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第二章
二十二話 土佐の高知
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「えっほ!えっほ」
「ズンドコドー!ずんどっと!ズンドコドー!ずんどっと!
青春かーけたーじーてんしゃよー!なーきたいこーともあったのよー!
今さら寸胴なーめながら、あの娘にみいせーる、勝利のえーいこー!」
「何歌ってんの~?」
「土佐のサムライの歌よ!」
シアンちゃんが答えた。
そして、
ドカンちゃんとチカンちゃんは高知の市街地に入った。
「高知といえば土佐の高知の播磨屋橋ね」
「そうなの?」
不思議そうにサバンちゃんがシアンちゃんを見る。
「そうよ!むっちゃ有名なのよ、探さなきゃ」
シアンちゃんとサバンちゃんは必死に播磨屋橋を探す。
無い!
「あのーすいません」
シアンちゃんがたずねるが仕事で忙しい大人たちはその場を素通りする。
シアンちゃんが見えていないようだ。
あ、あそこのおばあちゃんがいいわ!
シアンちゃんは通りがかりのおばあちゃんを見つけ近寄っていく。
「あの、おばさま、この辺りに播磨屋橋はないですか?」
「ああ、播磨屋橋は地下にあるよ、あそこ」
おばあさんが地下道を指さした。
「えー!?」
意味が分からないまま、シアンちゃんとサバンちゃんはその地下道に向かった。
地下道は白い壁のまるで地下鉄の構内のような作りだった。
その一番奥に、播磨屋橋の木の欄干があった。
どうやら、木造では現代では強度に問題があるということで、
解体されて、ここにしまわれたということらしい。
「播磨屋橋が解体されてしまわれてたなんて知らなかったわ」
シアンちゃんは唖然とした。
これも、実際に行って見ないと分からない情報だった。
「しかたないわね、次は高知城に行ってみましょ、高知城」
「そうだね~」
高知の市街地はほとんど平地だったが、高知城は小高い丘の上にある。
「殿様の銅像とかないのかしら、普通、お城にはあるでしょ、殿様の銅像」
シアンちゃんはお城の広場でキョロキョロ辺りを見回す。
「あ、あった!」
サバンちゃんが声をあげる。
「あら、女の人ね」
シアンちゃんがちょっと驚いたような声をあげた。
女の人の銅像の横に馬の銅像が建っている。
「この馬が殿様で、隣が奥方様かな?」
サバンちゃんが首をかしげる。
「はっ!こ、これは!!」
シアンちゃんの目がまん丸になる」
「なに?」
「これが、かの有名な山内一豊の妻よ!」
「え?そんなに有名なの?」
「無茶苦茶有名よ!むっちゃ良い奥さんなのよ!」
「へーすごいね~」
「この山内一豊という人は、浪人から成り上がって大名になった人で、
家臣が少なかったので、近江坂本にいた明智軍の敗残兵なんかも
雇い入れて家臣にしているのよ、その末裔の一人が坂本龍馬って
いわれているわ」
「へ~すごいね」
「あくまで通説だけどね」
お城を降りたシアンちゃんとサバンちゃんは高知の駅前で、
鰹のたたきをたべた。
本州にある鰹のたたきはけっこう薄切りだが
本場の鰹のたたきはものすごく太切りだった。
サバンちゃんとシアンちゃんは大口をあけて、
ハムハムと鰹のたたきをほうばった。
鰹を食べて元気になったシアンちゃんとサバンちゃんは東へと向かう。
高知から徳島へ向かうみちかかなり急峻な場所が多かった。
やっとの思いで、二日かけてサバンちゃんとシアンちゃんは徳島の町に入った。
「ふう、ふう、ふう、やっと徳島についたわ。ドカンちゃんの情報を探さなきゃ」
その時である。
「待つたぬ!」
シアンちゃんの前に茶色に黒の斑点があるお洋服を着た女の子が立ちはだかる。
頭にはネコ耳がはえている。
明らかに地霊だ。
「なによ、あんた」
「私の名は狸猫のリィー マァォだたぬ!」
「リィー マァォって聞いたことがない名前ね」
「インピンは中国語で狸猫のことだタヌ。世間一般にはベンガルヤマネコって言われてるたぬ」
「なんで狸みたいなしゃべりかたしてんの?」
「あ?」
シアンちゃんの後ろに居たサバンちゃんが突拍子も無い声をあげる。
「え?なに?」
「アレ見て!」
サバンちゃんがリィー マァォの尻尾を指さす。
「あ!」
シアンちゃんが目を丸くする。
リィー マァォの尻尾はフッサフサでしかも狸のような縦縞があったのだ。
「あんた、もしかして、狸がばけてるんじゃないの?」
「失礼な!私はれっきとしたヤマネコだたぬ!
それよりもドカンちゃんとチカンちゃんを二日も待たせてどういうつもりだたぬ!」
リィー マァォは怒ってそう言った。
「え!?ドカンちゃんとチカンちゃんいるの!?」
シアンちゃんはびっくり仰天した。
その後ろでサバンちゃんは鼻くそほじっていた。
「あんたも少しは驚きなさいよ!」
シアンちゃんはサバンちゃんに突っ込みを入れる。
「ははは」
サバンちゃんは乾いた声で笑った。
「だいたい、あんたはいつもね!」
シアンちゃんの怒りは収まらない。
「シアンちゃんは怒った顔もかわいいね~大好きだよ~」
サバンちゃんはシアンちゃんを抱きしめる。
「ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと、そんなことで私が……」
シアンちゃんの顔が真っ赤になる。
「私も大すき」
シアンちゃんもサバンちゃんをぎゅっと抱きしめる。
「茶番と弛緩!くだらない小芝居してないで、
さっさといくたぬよ!」
リィー マァォが怒って怒鳴った。
「ズンドコドー!ずんどっと!ズンドコドー!ずんどっと!
青春かーけたーじーてんしゃよー!なーきたいこーともあったのよー!
今さら寸胴なーめながら、あの娘にみいせーる、勝利のえーいこー!」
「何歌ってんの~?」
「土佐のサムライの歌よ!」
シアンちゃんが答えた。
そして、
ドカンちゃんとチカンちゃんは高知の市街地に入った。
「高知といえば土佐の高知の播磨屋橋ね」
「そうなの?」
不思議そうにサバンちゃんがシアンちゃんを見る。
「そうよ!むっちゃ有名なのよ、探さなきゃ」
シアンちゃんとサバンちゃんは必死に播磨屋橋を探す。
無い!
「あのーすいません」
シアンちゃんがたずねるが仕事で忙しい大人たちはその場を素通りする。
シアンちゃんが見えていないようだ。
あ、あそこのおばあちゃんがいいわ!
シアンちゃんは通りがかりのおばあちゃんを見つけ近寄っていく。
「あの、おばさま、この辺りに播磨屋橋はないですか?」
「ああ、播磨屋橋は地下にあるよ、あそこ」
おばあさんが地下道を指さした。
「えー!?」
意味が分からないまま、シアンちゃんとサバンちゃんはその地下道に向かった。
地下道は白い壁のまるで地下鉄の構内のような作りだった。
その一番奥に、播磨屋橋の木の欄干があった。
どうやら、木造では現代では強度に問題があるということで、
解体されて、ここにしまわれたということらしい。
「播磨屋橋が解体されてしまわれてたなんて知らなかったわ」
シアンちゃんは唖然とした。
これも、実際に行って見ないと分からない情報だった。
「しかたないわね、次は高知城に行ってみましょ、高知城」
「そうだね~」
高知の市街地はほとんど平地だったが、高知城は小高い丘の上にある。
「殿様の銅像とかないのかしら、普通、お城にはあるでしょ、殿様の銅像」
シアンちゃんはお城の広場でキョロキョロ辺りを見回す。
「あ、あった!」
サバンちゃんが声をあげる。
「あら、女の人ね」
シアンちゃんがちょっと驚いたような声をあげた。
女の人の銅像の横に馬の銅像が建っている。
「この馬が殿様で、隣が奥方様かな?」
サバンちゃんが首をかしげる。
「はっ!こ、これは!!」
シアンちゃんの目がまん丸になる」
「なに?」
「これが、かの有名な山内一豊の妻よ!」
「え?そんなに有名なの?」
「無茶苦茶有名よ!むっちゃ良い奥さんなのよ!」
「へーすごいね~」
「この山内一豊という人は、浪人から成り上がって大名になった人で、
家臣が少なかったので、近江坂本にいた明智軍の敗残兵なんかも
雇い入れて家臣にしているのよ、その末裔の一人が坂本龍馬って
いわれているわ」
「へ~すごいね」
「あくまで通説だけどね」
お城を降りたシアンちゃんとサバンちゃんは高知の駅前で、
鰹のたたきをたべた。
本州にある鰹のたたきはけっこう薄切りだが
本場の鰹のたたきはものすごく太切りだった。
サバンちゃんとシアンちゃんは大口をあけて、
ハムハムと鰹のたたきをほうばった。
鰹を食べて元気になったシアンちゃんとサバンちゃんは東へと向かう。
高知から徳島へ向かうみちかかなり急峻な場所が多かった。
やっとの思いで、二日かけてサバンちゃんとシアンちゃんは徳島の町に入った。
「ふう、ふう、ふう、やっと徳島についたわ。ドカンちゃんの情報を探さなきゃ」
その時である。
「待つたぬ!」
シアンちゃんの前に茶色に黒の斑点があるお洋服を着た女の子が立ちはだかる。
頭にはネコ耳がはえている。
明らかに地霊だ。
「なによ、あんた」
「私の名は狸猫のリィー マァォだたぬ!」
「リィー マァォって聞いたことがない名前ね」
「インピンは中国語で狸猫のことだタヌ。世間一般にはベンガルヤマネコって言われてるたぬ」
「なんで狸みたいなしゃべりかたしてんの?」
「あ?」
シアンちゃんの後ろに居たサバンちゃんが突拍子も無い声をあげる。
「え?なに?」
「アレ見て!」
サバンちゃんがリィー マァォの尻尾を指さす。
「あ!」
シアンちゃんが目を丸くする。
リィー マァォの尻尾はフッサフサでしかも狸のような縦縞があったのだ。
「あんた、もしかして、狸がばけてるんじゃないの?」
「失礼な!私はれっきとしたヤマネコだたぬ!
それよりもドカンちゃんとチカンちゃんを二日も待たせてどういうつもりだたぬ!」
リィー マァォは怒ってそう言った。
「え!?ドカンちゃんとチカンちゃんいるの!?」
シアンちゃんはびっくり仰天した。
その後ろでサバンちゃんは鼻くそほじっていた。
「あんたも少しは驚きなさいよ!」
シアンちゃんはサバンちゃんに突っ込みを入れる。
「ははは」
サバンちゃんは乾いた声で笑った。
「だいたい、あんたはいつもね!」
シアンちゃんの怒りは収まらない。
「シアンちゃんは怒った顔もかわいいね~大好きだよ~」
サバンちゃんはシアンちゃんを抱きしめる。
「ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと、そんなことで私が……」
シアンちゃんの顔が真っ赤になる。
「私も大すき」
シアンちゃんもサバンちゃんをぎゅっと抱きしめる。
「茶番と弛緩!くだらない小芝居してないで、
さっさといくたぬよ!」
リィー マァォが怒って怒鳴った。
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