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三章
十八話 ちがいます!絶対やっていません!
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鹿屋の道路を自転車で走っていると、頭の上でものすごい爆音がした。
ドカンちゃんが驚いて上を見ると軍用機が飛んでいた。
どうも、この辺りに自衛隊の基地があるらしい。
テレビで見たことはあるけど、実際に見たのは生まれて初めてだった。
そこから浜側にむけて自転車を薦める。
すると、遠くのほうでドウンと鈍い音がする。
自衛隊の砲撃かと思ったが、全然違う音だった。
しかも、方向も違う。
すると、辺り一面、急に砂嵐が吹き荒れてきた。
日本で砂嵐!?
と思ったけど実際遭遇してしまったので仕方が無い。
これはたまらないと思って、どこか待避場所を探した。
しばらく目を細めながら先に進むと、
フェリー乗り場があった。
スマホのマップだと遠景だとそこにフェリーはない。
地図を見て、フェリーがある場所は海の上に点線が描かれていく。
フェリーに乗ると、峻険な山のあるルートなどをショートカットできるのでいい。
フェリー乗り場に駆け込むとここは垂水という場所だった。
タルミ?
ドカンちゃんが住んでいる明石の隣町が舞子、その隣が垂水という。
しかし、その看板の上にローマ字が書いてある。
TARUMIZU
タルミズだった。
そりゃ、普通に読んだらタルミズになるだろう。
ドカンちゃんの住んでる地域の読み方のほうが特殊なのだ。
いつもタルミと呼んでいるからそれが慣れっこになっていた。
そこからフェリーに乗ると、鹿児島の市街地のすぐ近くまで行ける。
これは乗るしか無い。
ドカンちゃんとチカンちゃん、そしてシアンちゃんとサバンちゃんのぶんも切符を買って
みんなでフェリーに乗った。
フェリーから見ると、遠くに桜島が見えた。
モクモクと煙を吐いている。
かっこいい。
「桜島好きかい」
おじさんが話しかけてきた。
「はい」
「かっこいいです」
「まあ住んでる者としたら、あの灰はたまらんけどねえ」
「ああ、そうですねえ、灰は大変ですね。でも、ああいう気候だから
桜島大根が育つんでしょ」
「桜島大根?」
おじさんは首をかしげた。
「知らないですか?」
「あまり聞かんねえ、国分大根ならしっとるがね。桜島といったら小ミカンだな。
甘くておいしいよ」
「そうなんですね」
「いってみたいなあ」
「桜島にいったら龍神様にご挨拶に行きなさい。龍神様の湯があるから」
「そうなんですか?でも混浴とかだったら恥ずかしいなあ」
「大丈夫よ、あそこはみんな、服を着てはいるところだから」
「へ~そうなんですね」
おじさんとそんな事を話しているうちに、すぐ鹿児島についた。
鹿児島の港についてとき、ドカンちゃんはピクシーの言ったことを思い出した。
スマホを見て見る。宮崎でお参りした神社を地図で出して、そこからずっと地図を拡大して
南のほうを見ている。
その延長線上に屋久島があるように思えた。
そういえば、昔テレビで屋久島の事を盛んに「神の島」と言っていたことを思い出した。
今では、すっかりテレビを見ていなけど、小さい頃はおじいさんのところに行くと、
おじいさんはいつもテレビを見ていた。
おじいさんがいなくなると、家族はテレビを見ないので、テレビは捨てたんだった。
それに、昔、夏休みの課題図書で「屋久島天界アルプス」という本を読んだことがあり、
一度屋久島に行ってみたかったのだ。
「よし、このまま屋久島に行こう!」
ドカンちゃんはそう決意した。
「でもピクシーさんは鹿児島って言ってたよ?屋久島で大丈夫なの?」
チカンちゃんが聞いた。
ドカンちゃんはスマホで検索してみる。
屋久島は鹿児島県だった。
「大丈夫だよ、行こう」
「うん、わかった」
ドカンちゃんは屋久島行きのフェリー乗り場を探して、屋久島に行くことにした。
近くには沖縄行きのフェリー乗り場もあった。
フェリーが出発すると、しばらくは波も穏やかで速やかに進んでいった。
しかし、いったん鹿児島湾を出ると外界の波はけっこう荒かった。
しばらくして屋久島に到着する。
屋久島を回るのは絶対一日では無理だと思ったので、
ドカンちゃんはスマホでユースホステルを予約した。
ところが、港に着いてみると、ユースホステルは港からかなり遠かった。
「えいほ!えいほ!」
シアンちゃんとサバンちゃんが早いペースでスイスイ坂道をあがっていく。
「ま、まって~」
ドカンちゃんは必死でその後を追った。
ユースホステルに到着すると、すでに夕刻になっていた。
宿泊手続きをして外に出ると、すでに外は真っ暗。
空を見上げてみると、満天の星空だった。
それは、身震いがするほど透き通った空で、
見つめていると吸い込まれてしまいそうになるほどだった。
ドカンちゃんはその美しい夜空を見てすごくハイテンションになった。
とても楽しい気分になって建物の中に入ると、
いきなり男の人が話しかけてきた。
「はーい!おげんき~!君、綺麗だねえ、うっとりしちゃうよ、
世界NO!って感じ?もしかしてミスユニバース日本代表?
デルモとかやってる系?」
すごく慣れ慣れしい。
「君とボクとは今日からフレンドさ、一生の親友になるんだ。
これからも連絡取るために、ライン教えてよ」
「ラインはやってません」
「えーまじ~?じゃあメールでいいや。それから生年月日と住所おしえてね」
「個人情報は教えたくないです」
「は?ここは屋久島だよ、何ノリが悪いこといってんの?
何のためにここに来たの?」
「嫌なものは嫌です」
「あ、はいはい。チッ」
舌打ちしてその人はドカンちゃんの前を離れた。
そして新しく来た子にはなしかける。
「やっほ~、おげんき~、ライン教えて~」
「いいよ~」
旅の陽気でテンションの上がった女の子たちが簡単にライン交換して
住所や生年月日、本名を教えている。
「ああ、後々面倒なことになるのに」
ドカンちゃんはつぶやいた。
昔、少しだけカルチャーセンターの漫画コースに
通ったことがあって、そこでうかつにメールを教えたら、
そのメールに大量にスパムメールが届くようになったことがある。
それ以来、個人情報は教えないことにしていた。
屋久島は日本有数の観光地、世俗から離れた聖地に来る気持ちで来たが、
内地の空気を持ち込んでいる人であふれていた。
せっかく、宿はいい所だったけど、ドカンちゃんはすぐに旅館を変わった。
ドカンちゃんは、また港に向かって引き返したが、港近くの雑貨屋さんで
懐中電灯を買って、買い物かごの横にグルグル巻きにしばりつけた。
また、峠で夜になって真っ暗な道をさまようのはまっぴらだ。
新しく見つけた旅館は、地元のがやっている小さな古びた旅館で、
旅館の人達はとても気さくな人たちだった。
壁には鹿の革がかざってある。
背中の所に穴が二つ開いていたので、害獣駆除で取った鹿だと分かった。
「あれ、鹿の革ですね」
ドカンちゃんが笑顔で気軽にそう言うと、急に旅館のご主人の顔が蒼白になった。
「ち、ちがいます! 動物虐待なんてしていません!あれはプラスチックです! 」
「え? でも、ここに銃で撃った穴が……」
「ちがいます!絶対やっていません!」
そう言って、必死の形相で壁の鹿の革を引きはがし、
逃げるように部屋の奥に走り込んでいった。
鹿児島は映画やアニメで自然保護の宣伝に使われる事が多い。
ドカンちゃんも動物保護の人だと思われたのだろう。
ドカンちゃんは動物はみんな好きだけど、
ブラックバスやアライグマの駆除、増えすぎて食害を起こす鹿の駆除まで
反対はしていなかった。
余計な事を言って怖がらせてしまったことをドカンちゃんは反省した。
ドカンちゃんが驚いて上を見ると軍用機が飛んでいた。
どうも、この辺りに自衛隊の基地があるらしい。
テレビで見たことはあるけど、実際に見たのは生まれて初めてだった。
そこから浜側にむけて自転車を薦める。
すると、遠くのほうでドウンと鈍い音がする。
自衛隊の砲撃かと思ったが、全然違う音だった。
しかも、方向も違う。
すると、辺り一面、急に砂嵐が吹き荒れてきた。
日本で砂嵐!?
と思ったけど実際遭遇してしまったので仕方が無い。
これはたまらないと思って、どこか待避場所を探した。
しばらく目を細めながら先に進むと、
フェリー乗り場があった。
スマホのマップだと遠景だとそこにフェリーはない。
地図を見て、フェリーがある場所は海の上に点線が描かれていく。
フェリーに乗ると、峻険な山のあるルートなどをショートカットできるのでいい。
フェリー乗り場に駆け込むとここは垂水という場所だった。
タルミ?
ドカンちゃんが住んでいる明石の隣町が舞子、その隣が垂水という。
しかし、その看板の上にローマ字が書いてある。
TARUMIZU
タルミズだった。
そりゃ、普通に読んだらタルミズになるだろう。
ドカンちゃんの住んでる地域の読み方のほうが特殊なのだ。
いつもタルミと呼んでいるからそれが慣れっこになっていた。
そこからフェリーに乗ると、鹿児島の市街地のすぐ近くまで行ける。
これは乗るしか無い。
ドカンちゃんとチカンちゃん、そしてシアンちゃんとサバンちゃんのぶんも切符を買って
みんなでフェリーに乗った。
フェリーから見ると、遠くに桜島が見えた。
モクモクと煙を吐いている。
かっこいい。
「桜島好きかい」
おじさんが話しかけてきた。
「はい」
「かっこいいです」
「まあ住んでる者としたら、あの灰はたまらんけどねえ」
「ああ、そうですねえ、灰は大変ですね。でも、ああいう気候だから
桜島大根が育つんでしょ」
「桜島大根?」
おじさんは首をかしげた。
「知らないですか?」
「あまり聞かんねえ、国分大根ならしっとるがね。桜島といったら小ミカンだな。
甘くておいしいよ」
「そうなんですね」
「いってみたいなあ」
「桜島にいったら龍神様にご挨拶に行きなさい。龍神様の湯があるから」
「そうなんですか?でも混浴とかだったら恥ずかしいなあ」
「大丈夫よ、あそこはみんな、服を着てはいるところだから」
「へ~そうなんですね」
おじさんとそんな事を話しているうちに、すぐ鹿児島についた。
鹿児島の港についてとき、ドカンちゃんはピクシーの言ったことを思い出した。
スマホを見て見る。宮崎でお参りした神社を地図で出して、そこからずっと地図を拡大して
南のほうを見ている。
その延長線上に屋久島があるように思えた。
そういえば、昔テレビで屋久島の事を盛んに「神の島」と言っていたことを思い出した。
今では、すっかりテレビを見ていなけど、小さい頃はおじいさんのところに行くと、
おじいさんはいつもテレビを見ていた。
おじいさんがいなくなると、家族はテレビを見ないので、テレビは捨てたんだった。
それに、昔、夏休みの課題図書で「屋久島天界アルプス」という本を読んだことがあり、
一度屋久島に行ってみたかったのだ。
「よし、このまま屋久島に行こう!」
ドカンちゃんはそう決意した。
「でもピクシーさんは鹿児島って言ってたよ?屋久島で大丈夫なの?」
チカンちゃんが聞いた。
ドカンちゃんはスマホで検索してみる。
屋久島は鹿児島県だった。
「大丈夫だよ、行こう」
「うん、わかった」
ドカンちゃんは屋久島行きのフェリー乗り場を探して、屋久島に行くことにした。
近くには沖縄行きのフェリー乗り場もあった。
フェリーが出発すると、しばらくは波も穏やかで速やかに進んでいった。
しかし、いったん鹿児島湾を出ると外界の波はけっこう荒かった。
しばらくして屋久島に到着する。
屋久島を回るのは絶対一日では無理だと思ったので、
ドカンちゃんはスマホでユースホステルを予約した。
ところが、港に着いてみると、ユースホステルは港からかなり遠かった。
「えいほ!えいほ!」
シアンちゃんとサバンちゃんが早いペースでスイスイ坂道をあがっていく。
「ま、まって~」
ドカンちゃんは必死でその後を追った。
ユースホステルに到着すると、すでに夕刻になっていた。
宿泊手続きをして外に出ると、すでに外は真っ暗。
空を見上げてみると、満天の星空だった。
それは、身震いがするほど透き通った空で、
見つめていると吸い込まれてしまいそうになるほどだった。
ドカンちゃんはその美しい夜空を見てすごくハイテンションになった。
とても楽しい気分になって建物の中に入ると、
いきなり男の人が話しかけてきた。
「はーい!おげんき~!君、綺麗だねえ、うっとりしちゃうよ、
世界NO!って感じ?もしかしてミスユニバース日本代表?
デルモとかやってる系?」
すごく慣れ慣れしい。
「君とボクとは今日からフレンドさ、一生の親友になるんだ。
これからも連絡取るために、ライン教えてよ」
「ラインはやってません」
「えーまじ~?じゃあメールでいいや。それから生年月日と住所おしえてね」
「個人情報は教えたくないです」
「は?ここは屋久島だよ、何ノリが悪いこといってんの?
何のためにここに来たの?」
「嫌なものは嫌です」
「あ、はいはい。チッ」
舌打ちしてその人はドカンちゃんの前を離れた。
そして新しく来た子にはなしかける。
「やっほ~、おげんき~、ライン教えて~」
「いいよ~」
旅の陽気でテンションの上がった女の子たちが簡単にライン交換して
住所や生年月日、本名を教えている。
「ああ、後々面倒なことになるのに」
ドカンちゃんはつぶやいた。
昔、少しだけカルチャーセンターの漫画コースに
通ったことがあって、そこでうかつにメールを教えたら、
そのメールに大量にスパムメールが届くようになったことがある。
それ以来、個人情報は教えないことにしていた。
屋久島は日本有数の観光地、世俗から離れた聖地に来る気持ちで来たが、
内地の空気を持ち込んでいる人であふれていた。
せっかく、宿はいい所だったけど、ドカンちゃんはすぐに旅館を変わった。
ドカンちゃんは、また港に向かって引き返したが、港近くの雑貨屋さんで
懐中電灯を買って、買い物かごの横にグルグル巻きにしばりつけた。
また、峠で夜になって真っ暗な道をさまようのはまっぴらだ。
新しく見つけた旅館は、地元のがやっている小さな古びた旅館で、
旅館の人達はとても気さくな人たちだった。
壁には鹿の革がかざってある。
背中の所に穴が二つ開いていたので、害獣駆除で取った鹿だと分かった。
「あれ、鹿の革ですね」
ドカンちゃんが笑顔で気軽にそう言うと、急に旅館のご主人の顔が蒼白になった。
「ち、ちがいます! 動物虐待なんてしていません!あれはプラスチックです! 」
「え? でも、ここに銃で撃った穴が……」
「ちがいます!絶対やっていません!」
そう言って、必死の形相で壁の鹿の革を引きはがし、
逃げるように部屋の奥に走り込んでいった。
鹿児島は映画やアニメで自然保護の宣伝に使われる事が多い。
ドカンちゃんも動物保護の人だと思われたのだろう。
ドカンちゃんは動物はみんな好きだけど、
ブラックバスやアライグマの駆除、増えすぎて食害を起こす鹿の駆除まで
反対はしていなかった。
余計な事を言って怖がらせてしまったことをドカンちゃんは反省した。
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