三國志 on 世説新語

ヘツポツ斎

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晋編2 竹林七賢

阮籍3  阮さんちの皆さん

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諸阮皆能飲酒,仲容至宗人閒共集,不復用常桮斟酌,以大甕盛酒,圍坐,相向大酌。時有群豬來飲,直接去上,便共飲之。(任誕12)


げん氏の皆さん、お酒が大好き。
みんながわいわいしているところに、
やがて阮咸げんかんも合流する。

そこで阮咸が持ち出したのは、
いわゆる杯、ではない。
カメ、壺。
そう呼びたくなる代物だ。

そこになみなみと酒をつがれ、
車座の中で、グイッと飲み干す。

そこにふらりと来たものがあった。
豚だ。
宴会の匂いに釣られてきたらしい。

阮氏の皆さん、豚を迎え入れる。
そして、一緒に酒を飲むのだった。

そんな感じで、なんだかんだ
仲のいい阮氏の皆さんではあったが、
その振る舞いにも、いろいろと
秘められたところがあったようだ。


阮渾長成,風氣韻度似父,亦欲作達。步兵曰:「仲容已預之,卿不得復爾。」(任誕13)


阮籍げんせきの息子、阮渾げんこん
その雰囲気や振る舞いは
非常に父親そっくりであり、
そして父親のように
放埓に振る舞いたい、
とも考えていた。

が、阮籍は言う。

「お前が望んでいるところには、
 もう阮咸がいる。

 君に居場所はないよ」


 ○


群豬
豚が合流したって話、えづら的にはめっちゃ面白くて好きなんだけど、理性が俺に「いやこれちょ氏のことなんじゃねえの?」と囁きかけてきてだな……いやそんなことやっちゃったらこのエピソードの何が面白いのって話になっちゃうのもわかるんだけどな……

阮渾
井波氏の説によると、阮籍の放埓な振る舞いは飽くまで現政権への拒否という側面があったのだが、息子はその部分にまで立ち入らず、あくまでただ放埓に振る舞いたいだけだったのではないか、とのことである。この辺は阮籍の詠懐詩とセットで読み込むことによって全くいろどりが変わってくるんでしょうなあ。とりあえず文選収録ぶんだけでも読んでおくか。
つうか今見たら阮籍、息子への呼び名が汝じゃなくて卿なのか。なんだこの人の距離感。こええ。
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