三國志 on 世説新語

ヘツポツ斎

文字の大きさ
上 下
5 / 142
魏編1 ソソさま伝説

曹操3  曹操と袁紹

しおりを挟む
曹操そうそうは若い頃、
結構袁紹えんしょうとやんちゃをして遊んでた。


魏武少時,嘗與袁紹好為游俠,觀人新婚,因潛入主人園中,夜叫呼云:「有偷兒賊!」青廬中人皆出觀,魏武乃入,抽刃劫新婦與紹還出,失道,墜枳棘中,紹不能得動,復大叫云:「偷兒在此!」紹遑迫自擲出,遂以俱免。(假譎1)


ある時、新婚カップルを見かけた二人。
にやりと、二人がヤバい笑みを浮かべる。

新郎の家の庭に潜り込み、夜を待つ。
そして夜、宴がたけなわとなっていた頃、
宴の行われていた屋外の天幕の外から

「泥棒が出たぞ!」

と叫んだ。

天幕の中の人は驚き、
外に様子を見に出てきた。

その隙をついて天幕の中に侵入。
新婦に短刀を突き付けて脅し、掻っ攫う。

やんちゃ……?

だが逃げる途中、道に迷うわ
袁紹は路肩の茂みに嵌って
身動きが取れなくなるわ。
そこで曹操が叫んだ。

「ここに泥棒がいるぞ!」

そりゃ袁紹もビビる。
新婦を放り出して脱出。

そうして二人とも逃れたとさ。
めでたしめで……たくねぇよ!


袁紹年少時,曾遣人夜以劍擲魏武,少下,不箸。魏武揆之,其後來必高,因帖臥床上。劍至果高。(假譎5)


そしてこちらは、おそらく後日のこと。

花嫁泥棒の時のことを恨みに思ったか、
袁紹、剣投げの達人を連れてきて、
夜、眠る曹操に向けて剣を投げさせた。

ぇえ……。

ただその剣、寝床の少々下に当たり、
曹操には命中しなかった。

これは、次は上を狙ってくるな。

曹操、ベッドから降りて横になる。
すると思った通り、
剣は曹操の上を通過していくのだった。





袁紹
曹操最大のライバルですね。官渡の顛末から、曹操に翻弄される立場として書かれることが多いです。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

西涼女侠伝

水城洋臣
歴史・時代
無敵の剣術を会得した男装の女剣士。立ち塞がるは三国志に名を刻む猛将馬超  舞台は三國志のハイライトとも言える時代、建安年間。曹操に敗れ関中を追われた馬超率いる反乱軍が涼州を襲う。正史に残る涼州動乱を、官位無き在野の侠客たちの視点で描く武侠譚。  役人の娘でありながら剣の道を選んだ男装の麗人・趙英。  家族の仇を追っている騎馬民族の少年・呼狐澹。  ふらりと現れた目的の分からぬ胡散臭い道士・緑風子。  荒野で出会った在野の流れ者たちの視点から描く、錦馬超の実態とは……。  主に正史を参考としていますが、随所で意図的に演義要素も残しており、また武侠小説としてのテイストも強く、一見重そうに見えて雰囲気は割とライトです。  三國志好きな人ならニヤニヤ出来る要素は散らしてますが、世界観説明のノリで注釈も多めなので、知らなくても楽しめるかと思います(多分)  涼州動乱と言えば馬超と王異ですが、ゲームやサブカル系でこの2人が好きな人はご注意。何せ基本正史ベースだもんで、2人とも現代人の感覚としちゃアレでして……。

三国志 群像譚 ~瞳の奥の天地~ 家族愛の三国志大河

墨笑
歴史・時代
『家族愛と人の心』『個性と社会性』をテーマにした三国志の大河小説です。 三国志を知らない方も楽しんでいただけるよう意識して書きました。 全体の文量はかなり多いのですが、半分以上は様々な人物を中心にした短編・中編の集まりです。 本編がちょっと長いので、お試しで読まれる方は後ろの方の短編・中編から読んでいただいても良いと思います。 おすすめは『小覇王の暗殺者(ep.216)』『呂布の娘の嫁入り噺(ep.239)』『段煨(ep.285)』あたりです。 本編では蜀において諸葛亮孔明に次ぐ官職を務めた許靖という人物を取り上げています。 戦乱に翻弄され、中国各地を放浪する波乱万丈の人生を送りました。 歴史ものとはいえ軽めに書いていますので、歴史が苦手、三国志を知らないという方でもぜひお気軽にお読みください。 ※人名が分かりづらくなるのを避けるため、アザナは一切使わないことにしました。ご了承ください。 ※切りのいい時には完結設定になっていますが、三国志小説の執筆は私のライフワークです。生きている限り話を追加し続けていくつもりですので、ブックマークしておいていただけると幸いです。

鉄と草の血脈――天神編

藍染 迅
歴史・時代
日本史上最大の怨霊と恐れられた菅原道真。 何故それほどに恐れられ、天神として祀られたのか? その活躍の陰には、「鉄と草」をアイデンティティとする一族の暗躍があった。 二人の酔っぱらいが安酒を呷りながら、歴史と伝説に隠された謎に迫る。 吞むほどに謎は深まる——。

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

音速雷撃隊

黒いテレキャス
歴史・時代
アメリカ海軍戦闘機パイロットと日本海軍航空隊桜花搭乗員が沖縄の空で見た物は…

女の首を所望いたす

陸 理明
歴史・時代
織田信長亡きあと、天下を狙う秀吉と家康の激突がついに始まろうとしていた。 その先兵となった鬼武蔵こと森長可は三河への中入りを目論み、大軍を率いて丹羽家の居城である岩崎城の傍を通り抜けようとしていた。 「敵の軍を素通りさせて武士といえるのか!」 若き城代・丹羽氏重は死を覚悟する!

処理中です...