ、これ領収書ね」
甘粕はソープの領収書を差し出し、涼子から金を受け取った。
「これ経費でおちるの?」
「国民の税金からそんな金出せるか、自腹だよ」
「仕事熱心だねー、そんな事をしても、国は守ってくれないのに」
「うるせえな、私ら警察官は自分が守ってもらう事じゃなくて国民を守ることだけを考えているんだよ」
「偽善者乙!」
甘粕はおどけて冗談半分に言いながら笑顔で首をすくめた。
「一日一偽善だ、この野郎。それよりもえらく信頼されたもんだな」
「ソープで指名して、
“今夜はただ君にずっと抱きしめていてほしいんだ”
君とボクは魂で繋がっているんだ“ボクは今、君がここに居るだけで満足なんだ”
とか言ったりして三回つづけたら、なつきましたよ」
「ほう、金払ってやることやらなかったのか」
「そりゃ病気とか怖いもん。あいつらとボクとじゃ基本コストが違いますからね。
病気うつされたら歩兵に飛車取られるみたいなもんじゃないですか。
ホントは学歴の無いモノとは話もしたくないんだけどね、アハハ」
「まあいい、その女の息子について話を聞かせてくれないか。」
「ああ、言ってた比企って子との関係ですね。
お察しの通り同級生だったみたいですよ。
学校の先生に呼び出されて、今度恐喝したら退学だって言われたそうで、
母親もよく覚えてたみたいですよ。名前は丸子力也(マルコリキヤ)」
「丸子?何で来栖って名字じゃないんだ」
「生まれてすぐ施設に入れられて、その後養子に貰われたみたいですけど、
粗暴で養父母の手に負えなかったみたいで、
義務教育が終わったら母親の元に返されたみたいですよ」
「そうかい。そいつに一度会ってみたいもんだな」
「それよりも、来栖王司の検死結果でました?首吊ってたから自殺でしょ、自殺ですよね」
話をそらしつつ、斜め十五度ほどに首をかしげ甘粕はうすら笑いをうかべた。
「まだ結果は出ていない」
「結果がでるのに時間がかかるんですねえ、スピードアップしてもらうために、
多少お金がかかるなら、ご用立てしますよ」
「その丸子とかいう奴に会いたい」
涼子は甘粕の言葉を無視して要求を突きつけた。
「自殺でしょ」
「住所教えろ」
「だから自殺なんでしょ」
甘粕は笑顔で何度も執拗に聞いてくる。
「自殺か他殺かわからんが、御社がそこまで執拗に邪魔してくるってことは、
御社は他殺である情報を掴んでいると本官は推察する」
涼子は断定的に言った。
「丸子力也の住んでる場所教えます警察がまだ他殺と断定してないという発言を聞けただけでも有益でした」
甘粕は微笑を浮かべつつそう答えた。
「実はまだ検死結果が出ていないから自殺か他殺か分からな」
「じゃあ、丸子力也の住所教えますね。今後ともよろしくね、美人で綺麗な涼子お姉さん」
満面の作り笑顔で甘粕は丸子力也の住所と携帯電話番号を涼子に教えた。
「はいはいっと」
甘粕はスキップしながら帰っていった。
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