三國志 on 世説新語

ヘツポツ斎

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晋編1 司馬氏台頭

鍾会2  四本論

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鍾會撰四本論始畢,甚欲使嵇公一見。置懷中,既定,畏其難,懷不敢出,於戶外遙擲,便回急走。(文學5)


鍾会しょうかいくん、四本論を論じた。

これは才能と性格との相関性を語るものだ。

 才能と性格は相関するのか?
 あるいは、まるで相関性がないのか?

 才能と性格は併せて評価されるべきか?
 あるいは、完全に切り分けるべきか?

ちなみに鍾会くんの持論は
「併せて評価する」派だった。

さて、一通り書き終えたので、
これはもう時代の大家、竹林七賢の
嵆康けいこう様に見て頂くしかない!
と張り切り、論を懐に収め、会見に臨む。

けど、嵆康のところまで来たはいいが、
途端に酷評が怖くなった。
結局嵆康に四本論は提出できず、退席。

外に出ると、嵆康の家の中に
四本論を投げ込む!

そして、ダッシュで逃げた。
もうものすごい勢いで逃げた。
怖くて後ろは振り向けなかった。


 ○


嵆康
 竹林七賢の中でもリーダー格。最終的には鍾会の絡んだ裁判によって処刑されている。その結末を知っていると、このエピソードには「その後嵆康は突然投げ込まれたこの論を(誰の手によるものか気付いておきながら、敢えて知らないふりをして)ズタボロに貶しました」ってエピローグを付けたくなってきます。才を恃みつつ、自分よりも才の高い人間に対しては怯える、このふるまい。うーん、笑えない。
 ちなみに鍾会と嵆康のエピソードはこの後にもう一つ来ますが、何と言うか、これとは真逆です。どっちを信じたもんかねぇ。どっちも信じる必要ないんだけどさ。
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