東京ケモミミ学園

楠乃小玉

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第二章 牡丹ろうどう編

十二話 熟して実が落ちるまで

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 最後に狐の伏見だけ残った。

 伏見は時々漫画違法サイト、鬼畜村を監視するだけで、別段アクションは起こさなかった。

 「放置しておいていいんですか? 」
 武が質問する。

 「今はまだ青い果実だ。熟して腐って落ちるのを待て」

 伏見は冷静に言った。

 「意味が分からないです」

 「ならこのデータを見てごらん」

 伏見我調査したデータを紙にプリントしたものを武に見せる。
 そこには鬼畜村の勢力が拡大しすぎたせいで、
 ほかの違法サイトが採算がとれず、次々とつぶれていく様子が手に取るように分かった。

 「はあ、これで、違法サイトがつぶれていってるってのは分かりました。
 でも、そのぶん鬼畜村が肥大化してるんだから意味がないじゃないですか」

 「意味はあるよ」

 冷静に伏見は言った。

 伏見は冷静に鬼畜村周辺の情報を集めていった。

 そして、鬼畜村運営者のツイッターを突き止めた。

 伏見はツイッターのアカウントを作って運営者に質問をする。

 「鬼畜村が出来た事により、多くの漫画家さんが廃業に追い込まれています。
 その事についてどのようにお考えでしょうか」

 あくまでも冷静に伏見は書いた。

 「それは、その程度で廃業する漫画家が無能なんだよ。
 むしろ、そんな誰にも見られないようなゴミみたいな漫画を
 無料でも見せてあげているだけ、ボクは感謝してもらいたいな」

 運営者の返事が返ってきた。

 「ありがとうごあいました。勉強になりました」

 そう書いて伏見はツイッターを閉じた。

 「な、何やってるんですか、そんな事書いたら鬼畜村のヤツ、どんどん増長していくじゃないですか」

 「いいんだよ、増長して、もっと水をやって肥料をやって増長の花を咲かせ実をたわわに
 実らせよう」

 そう言いながら伏見はうすら笑いを浮かべた。

 この妖怪、何を考えているのか分からない。
 
 武は背筋がゾクゾクっと寒くなった。



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