東京ケモミミ学園

楠乃小玉

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第二章 牡丹ろうどう編

十八話 ぬらりひょん

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 久しぶりに武は良太の家に遊びに行った。

 相変わらずライトノベルの本は沢山買っていたけど
 不思議なことにオンラインゲームはやめていた。

 「もうオンラインゲームはやらないの? 」
 武は聞いた。

 「ボクには神無がいるからね、ねー」

 良太は神無に膝枕をされて頭をなでられながら言った。

 神無は微笑をうかべながら良太を見ている。

 
 良太の家から帰って武は思うところがった。

 そして、オンラインゲームで猛烈にガチャを引いてしまう友達の家に行って
 話しを聞いてみた。

 そして、普通にオンラインゲームをやっている友達とも話しをした。

 オンラインゲームをやる人のほとんどは、無課金でやっていた。

 課金をするのでも、サービス期間やどうしてもキャンペーンで攻略できない時など

 限定された時に課金する人が殆ど。

 日常的に、とにかくガチャを引きまくって有り金全部使ってしまう人は、
 ゲームを楽しんでいるというより、ゲームにとりつかれているような気がした。

 色々話しを聞いて、そういう友達を家に誘ってアニメにDVD見たり、
 カラオケに行ってアニメソング歌ったり、youtubeのアニメのランキング解説やっている
 動画を一緒に見たりするうち、その子たちはあんまり課金ガチャを引かなくなった。

 お金をかけるのも、たまにキャンペーンで十連ガチャでLAカード一枚確定、とか
 そういう時だけになっていった。

 結局、みんな寂しさを紛らわせたり、不安から逃げようとしたり、ゲームとは
 別のところで何か問題を抱えている人が多かった。

 普通にお金があって、ストレス発散で課金している人は何の問題もない。

 でも学生でお金がなくてお小遣いの範囲で遊べなくて親御さんのクレジットカードにまで

 手を出してしまうのは問題だ。

 そういう極端な人は、武と交流するにつれ、数が少なくなってきた。


 「ふう、これでなんとか問題解決しそうだな」

 武はそう思って家に帰り着いたとたんに思い出した。

 まだ夏休みの宿題を全然やってない!

 もう夏休みも終わろうとしているのに。
 
 「やばい、すぐに勉強にとりかからないと」

 
 と、思った瞬間、頭に何かひらめく。

 「ちょっと待ってほしい、それより、家の掃除をしよう」

 武は掃除をはじめた。

 次の日、

 「さて、宿題をはじめるか……」

 「だがちょっと待ってほしい、家の中に篭もってばかりでいいのか?
 もっと運動しないと健康に悪いんじゃないのか?」


 「おにーちゃーん」

 美紀が部屋に入ってくる。

 「なにやってるのお兄ちゃん! 冷房も付けないで家の中でヒンズースクワットなんかして!」

 武ははっと我に返った。


 「自分は何をやっているんだ。本当は宿題をやらないといけないのに」


 武は空中に向かって指で九文字を書く。
 
 「カーッ!」

 
 ボン!

 白い煙とともに、武の背中にしがみついている頭の形が巨大な楕円形の妖怪が現れる。

 「お前、なにしてんだ!」

 武はその妖怪を掴んで投げ飛ばした。

 妖怪はクルリと一回転して畳に着地した。

 「ふぉっふぉっふぉ、年寄りは大事にしなきゃいかんよ」

  武は妖怪の村で習った妖怪の知識を思い出す。

 「お前、ぬらりひょんだな。お前がクラスのみんなを現実逃避させてゲームや
 他のやらなくても良いことに目を向けさせていたんだな! 」

 
 「そうともさ」

 ぬらりひょんはニンマリと笑った。

 「おのれっ!クラスのみんなの目を現実からそらさせる悪い妖怪め、退治してやる」

 「悪い?現実から目を背けることが悪いっていうのかい?
 人はみんな夢の中を生きているのさ。自分はいくら努力してもうまくいかないかもしれない。

 自分は作家にはなれないかもしれない。自分はプロ野球の選手にはなれないかもしれない。
 自分は弁護士になれない、医者になれないかもしれない。
 だとしたら、今やっている努力は何なんだ。

 自分の能力に限界を感じたとき、恐怖を感じたとき、

 現実を直視して、絶望して死んでしまうのかい? それとも
 生ぬるく現実から目をそらして、それなりに、ごまかしながら生きていくのかい。

 生きていれば、いずれチャンスもあるだろう。
 現実を直視しつづければ心がボロボロになって人は生きてはいけないのさ。

 その辛い現実から目をそらさせ、妄想の中に生きさせるのが妖怪のつとめ、
 いやさ、この妖怪の総大将のぬらりひょんの役目さね」

 「だまされないで、お兄ちゃん! こいつは、悪い大人を使って、
 わざと人々をイライラさせたりして、余計に人を不安にさせたり、
 イライラさせたりして、自分の仕事をふやそうとしているだけだよ」

 一瞬、ぬらりひょんの言葉を納得しかけていた武は我に返った。

 「お前なんかにだまされないぞ、払ってやる! 」


 武は払え言葉を唱えようとする。


 「おっと、怖い、怖い、そう簡単に払われてたまるもんかい、
 この世の大多数の人間は自分の才能の無さや失敗して破滅してしまう可能性から
 目を背けて生きているんだ。その負のエネルギーがなくならないかぎり、ワシは不滅じゃよ、

 ひゃーっひゃひゃひゃ! 心がぴょんぴょんするんじゃー!」


 ぬらりひょんは笑いながら武の家の壁をすりぬけ、
 ぴょんぴょん跳ねながらどこかへ跳ねて消え去っていった。
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