東京ケモミミ学園

楠乃小玉

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第二章 牡丹ろうどう編

十四話 炎上商法

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 鬼畜村が廃止になったというニュースをネットで確認して家を出ると、
 家の前に大勢の人達が群がっていた。

 みんな、ちょっとオタクっぽい格好をしている
 
 ひょうっとして、鬼畜村を潰された報復にきているのか?

 「うわーっ!」

 叫びながらオタクが武に群がってくる。

 「武君バンザーイ!」
  
 「漫画を守った英雄バンザーイ!」

 オタクたちは武を胴上げした


 「え? え? ボクは何もしてませんよ、ほとんど伏見さんと金長さんが……」

 その横に金長が立っている
 
 ニッコリ笑ってグットサインを出した。

 実は、金長がすべての手柄は武にあるとインターネット生配信で発言したのだった。

 伏見もニヤニヤ笑いながら腕組みをしてその光景を眺めていた。


 二人はすべての手柄を武に譲ってくれた。

 武は晴れて仮免から陰陽師の力をフルでつかえる許可を貰い、

 監視役の伏見と金長、それと警察に捕まっていた豆狸も執行猶予で帰ってきて、
 みんなで仲良く妖怪の村へと帰っていった。

 これで何もかも解決したと思った。

 しかし、問題はそれほど簡単ではなかった。

 それからしばらくして、インターネットで炎上が多発した。

 とあるネットアイドルの女性がストーカーに滅多刺しにされ、
 それをタレントが「刺された女が調子に乗ってネットアイドルなんかやっているのが悪い」

 とネットで発言して大炎上する騒動があった。
 
 そのあと、ある芸人が「四十才すぎた女は欠陥住宅だから生きている価値はない」
 と発言して大炎上。

 人を小馬鹿にしたような動画を動画投稿サイトに投稿して、炎上して再生回数が上がり、
 そうした売れなくなったタレントが大もうけするというような騒動が起こりだした。

 「またかよ……」

 武はあきれた。

 どうしてこうも矢継ぎ早に騒動が起こるのか。

 偶然にこのような同じ事が起こるとは思えない。

 何かカラクリがあるに違いない。

 そう思った武は自分のパソコンを立ちあげ、インターネットにつなげて
 そこに手をかざし、神経を集中する。

 すると、そういう問題発言をしている人間たちの精神の導線が一人の人間に繋がる。

 自称オタクの帝王。

 実際は、テレビでコメンテーターをしていて、テレビではオタク解説員として重宝されている
 評論家だった。

 実際は、アニメやゲームに対する理解度は低く、新しいトレンドであるアニメ「ネコとフレンズ」
 も、「つまらないゴミみたいなクソアニメ」と言って酷評していた。

 実際はミリオンセラーの大ヒットになったわけだ。

 その問題発言をしている人達、全員がそのコメンテーターと接点がある。

 怪しいなと思いつつも、その人物自体は問題発言をしていない。

 しかし、陰陽道を使ってしらべると精神的に繋がっている。

 この霊界と現世のつながりを一般社会に説明できないのがもどかしくてたまらなかった。
 とはいえ、こんなに大々的に一般民衆を不愉快にして憎しみを蓄積しているのには
 なにかワケがあるはずだ。

 裏に人間界の怒りや憎しみを食べて栄養にしている妖怪がきっといるのだと
 武は確信していた。
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