三國志 on 世説新語

ヘツポツ斎

文字の大きさ
上 下
82 / 142
晋編1 司馬氏台頭

鍾会3  人事査定

しおりを挟む
王戎おうじゅう裴楷はいかい
二人は神童として有名だった。


王濬沖、裴叔則二人,總角詣鍾士季。須臾去後,客問鍾曰:「向二童何如?」鍾曰:「裴楷清通,王戎簡要。後二十年,此二賢當為吏部尚書,冀爾時天下無滯才。」(賞譽6)


そんな二人が鍾会しょうかいのもとを訪問した。

しばらく語り合った後、二人が退出。
その様子を眺めていた別の客が、
鍾会に質問する。

「いまの二人のちびっ子、
 どのような印象でしたか?」

鍾会は答える。

「裴楷は清廉にして聡明。
 王戎はシンプルな言葉で本質を突く。

 二十年もすれば、かれらが国の
 人事に絡んだりもすることになるだろう。

 そうなった時には、かれらの才能が
 活かされてほしいものだよ。

 そうすれば、天下に埋もれている才能が
 残らず見出されることだろうな」


鍾士季目王安豐:阿戎了了解人意。謂裴公之談,經日不竭。吏部郎闕,文帝問其人於鍾會。會曰:「裴楷清通,王戎簡要,皆其選也。」於是用裴。(賞譽5)


そして、二十年後。
鍾会が王戎と裴楷について評価する。

「王戎は一言聞けば、
 すぐにその人の意図を理解する。

 裴楷は、とにかく喋る。
 たぶんほっとくと何日も喋ってる」

折りも折り「吏部」、
即ち人事部に欠員が出た。
そこで司馬昭しばしょう、人選について、
鍾会に意見を求めた。

「裴楷は物事に通じ、また人品清らか。
 王戎は本質を、端的に見抜きます。
 どちらも適任でしょう」

この意見を受けて、司馬昭は
裴楷を就任させた。


 ○


裴楷
 王戎と同レベルの清談の名手として称揚されている。雄弁と寡弁じゃ、まぁ確かに雄弁な人を人事系にはつけるべきなのかな。このエピソードは吏部に対する考え方みたいなところが秘められている気がする。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

西涼女侠伝

水城洋臣
歴史・時代
無敵の剣術を会得した男装の女剣士。立ち塞がるは三国志に名を刻む猛将馬超  舞台は三國志のハイライトとも言える時代、建安年間。曹操に敗れ関中を追われた馬超率いる反乱軍が涼州を襲う。正史に残る涼州動乱を、官位無き在野の侠客たちの視点で描く武侠譚。  役人の娘でありながら剣の道を選んだ男装の麗人・趙英。  家族の仇を追っている騎馬民族の少年・呼狐澹。  ふらりと現れた目的の分からぬ胡散臭い道士・緑風子。  荒野で出会った在野の流れ者たちの視点から描く、錦馬超の実態とは……。  主に正史を参考としていますが、随所で意図的に演義要素も残しており、また武侠小説としてのテイストも強く、一見重そうに見えて雰囲気は割とライトです。  三國志好きな人ならニヤニヤ出来る要素は散らしてますが、世界観説明のノリで注釈も多めなので、知らなくても楽しめるかと思います(多分)  涼州動乱と言えば馬超と王異ですが、ゲームやサブカル系でこの2人が好きな人はご注意。何せ基本正史ベースだもんで、2人とも現代人の感覚としちゃアレでして……。

三国志 群像譚 ~瞳の奥の天地~ 家族愛の三国志大河

墨笑
歴史・時代
『家族愛と人の心』『個性と社会性』をテーマにした三国志の大河小説です。 三国志を知らない方も楽しんでいただけるよう意識して書きました。 全体の文量はかなり多いのですが、半分以上は様々な人物を中心にした短編・中編の集まりです。 本編がちょっと長いので、お試しで読まれる方は後ろの方の短編・中編から読んでいただいても良いと思います。 おすすめは『小覇王の暗殺者(ep.216)』『呂布の娘の嫁入り噺(ep.239)』『段煨(ep.285)』あたりです。 本編では蜀において諸葛亮孔明に次ぐ官職を務めた許靖という人物を取り上げています。 戦乱に翻弄され、中国各地を放浪する波乱万丈の人生を送りました。 歴史ものとはいえ軽めに書いていますので、歴史が苦手、三国志を知らないという方でもぜひお気軽にお読みください。 ※人名が分かりづらくなるのを避けるため、アザナは一切使わないことにしました。ご了承ください。 ※切りのいい時には完結設定になっていますが、三国志小説の執筆は私のライフワークです。生きている限り話を追加し続けていくつもりですので、ブックマークしておいていただけると幸いです。

鉄と草の血脈――天神編

藍染 迅
歴史・時代
日本史上最大の怨霊と恐れられた菅原道真。 何故それほどに恐れられ、天神として祀られたのか? その活躍の陰には、「鉄と草」をアイデンティティとする一族の暗躍があった。 二人の酔っぱらいが安酒を呷りながら、歴史と伝説に隠された謎に迫る。 吞むほどに謎は深まる——。

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

音速雷撃隊

黒いテレキャス
歴史・時代
アメリカ海軍戦闘機パイロットと日本海軍航空隊桜花搭乗員が沖縄の空で見た物は…

女の首を所望いたす

陸 理明
歴史・時代
織田信長亡きあと、天下を狙う秀吉と家康の激突がついに始まろうとしていた。 その先兵となった鬼武蔵こと森長可は三河への中入りを目論み、大軍を率いて丹羽家の居城である岩崎城の傍を通り抜けようとしていた。 「敵の軍を素通りさせて武士といえるのか!」 若き城代・丹羽氏重は死を覚悟する!

処理中です...