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第二章 牡丹ろうどう編
二話 責任重大
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「と、いうことで、私の名前は牡丹ロードでえ、ダ~リンは私のものなの~」
牡丹は武の腕に自分の腕を絡みつけて意識的に胸をすりつけていた。
「てめえ! それは私んのだぞ!勝手に取るなー! 」
卯月は怒鳴りながら、拳固で牡丹を殴りつけようとする。
牡丹はスルリとそれをかわし、武のパソコンの中にぺろんと入ってしまった。
「あなた、パソコンは苦手でしたわね、ご愁傷様、てへペロ」
そう言って牡丹はぺろんと舌を出してシュン! とパソコンの中に逃げ込んでしまった。
「こいつ、ぶっ壊す! 」
卯月は拳を振り上げる
「あーだめだめ、このパソコン壊しても、たぶんオンラインで別のパソコンに行くだけだから」
「じゃあ、どうすんだよ! 」
「今のところ、解決策はわかんないよ」
「あー、イライラする、もう! 」
卯月はプンプン怒った。
困り果てた武はその事を下谷の女宮司様のところへ相談に行った。
「こいつはびっくりしたやの広徳寺」
「宮司様、洒落いってる場合じゃないです」
「こりゃすまん。さてはて、
お前にもとうとう来るべきものが来たってことかね」
「何がですか」
「お前、陰陽師の家系だろ」
「そうらしいですがボクには関係ありません」
「それが大ありなんだな、お前にもとうとう能力開放の時が来たってことだよ」
「能力開放?」
「妖怪ってのは腕力物理に強いヤツがほとんどだ。それに対して陰陽師は
精神世界。いまのパソコンウエブ時代じゃあ、陰陽師の能力が最大限に
発揮できる好条件。 ただ、あまりに力が強大すぎて、分別がつかない時に
能力を開放しちまうと、間違った方向に暴走ちしまう子もいる。
よって、我が家が代々近隣の陰陽師の開放時期を決定する使命を
おってたってわけさ。あんたは、前の事件の解決を見ても、十分
陰陽師としてやっていけるだけ心も成長したよって、私がお前の能力を解放する」
「え~そうだったんですか」
「それではいくぞ、素養開花千変万化能力開放! 」
宮司様が俺の頭に手のひらをかざして叫ぶ。
武の視界がぱっとひらけた。
「あ、なんか体が軽くなった気がします」
「では、息災でな」
宮司様はニッコリわらって手を振った。
神社を出ると、電線の中を流れる微妙な気のようなものを武は感じるようになっていた。
中には時より、ゾワゾワっとする悪い気もある。
きっと、殺人映像とか悪いものを受信してきているんだろう。
「これは責任重大だな」
武は決意を固めた。
時期はちょうど夏休み直前。
夏の暑い日差しが武の頭上から容赦なくふりそそいでいた。
牡丹は武の腕に自分の腕を絡みつけて意識的に胸をすりつけていた。
「てめえ! それは私んのだぞ!勝手に取るなー! 」
卯月は怒鳴りながら、拳固で牡丹を殴りつけようとする。
牡丹はスルリとそれをかわし、武のパソコンの中にぺろんと入ってしまった。
「あなた、パソコンは苦手でしたわね、ご愁傷様、てへペロ」
そう言って牡丹はぺろんと舌を出してシュン! とパソコンの中に逃げ込んでしまった。
「こいつ、ぶっ壊す! 」
卯月は拳を振り上げる
「あーだめだめ、このパソコン壊しても、たぶんオンラインで別のパソコンに行くだけだから」
「じゃあ、どうすんだよ! 」
「今のところ、解決策はわかんないよ」
「あー、イライラする、もう! 」
卯月はプンプン怒った。
困り果てた武はその事を下谷の女宮司様のところへ相談に行った。
「こいつはびっくりしたやの広徳寺」
「宮司様、洒落いってる場合じゃないです」
「こりゃすまん。さてはて、
お前にもとうとう来るべきものが来たってことかね」
「何がですか」
「お前、陰陽師の家系だろ」
「そうらしいですがボクには関係ありません」
「それが大ありなんだな、お前にもとうとう能力開放の時が来たってことだよ」
「能力開放?」
「妖怪ってのは腕力物理に強いヤツがほとんどだ。それに対して陰陽師は
精神世界。いまのパソコンウエブ時代じゃあ、陰陽師の能力が最大限に
発揮できる好条件。 ただ、あまりに力が強大すぎて、分別がつかない時に
能力を開放しちまうと、間違った方向に暴走ちしまう子もいる。
よって、我が家が代々近隣の陰陽師の開放時期を決定する使命を
おってたってわけさ。あんたは、前の事件の解決を見ても、十分
陰陽師としてやっていけるだけ心も成長したよって、私がお前の能力を解放する」
「え~そうだったんですか」
「それではいくぞ、素養開花千変万化能力開放! 」
宮司様が俺の頭に手のひらをかざして叫ぶ。
武の視界がぱっとひらけた。
「あ、なんか体が軽くなった気がします」
「では、息災でな」
宮司様はニッコリわらって手を振った。
神社を出ると、電線の中を流れる微妙な気のようなものを武は感じるようになっていた。
中には時より、ゾワゾワっとする悪い気もある。
きっと、殺人映像とか悪いものを受信してきているんだろう。
「これは責任重大だな」
武は決意を固めた。
時期はちょうど夏休み直前。
夏の暑い日差しが武の頭上から容赦なくふりそそいでいた。
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