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第二章
十二話 藍染め
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「え~!」
ドカンちゃんは目を見開いて驚いた。
スマホで話している相手は木戸健晴だった。
「ごめん、君のことが心配だったんだ」
「でもダメですよ、よりによってシアンちゃ……コホン」
ドカンちゃんは咳払いをする。
「サバンちゃんたちは信頼できるとしても、もし間違って迷子になって
帰ってこれなくなったらどうするんですか」
「でも、地霊は長い間生きてきて色々な機知があるし、大丈夫かなって」
「だめですよ、木戸さんをずっと悪者だと勘違いしていた
トンチキの……いや、心がピュアでイノセントな方たちですよ!
とにかく、ボクたちが探し出して一緒に連れて帰ります」
「ごめんなさい。お願いします」
ドカンちゃんはスマホを切った。
「あ~、お花のヒントを得たらすぐ帰るつもりだったけど、
シアンちゃんとサバンちゃんを探し出さなくちゃ」
「クンクン、クンクン」
チカンちゃんが嗅覚と冷気で気配を探る。
「どうも、最近までこの辺りに居た感じがするなあ」
「この地の地霊さんたちと接触していたらどちら方面に行ったか
話が聞けるのになあ」
ドカンちゃんは困り果てた。
チカンちゃんはキョロキョロと周囲の気配をうかがっている。
「あっちから霊気を感じるよ!」
「そうなの?分かった!」
チカンちゃんが指し示す方向にドカンちゃんは自転車を走らせた。
ドカンちゃんたちが行き着いた先は伊予かすりの記念館だった。
伊予かすりとは藍染めの着物で、伊予の伝統産業である。
ドカンちゃんとチカンちゃんは資料館の中に入る。
「う~ん」
資料館の中の実演コーナーで職人さんがうなっている。
「どうしたんですか?」
ドカンちゃんがたずねる。
「どうも今日は藍の機嫌が悪いんだなあ、いい色が出ない」
「藍って……」
職人さんの目の前には藍染めの墫が三つあり、その向こうに、
藍染めのかすりの着物を着た女の子が、こちらに背中を向けて寝そべっていた。
髪型はおかっぱで頭から藍色の耳が出ている。
「あの~あなたが藍さんですか?」
ドカンちゃんがそう言うと女の子の耳がピクリとうごく。
「あら、あなた、私の姿が見えるのかしら」
女の子が振り返るとともに、酢酸のような鼻をつく異種が
周囲にただよう。
「うっ」
ドカンちゃんは一瞬たじろいだ。
「あら、藍の発酵臭がお気に召さないようね、これでも慣れたらいい匂いなのよ」
目を細めながら女の子が言った。
「あなたが藍さんですか?」
「違うわ。私はビルマ猫のビルマ。ミャンマー種よ」
「綺麗な薄藍色の髪の毛をしているんですね」
「ありがと。機嫌がいいとこの色が染め物に出るのよ」
「今日は機嫌が悪いんですか?」
「だって、こき使うんですもの、疲れちゃった。ちょっとはご褒美もらわないとね」
「ご褒美は何がいいんですか?」
「そうねえ、水飴が好きかな、あとは山田錦の大吟醸のお酒」
「えー子供みたいに見えるんですけど、大丈夫なんですか?」
「私はここの地霊よ。私が直接飲むんじゃなくて、この藍の墫に
入れてくれればいいの」
「えー藍の墫にいれちゃったら怒られますよ」
「あ、入れてくれないの、じゃあ、綺麗な色出してあげない」
ビルマはプイと後ろを向いてしまった。
「困ったなあ……」
ドカンちゃんが困り果てていると、ふとすごく強い視線を感じる。
ハッとして振り返ると、さっきから真剣なまなざしで藍職人さんが
ドカンちゃんを凝視している。
「え、え?何ですか?」
「あなた……もしかして藍の精霊が見えるんですか?」
「え?何でそう思うんですか?」
「あなたの目はそんな目をしている。前に藍の機嫌が悪くなったとき、
とある著名な神社の神官様がいらっさて藍の言葉を伝えてくださいました。
あなたの目はその神官様に似ている」
「え……そうなんですか、じゃあ、私が言ったこと信じてもらえますか?」
「はい」
「あの、ビルマさんは、あ、藍の精霊さんはですね、水飴と山田錦の大吟醸が欲しいと
おっしゃっていました」
「わかりました。水飴と山田錦の大吟醸ですね!」
職人さんはその場を走り去り、しばらくして大吟醸の一升瓶とパックの水飴を
買ってきた。
「いやあ、前も神官様に言われて水飴は分かっていたんですが、
お酒の種類が分からなかったんですよね。
ずっと同じお酒だと飽きてしまうみたいで、機嫌をそこねて
いい色合いが出なくなるんですよ」
「そうだったんですね」
職人さんは何のためらいもなく、水飴とお酒を藍染めの墫のドバドバ入れる。
そして、布を樽の中につけこんだ。
手袋もはめずに素手で布をつけ込んでもみ洗いしている。
「あの、手袋はしないんですか」
「微妙な感覚は素手のほうが分かりやすいですからね。
うん、いい感じだ。いいぞ、これだ」
職人さんの目が輝きだした。
気がつくと、ビルマがこちらに向き直ってニッコリ笑っていた。
ドカンちゃんはニッコリ笑ってビルマに一礼した。
ビルマも微笑みながらペコリと頭をさげた。
「ねえねえ、ここに地霊が来なかった?」
チカンちゃんがたずねた。
「さあねえ、ここには来なかったねえ、松山城にもう一人地霊がいるから
そちらに聞いてみたらどうかな」
ビルマはそう教えてくれた。
「ありがとうございます、ビルマさん」
「ありがと~」
二人は松山城に向かった。
松山城にケーブルで登ったが、地霊は居なかった。
そこから下に降りて大井戸まで来たが地霊は居なかった。
その時、チカンちゃんがピクンと耳をそばだてる。
「なにか聞こえる、ここにたまっている地下水と通じたところから
何か聞こえる」
「何が聞こえるの?」
「太鼓の音だよ!太鼓の音がする方に行って見よう」
「そうだね!」
ドカンちゃんはチカンちゃんが言う方向に自転車をはしらせた。
すると、松山の町の中心地にすごく古風な大きな温泉宿が現れた。
そこの温泉宿の屋根の上の櫓の上で、地霊のクモコがドーン!ドーン!
と太鼓を叩いていた。
「おーい!君地霊だろ?降りてこいよー」
チカンちゃんた叫んだ。
クモコはチカンちゃんに気づく。
「うん、わかった」
クモコは下に降りてきた。
「ねえねえ、地霊見なかった?」
「見たよ、ワチャワチャよくしゃべる子と冷静で醒めた子がいたよ」
「どっちに行ったの?」
「南のほうかな、たぶん、大洲のほうだと思う」
「そうありがとう!」
そこまで会話するとチカンちゃんはニッコリ笑ってドカンちゃんを見た。
「大洲だって」
「わかった。大洲に行こう!」
「うん!」
ドカンちゃんは自転車のカゴにチカンちゃんを入れて南に向かった。
自転車を走らすにつれ、しだいに民家は少なくなってくる。
川沿いの道をずっと進んでいると、向こうのほうに巨大な球場が見えた。
「ああ、あれが有名な坊ちゃんスタジアムだね」
「そうだねー、おおきいねー」
チカンちゃんが感心していた。
そして、二人は南へ進路をとった。
ドカンちゃんは目を見開いて驚いた。
スマホで話している相手は木戸健晴だった。
「ごめん、君のことが心配だったんだ」
「でもダメですよ、よりによってシアンちゃ……コホン」
ドカンちゃんは咳払いをする。
「サバンちゃんたちは信頼できるとしても、もし間違って迷子になって
帰ってこれなくなったらどうするんですか」
「でも、地霊は長い間生きてきて色々な機知があるし、大丈夫かなって」
「だめですよ、木戸さんをずっと悪者だと勘違いしていた
トンチキの……いや、心がピュアでイノセントな方たちですよ!
とにかく、ボクたちが探し出して一緒に連れて帰ります」
「ごめんなさい。お願いします」
ドカンちゃんはスマホを切った。
「あ~、お花のヒントを得たらすぐ帰るつもりだったけど、
シアンちゃんとサバンちゃんを探し出さなくちゃ」
「クンクン、クンクン」
チカンちゃんが嗅覚と冷気で気配を探る。
「どうも、最近までこの辺りに居た感じがするなあ」
「この地の地霊さんたちと接触していたらどちら方面に行ったか
話が聞けるのになあ」
ドカンちゃんは困り果てた。
チカンちゃんはキョロキョロと周囲の気配をうかがっている。
「あっちから霊気を感じるよ!」
「そうなの?分かった!」
チカンちゃんが指し示す方向にドカンちゃんは自転車を走らせた。
ドカンちゃんたちが行き着いた先は伊予かすりの記念館だった。
伊予かすりとは藍染めの着物で、伊予の伝統産業である。
ドカンちゃんとチカンちゃんは資料館の中に入る。
「う~ん」
資料館の中の実演コーナーで職人さんがうなっている。
「どうしたんですか?」
ドカンちゃんがたずねる。
「どうも今日は藍の機嫌が悪いんだなあ、いい色が出ない」
「藍って……」
職人さんの目の前には藍染めの墫が三つあり、その向こうに、
藍染めのかすりの着物を着た女の子が、こちらに背中を向けて寝そべっていた。
髪型はおかっぱで頭から藍色の耳が出ている。
「あの~あなたが藍さんですか?」
ドカンちゃんがそう言うと女の子の耳がピクリとうごく。
「あら、あなた、私の姿が見えるのかしら」
女の子が振り返るとともに、酢酸のような鼻をつく異種が
周囲にただよう。
「うっ」
ドカンちゃんは一瞬たじろいだ。
「あら、藍の発酵臭がお気に召さないようね、これでも慣れたらいい匂いなのよ」
目を細めながら女の子が言った。
「あなたが藍さんですか?」
「違うわ。私はビルマ猫のビルマ。ミャンマー種よ」
「綺麗な薄藍色の髪の毛をしているんですね」
「ありがと。機嫌がいいとこの色が染め物に出るのよ」
「今日は機嫌が悪いんですか?」
「だって、こき使うんですもの、疲れちゃった。ちょっとはご褒美もらわないとね」
「ご褒美は何がいいんですか?」
「そうねえ、水飴が好きかな、あとは山田錦の大吟醸のお酒」
「えー子供みたいに見えるんですけど、大丈夫なんですか?」
「私はここの地霊よ。私が直接飲むんじゃなくて、この藍の墫に
入れてくれればいいの」
「えー藍の墫にいれちゃったら怒られますよ」
「あ、入れてくれないの、じゃあ、綺麗な色出してあげない」
ビルマはプイと後ろを向いてしまった。
「困ったなあ……」
ドカンちゃんが困り果てていると、ふとすごく強い視線を感じる。
ハッとして振り返ると、さっきから真剣なまなざしで藍職人さんが
ドカンちゃんを凝視している。
「え、え?何ですか?」
「あなた……もしかして藍の精霊が見えるんですか?」
「え?何でそう思うんですか?」
「あなたの目はそんな目をしている。前に藍の機嫌が悪くなったとき、
とある著名な神社の神官様がいらっさて藍の言葉を伝えてくださいました。
あなたの目はその神官様に似ている」
「え……そうなんですか、じゃあ、私が言ったこと信じてもらえますか?」
「はい」
「あの、ビルマさんは、あ、藍の精霊さんはですね、水飴と山田錦の大吟醸が欲しいと
おっしゃっていました」
「わかりました。水飴と山田錦の大吟醸ですね!」
職人さんはその場を走り去り、しばらくして大吟醸の一升瓶とパックの水飴を
買ってきた。
「いやあ、前も神官様に言われて水飴は分かっていたんですが、
お酒の種類が分からなかったんですよね。
ずっと同じお酒だと飽きてしまうみたいで、機嫌をそこねて
いい色合いが出なくなるんですよ」
「そうだったんですね」
職人さんは何のためらいもなく、水飴とお酒を藍染めの墫のドバドバ入れる。
そして、布を樽の中につけこんだ。
手袋もはめずに素手で布をつけ込んでもみ洗いしている。
「あの、手袋はしないんですか」
「微妙な感覚は素手のほうが分かりやすいですからね。
うん、いい感じだ。いいぞ、これだ」
職人さんの目が輝きだした。
気がつくと、ビルマがこちらに向き直ってニッコリ笑っていた。
ドカンちゃんはニッコリ笑ってビルマに一礼した。
ビルマも微笑みながらペコリと頭をさげた。
「ねえねえ、ここに地霊が来なかった?」
チカンちゃんがたずねた。
「さあねえ、ここには来なかったねえ、松山城にもう一人地霊がいるから
そちらに聞いてみたらどうかな」
ビルマはそう教えてくれた。
「ありがとうございます、ビルマさん」
「ありがと~」
二人は松山城に向かった。
松山城にケーブルで登ったが、地霊は居なかった。
そこから下に降りて大井戸まで来たが地霊は居なかった。
その時、チカンちゃんがピクンと耳をそばだてる。
「なにか聞こえる、ここにたまっている地下水と通じたところから
何か聞こえる」
「何が聞こえるの?」
「太鼓の音だよ!太鼓の音がする方に行って見よう」
「そうだね!」
ドカンちゃんはチカンちゃんが言う方向に自転車をはしらせた。
すると、松山の町の中心地にすごく古風な大きな温泉宿が現れた。
そこの温泉宿の屋根の上の櫓の上で、地霊のクモコがドーン!ドーン!
と太鼓を叩いていた。
「おーい!君地霊だろ?降りてこいよー」
チカンちゃんた叫んだ。
クモコはチカンちゃんに気づく。
「うん、わかった」
クモコは下に降りてきた。
「ねえねえ、地霊見なかった?」
「見たよ、ワチャワチャよくしゃべる子と冷静で醒めた子がいたよ」
「どっちに行ったの?」
「南のほうかな、たぶん、大洲のほうだと思う」
「そうありがとう!」
そこまで会話するとチカンちゃんはニッコリ笑ってドカンちゃんを見た。
「大洲だって」
「わかった。大洲に行こう!」
「うん!」
ドカンちゃんは自転車のカゴにチカンちゃんを入れて南に向かった。
自転車を走らすにつれ、しだいに民家は少なくなってくる。
川沿いの道をずっと進んでいると、向こうのほうに巨大な球場が見えた。
「ああ、あれが有名な坊ちゃんスタジアムだね」
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チカンちゃんが感心していた。
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