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呉編
孫皓4 死人蹴り
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元皇初見賀司空、言及吳時事、問:「孫皓燒鋸截一賀頭、是誰?」司空未得言、元皇自憶曰:「是賀劭。」司空流涕曰:「臣父遭遇無道、創巨痛深、無以仰答明詔。」元皇愧慙、三日不出。(紕漏2)
東晋の初代皇帝、元帝が
旧呉の地で賀循に出会った。
二人の話題が、呉の時代のことになる。
「そーいや孫皓、焼けたのこぎりで
賀氏の誰かの首を斬ってたよな。
あれ誰だっけ」
いや何きいとんねんアンタ。
何せ被害者の賀劭は賀循の父親。
当然さらっと答えられるはずもない。
しかも傷口に塩。
元帝、勝手に思い出す。
「あ、賀劭か」
あ、じゃねえよ。
そりゃ賀循も泣く。
やべ、と元帝が思ったときには、
もう遅い。
「私の父が遭った無道です。
今でも我が心は深く傷ついております。
なので、申し訳ございません。
陛下の問いに、
答えることが叶いませんでした」
元帝、ちょう後悔する。
三日くらい部屋に引き籠った。
○
元帝 司馬睿
司馬師、司馬昭の弟の子孫なので、西晋皇統直系ではない。八王の乱終息後、建業《けんぎょう》に出向。この行動がラッキーだった。やがて起こった永嘉の乱でも、匈奴らは中原での西晋いじめに忙しく、江南まで手を伸ばしている暇がなかった。その隙に王導主導で江南の人士慰撫に成功、勢力基盤を築く。そして司馬鄴《しばぎょう》死亡の報を受け、即皇位継承を宣言。しかしこの流れのおかげで王導をはじめとした琅邪王氏の名前が一気に大きくなり、歴史書から皇帝の名前の存在感は薄くなっていく。
しかしこの話が事実だったら司馬睿、うっかりさんにも程がございますね。
東晋の初代皇帝、元帝が
旧呉の地で賀循に出会った。
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「そーいや孫皓、焼けたのこぎりで
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あれ誰だっけ」
いや何きいとんねんアンタ。
何せ被害者の賀劭は賀循の父親。
当然さらっと答えられるはずもない。
しかも傷口に塩。
元帝、勝手に思い出す。
「あ、賀劭か」
あ、じゃねえよ。
そりゃ賀循も泣く。
やべ、と元帝が思ったときには、
もう遅い。
「私の父が遭った無道です。
今でも我が心は深く傷ついております。
なので、申し訳ございません。
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答えることが叶いませんでした」
元帝、ちょう後悔する。
三日くらい部屋に引き籠った。
○
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司馬師、司馬昭の弟の子孫なので、西晋皇統直系ではない。八王の乱終息後、建業《けんぎょう》に出向。この行動がラッキーだった。やがて起こった永嘉の乱でも、匈奴らは中原での西晋いじめに忙しく、江南まで手を伸ばしている暇がなかった。その隙に王導主導で江南の人士慰撫に成功、勢力基盤を築く。そして司馬鄴《しばぎょう》死亡の報を受け、即皇位継承を宣言。しかしこの流れのおかげで王導をはじめとした琅邪王氏の名前が一気に大きくなり、歴史書から皇帝の名前の存在感は薄くなっていく。
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