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七十二話 山岡兄弟との縁
しおりを挟む 武田が攻めてこない。
何が会ったか分からないが、武田が攻めてこない
武田が攻めてこないから信長は軍を京に集結させようとしていた。
ちょうどその状況で足利義昭が謀反を起し、京で挙兵した。
飛んで火に居る夏の虫とかこのことである。
柴田勝家、明智光秀、丹羽長秀、蜂屋頼隆らの部隊が足利義昭の軍勢に攻めかかる。
足利の部隊の中に、六角家の旧臣、山岡景友がいた。
足利の寄せ集めの軍が総崩れになる中、この山岡隊だけが徹底抗戦の構えを見せていた。
兄である山岡景隆が佐久間の軍に与力として付けられていたので、
左京亮は景隆を呼んで、弟の不始末を詰問した。
山岡氏は六角氏敗戦の時も最後まで抵抗して織田に歯向かい、
此度もこの負け戦の中、伊賀衆、甲賀衆を率いて織田に歯向かっている。
伊賀、甲賀に関しては透っ破衆の杉谷善住坊が信長を狙撃して、信長のマントに風穴をあけるという
とんでもないことをしている。
それでも、信長は伊賀衆、甲賀衆の行為を不問にふし、こうやって山岡景隆も雇ってやっているのだ。
「弟の不始末どうするのだ」
左京亮がそう言うと、山岡景隆は沈痛な面持ちで目を伏せた。
「どうかこの景隆に武器弾薬を御貸しください。弟を討ち取ったのち、頭を丸めて出家いたします」
「おまえら素っ破は、僧侶になっても攻めてくるからなあ、それに、兵を与えて
敵の城に入られ、寝返られてはたまらん」
「そこまで信用していただけませぬか」
「今まで己らがやったことを振り返って見てみよ」
左京亮がそういうと、山岡景隆は唇をかみしめた。
唇からかすかに血がにじむ。
「あっぱれであるぞ」
後ろから声がしたので左京亮が驚いて振り返ると、それは兄の信盛であった。
「何があっぱれでございますか、こ奴らは信用もクソもない奴らです」
「いやいや、このような負け戦で最後まで籠城して主に義理立てするとは立派なことだ。
先の六角、此度の義昭、まことに見事じゃ」
「織田は裏切っているではありませぬか」
「織田に雇われたこの隆景は裏切ってはおらぬではないか」
「しかし……」
「まあよい、弟は助けてやれ。ワシが親戚の柴田勝家に書状を書いてやる。
柴田に面会して弟に降伏するようよびかけてみよ」
「なんと、弟を殺さずともよいのですか」
「うむ、この信盛が書状を書くのだ。柴田も承諾してくれるであろう」
「ありがとうございます」
景隆は地面に額をすりつけて土下座をした。
「ああ、よいよい、ちょっとまて書状を書く」
そう言って信盛は勝家に書状を書いた。
山岡景隆はその書状を持って柴田勝家の元に行き、
石山城に籠る山岡景友の元に使者として走った。
普通これはあり得ないことである。
兄弟で城に籠って兵糧も持ち込まれる事も大いにありうるからだ。
しかし、佐久間信盛の所業が大きく響いた。
信盛の寛容さに景友は感じ入り、景友は織田に降伏した。
そして信盛の家臣になることを願い出たのである。
信盛はこれをあっさり承諾した。
まったく人がいいにもほどがあるというものだ。
何が会ったか分からないが、武田が攻めてこない
武田が攻めてこないから信長は軍を京に集結させようとしていた。
ちょうどその状況で足利義昭が謀反を起し、京で挙兵した。
飛んで火に居る夏の虫とかこのことである。
柴田勝家、明智光秀、丹羽長秀、蜂屋頼隆らの部隊が足利義昭の軍勢に攻めかかる。
足利の部隊の中に、六角家の旧臣、山岡景友がいた。
足利の寄せ集めの軍が総崩れになる中、この山岡隊だけが徹底抗戦の構えを見せていた。
兄である山岡景隆が佐久間の軍に与力として付けられていたので、
左京亮は景隆を呼んで、弟の不始末を詰問した。
山岡氏は六角氏敗戦の時も最後まで抵抗して織田に歯向かい、
此度もこの負け戦の中、伊賀衆、甲賀衆を率いて織田に歯向かっている。
伊賀、甲賀に関しては透っ破衆の杉谷善住坊が信長を狙撃して、信長のマントに風穴をあけるという
とんでもないことをしている。
それでも、信長は伊賀衆、甲賀衆の行為を不問にふし、こうやって山岡景隆も雇ってやっているのだ。
「弟の不始末どうするのだ」
左京亮がそう言うと、山岡景隆は沈痛な面持ちで目を伏せた。
「どうかこの景隆に武器弾薬を御貸しください。弟を討ち取ったのち、頭を丸めて出家いたします」
「おまえら素っ破は、僧侶になっても攻めてくるからなあ、それに、兵を与えて
敵の城に入られ、寝返られてはたまらん」
「そこまで信用していただけませぬか」
「今まで己らがやったことを振り返って見てみよ」
左京亮がそういうと、山岡景隆は唇をかみしめた。
唇からかすかに血がにじむ。
「あっぱれであるぞ」
後ろから声がしたので左京亮が驚いて振り返ると、それは兄の信盛であった。
「何があっぱれでございますか、こ奴らは信用もクソもない奴らです」
「いやいや、このような負け戦で最後まで籠城して主に義理立てするとは立派なことだ。
先の六角、此度の義昭、まことに見事じゃ」
「織田は裏切っているではありませぬか」
「織田に雇われたこの隆景は裏切ってはおらぬではないか」
「しかし……」
「まあよい、弟は助けてやれ。ワシが親戚の柴田勝家に書状を書いてやる。
柴田に面会して弟に降伏するようよびかけてみよ」
「なんと、弟を殺さずともよいのですか」
「うむ、この信盛が書状を書くのだ。柴田も承諾してくれるであろう」
「ありがとうございます」
景隆は地面に額をすりつけて土下座をした。
「ああ、よいよい、ちょっとまて書状を書く」
そう言って信盛は勝家に書状を書いた。
山岡景隆はその書状を持って柴田勝家の元に行き、
石山城に籠る山岡景友の元に使者として走った。
普通これはあり得ないことである。
兄弟で城に籠って兵糧も持ち込まれる事も大いにありうるからだ。
しかし、佐久間信盛の所業が大きく響いた。
信盛の寛容さに景友は感じ入り、景友は織田に降伏した。
そして信盛の家臣になることを願い出たのである。
信盛はこれをあっさり承諾した。
まったく人がいいにもほどがあるというものだ。
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