東京ケモミミ学園

楠乃小玉

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第二章 牡丹ろうどう編

七話 おまわりさん、こいつです

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 夏休みの中間日、学校へ一日だけ登校して状況を報告する登校日というのは
 我が校にはある。
 
 そこで、久しぶりに友達を顔を合わす。

 「おい、まじかよ、漫画がタダで読み放題だってよ」

 「金払うなんてばからしくなっちまうよな」

 そんな事をコソコソ話し合ってる友達がいる。

 「おい、ヤバイよ、そんなの個人情報抜き取られて脅されたりするよ! 」

 武は友達に警告する。

 「大丈夫だって。俺たち未成年だし、そんなサイト見てるって脅されたって、警察に捕まるわけざないし、
 クレカだって持ってねえしさ、晒されたって別になんともねえよ」

 「いや、危ないって!」

 「大丈夫、大丈夫」

 そうやって友達がヘラヘラしている中、教室の隅で一人ドヨーンとしている男の子が居た。
 
 美術部の一郎だった。

 一郎はフラフラと教室を出て行く。

 「おい、あいつ何か危ないぞ」

 卯月がいった。

 「あとをつけてみよう」

 武はそう言って卯月とともに一郎の後を追った。

 一郎は体育館の裏側の木にロープをかけて首を吊ろうとする。


 「わああああああーやめろー!」

 武は慌ててそれを止めに入る。

 「話してくれ! もう生きてたって何も面白いこともないんだ! 夢も希望もないんだ! 」

 一郎は暴れる。

 「そんなことないよ、いきていればかならず良いこともあるよ! 」

 「そうだぞ、私のようなキレイな狐のお姉さんにも会えるぞ」

 一郎は魚の死んだような目で卯月を見る。


 「あ、ぼく、中古のビッチには興味ないんで」

 「誰が中古のビッチじゃ、この腐れホウケイのチンカスがああああ~!」

 激怒した卯月が両手で一郎の首を掴んでグイングイン振り回す。

 「ぐがあああー、首が絞まる!苦しい! やべでええええ~!は~だ~し~で~!」

 一郎が叫んで暴れる。

 「うわー!卯月止めろおおおおおおお!」

 武が必死に止める。

 「はあはあはあ、死ぬかと思ったよ、怖かった」

 一郎は首をさすった。

 「いったい、何があったんだい」

 「実はボク、子供の頃からコツコツと漫画書いててね。この前、小さな漫画雑誌の投稿漫画で
 佳作をとったんだ」

 「そりゃすごいじゃん!」

 「でも、その漫画雑誌が売り上げ不振で廃刊になっちゃったんだ。
 それで、ボクをアシスタントのアルバイトで夏休み雇うって言ってくれていたプロの作家さんも
 仕事がなくなってボクは雇ってくれなくなったんだ」

 「大丈夫だよ、また面白い漫画を描けばみんな買ってくれるから」

 「買ってくれないよ!最近、漫画の海賊版が無料で見放題になって、
 だれも漫画を買わなくなったんだ。漫画もライトノベルももうおしまいだよ!」

 「ああ……そうか、そんあ事になっていたのか。なんとかならないかなあ卯月」

 「そんなヤツは私がぶっ飛ばしてやる!ここに連れてこい!」

  卯月は握り拳を見せる。

 「そんなの、殴ったらこっちが警察に捕まっちゃうよ」

 「じゃあ、どうすれあいいのじゃ! 」

 「それが分からないから困ってるんだよ」

 「う~む」

 卯月は腕組みをしてしまった。

 武はとりあえず家に帰った。

 「あ~おかえり~」

 武が帰ると家の庭先で豆狸でたき火をして、大きな鉄釜を上にのせてグツグツと
 米を煮ている。

 「何やってるんですか! 」

 「酒を造るにきまってんだろ、豆狸の仕事は酒をつくることだぞ、灘の酒は日本一うまいぞ!
 酒が出来たら近所にも配るって、さっき町内にビラまいといたから」

 「だめですよ、日本じゃ免許がなきゃお酒は造っちゃダメなんですから」

 「うるしぇー!妖怪に免許もへったくれもあるかー!」

 そこに近所の人がおまわりさんを連れてやってくる。

 「おまわりさん、こいつです」

 ピーポーピーポー

 豆狸はおまわりさんにつれていかれた。

 この大事な時に!!!

 
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