東京ケモミミ学園

楠乃小玉

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第二章 牡丹ろうどう編

十九話 ブラック企業ではよくあること

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 良太から武に電話がかかってきた。

 「武君、ボク一人では解決できそうにない問題を抱えちゃったんだ。
 ちょっと相談に乗って貰えないかなあ」


 「いいよ、ボクでよければ」

 武は良太の家に行った。

 「じつはね、大好きだった漫画家さんにずっとファンレター出してたんだけど、
 まえの鬼畜村の問題で、その漫画家さん漫画家を止めようとしてたんだ。

 それで、ボクは止めないようずっと説得していて、その漫画家さんは
 思いとどまったんだ。
 それで、たまたま、ピクセイにその漫画家さんが絵をアップしていらしたので、
 フォローしたら、その作家さんもボクの事フォローしてくれたんだ。
 それで、DMで話すようになったんだけどね、最近、巷で話題になっている
 炎上騒動あるじゃん。あの炎上のやり方を売れない芸人とかに教えて、
 炎上商法で金儲けをさせているテレビのコメンテーターいるでしょ」

 「ああいるねえ」

 「その漫画家さん、そのコメンテーターに食い物にされてて、
 枕営業を強要されかけたことがあるんだって。
 それを漫画に描いてネットにアップしようとしてるそうなんだ」
 
 「それは勇気があるねえ」

 「でもね、告発は正義の行いだからいいんだけど、そのコメンテーターさんには
 変な妖怪がついていて、ものすごいパワーを付けているみたいなんだ。
 だから、その妖怪に襲われたら、その漫画家さんも怖いなって思っているらしい。
 そこで、武君、なんとかならないかなあ」

 「わかった、そういう事ならボクも協力するよ」

 
 武は良太の要請で、その漫画家さんの自宅に行くことになった。
 その女性漫画家さんはとても清楚でキレイな方だった。

 「このたびは、お力になってくださって、ありがとうございます。とても助かりますわ」

 女性漫画家さんは微笑した。

 「それでは、告発漫画をアップしますので、妖怪が出てきたら私を守ってくださいね」

 「分かりました」
 
 武は頷いた。


 「いきますよ! 」

 女性漫画家がマウスをクリックした。

 一瞬にして周囲が真っ暗になる。

 そして、そこには武しかいなくなった。

 頭の上から声がする。
 
「さて、あなたの目の前にはズタ袋があります。
 そして右には地球儀。
 あなたは、目の前のズタ袋に入っている人を殺すか、
 地球儀を壊すか、自分が死ぬかの三つから選ばなければなりません。
 もし、どれも選ばなければ地球は滅びます。
 地球儀壊せば全人類が滅びます。
 目の前のズタ袋の中の人を殺せば地球は救われ、あなたも救われます。
 第三の道はあなたが死ぬことです。

 さあ、目の前のナタをつかってどれかを選んでください」

 武はナタを掴む。

 「答えはこれだ! 」

 武は空中に向かってナタを投げつける。

 「ぎゃあー!」

 上から落ちてきたのは歪んだ表情の人間の頭。
 
 そこにナタが刺さっていた。

 「闇に滅せよ、釣瓶落とし」

 武が釣瓶落としの前に右手をかざす。

 「う、うわあああああああ」


 釣瓶落としは武の手の中に吸い込まれていった。

 すると、ポンと白い煙がたって、地球儀は良太になった。

 「うわっ! 何が起こったかと思ったよ」

 「んーっ!」

 ずた袋の中から女の人のうめき声が聞こえる。

 開いてみると、そこには女漫画家の先生がいた。

 良太は冷や汗をぬぐった。

 「武君、よくどれか三つの選択肢をえらばなかったね。
 ボクは地球儀に換えられて、身動きがとれなくて、自分が
 ナタで打ち殺されたらどうしようかとおもったよ」

 「これは世の中にはよくあることさ、
 ブラック企業の上司が
 お前は無能で価値がないから、サービス残業しながら
 うちの会社で安月給で働きつづけるしかないと言い続ける。
 しかし、実際には違法行為で会社を訴えることもできる。
 まず、不条理な設問を設定した妖怪を殺すのが一番の解決方法
 なんだけど、人は目の前に写った現実だけにとらわれてしまって、
 他に選択肢があることを忘れてしまうんだ。
 これも妖怪の村で習ったことさ。それが役に立ったよ」

 そう言って武はニッコリと笑った。



 
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