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第二章 牡丹ろうどう編
十一話 病院送り
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武の危惧を他所に、オンラインゲームキャラクターのたぬチャンは大人気となり、
特に、彼の熱狂的な親衛隊長、良太君は、たぬチャンにものすごくなついていて、
貢ぎ物もくれていた。
「このハンドルネーム……」
どう考えても良太だった。
言うべきか言わざるべきか。
それからしばらくして、武が部屋に入ると、金長が動画を撮っていた。
オンラインゲームのガチャを回して、それを生放送で配信しているらしい。
武は邪魔にならないように部屋を出た。
そのすぐあと、良太からラインが入る。
「まずいよ武君、大炎上しているよ」
「何の事?」
武はすぐラインを返す。
良太からSNSのスレットリンクが帰ってくる。
そこを開くと
「ネカマに率いられた変態集団、まじキモイ」
投稿者の名前は南ちゃん。
悪い予感がした。
内容を読んでみる。
「某ゲームで人気のロリータキャラ、たぬチャンは、じつは生配信主、たぬきエンターテイメントの
オッサン、タヌキ君だった」
また、先日話題となった京都の観光ポスター、渋谷のポスターに写っていた美少女と
たぬチャンのプロフィール写真の女の子の骨格の比率が全部一緒であるという
比較検証サイトが現れ、
たぬチャンのプロフィール写真が五百円で買えるフリー素材であることも判明した。
「大変な事になりましたよ! 金長さん! 」
俺は部屋に走り込む。
しかし金長は平然としている。
「大丈夫、大丈夫、ネットゲームにいる女の子なんて全員ネカマだって常識だから。
みんな、そんな事くらい分かっているって」
そう言って金長はゲームにログインする。
すると、すぐに親衛隊長の良太君が走り寄ってくる。
「ほらね」
金長がニッコリ笑う。
「おーい、みんなー!おじさんが来たよ~! 」
良太君がメッセージを飛ばす。
「やあ、良太君、さびしかったぞ、ぷんぷん」
金長はクネクネリアクションのボタンを押しながら文章を書き込む。
「黙れ、ネカマクソオヤジが」
ブスッ!
良太君がたぬチャンをナイフでブッ刺す。
「蘇生!」
ブスッ!
「蘇生!」
ブスッ!
個人のマジックポイントでそこまで何度も蘇生できないと思うので
明らかに課金でMp回復しながら殺してる。
その日のうちにたぬチャンはゲーム内の一日での殺され記録をダブルスコアーで更新した。
それでも金長は平気な顔をしている。
「あはは、別に問題ないよ。こんなゲーム、止めちゃえばいいんだから。
別のゲームでまたネカマやるさ」
その時、バン!と武の部屋の扉が勢いよく開く。
良太だった。
「ご、ごめんなさい、良太君」
武はそう言うが、良太は武に見向きもせずに必死な顔で金長を見た。
「金長さん、早く逃げてください! 」
「へ?」
そこに真っ黒なメイド服を着た神無が走り込んでくる。
「てめえ、調子ぶっこいてんじゃねえぞ、ボケが」
神無は金長に馬乗りになってボコボコに殴り倒す
「実はオンラインゲームの良太君は神無だったんだよー!」
良太がさけぶ。
「なんだってー!」
(武+伏見)
そのあと、神無は金長の生放送に顔出しで写る。
「ごめんなさい、太っちょで不細工で不器用なネットキャラの男の子、
良太君は実は私だったんです。私、実はネナベだったんです。ごめんあさい……」
そう言って、神無は目からポロポロと涙を流した。
「いいんだよー!」
「きにしないで~」
「良太君は良太君だから~」
生放送の画面は激励の言葉と投げ銭チャットの札束の嵐で埋め尽くされた。
「うぐぐぐぐ……俺と同じ事してんのに、何でこいつだけ……げほっ」
そう言いながら金長は口から血を吐いた。
金長は病院送りになってしまった。
特に、彼の熱狂的な親衛隊長、良太君は、たぬチャンにものすごくなついていて、
貢ぎ物もくれていた。
「このハンドルネーム……」
どう考えても良太だった。
言うべきか言わざるべきか。
それからしばらくして、武が部屋に入ると、金長が動画を撮っていた。
オンラインゲームのガチャを回して、それを生放送で配信しているらしい。
武は邪魔にならないように部屋を出た。
そのすぐあと、良太からラインが入る。
「まずいよ武君、大炎上しているよ」
「何の事?」
武はすぐラインを返す。
良太からSNSのスレットリンクが帰ってくる。
そこを開くと
「ネカマに率いられた変態集団、まじキモイ」
投稿者の名前は南ちゃん。
悪い予感がした。
内容を読んでみる。
「某ゲームで人気のロリータキャラ、たぬチャンは、じつは生配信主、たぬきエンターテイメントの
オッサン、タヌキ君だった」
また、先日話題となった京都の観光ポスター、渋谷のポスターに写っていた美少女と
たぬチャンのプロフィール写真の女の子の骨格の比率が全部一緒であるという
比較検証サイトが現れ、
たぬチャンのプロフィール写真が五百円で買えるフリー素材であることも判明した。
「大変な事になりましたよ! 金長さん! 」
俺は部屋に走り込む。
しかし金長は平然としている。
「大丈夫、大丈夫、ネットゲームにいる女の子なんて全員ネカマだって常識だから。
みんな、そんな事くらい分かっているって」
そう言って金長はゲームにログインする。
すると、すぐに親衛隊長の良太君が走り寄ってくる。
「ほらね」
金長がニッコリ笑う。
「おーい、みんなー!おじさんが来たよ~! 」
良太君がメッセージを飛ばす。
「やあ、良太君、さびしかったぞ、ぷんぷん」
金長はクネクネリアクションのボタンを押しながら文章を書き込む。
「黙れ、ネカマクソオヤジが」
ブスッ!
良太君がたぬチャンをナイフでブッ刺す。
「蘇生!」
ブスッ!
「蘇生!」
ブスッ!
個人のマジックポイントでそこまで何度も蘇生できないと思うので
明らかに課金でMp回復しながら殺してる。
その日のうちにたぬチャンはゲーム内の一日での殺され記録をダブルスコアーで更新した。
それでも金長は平気な顔をしている。
「あはは、別に問題ないよ。こんなゲーム、止めちゃえばいいんだから。
別のゲームでまたネカマやるさ」
その時、バン!と武の部屋の扉が勢いよく開く。
良太だった。
「ご、ごめんなさい、良太君」
武はそう言うが、良太は武に見向きもせずに必死な顔で金長を見た。
「金長さん、早く逃げてください! 」
「へ?」
そこに真っ黒なメイド服を着た神無が走り込んでくる。
「てめえ、調子ぶっこいてんじゃねえぞ、ボケが」
神無は金長に馬乗りになってボコボコに殴り倒す
「実はオンラインゲームの良太君は神無だったんだよー!」
良太がさけぶ。
「なんだってー!」
(武+伏見)
そのあと、神無は金長の生放送に顔出しで写る。
「ごめんなさい、太っちょで不細工で不器用なネットキャラの男の子、
良太君は実は私だったんです。私、実はネナベだったんです。ごめんあさい……」
そう言って、神無は目からポロポロと涙を流した。
「いいんだよー!」
「きにしないで~」
「良太君は良太君だから~」
生放送の画面は激励の言葉と投げ銭チャットの札束の嵐で埋め尽くされた。
「うぐぐぐぐ……俺と同じ事してんのに、何でこいつだけ……げほっ」
そう言いながら金長は口から血を吐いた。
金長は病院送りになってしまった。
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