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序
0魔.黒き者⑧
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左目を貫かれ、血飛沫が上がる。
俺は驚きと痛さのあまり叫び声をあげた。
「ああああああ……! 何をするんだ! ニーズヘッグ!」
ニーズヘッグは笑みを浮かべた。
「まだ痛いか? 痛くなければ、向こうの崖上の奴らの方を見てみろ」
言われてみれば、痛みは引いていたし、左目も見えていた。
何が起きたのかわからないまま、馬車の近くに立つ三人の貴族の方を見た。
すると、彼らの考えていることが頭の中に流れ込んできた。
『彼は何者なんだ? ドラゴンを手懐けたのか!?』
『さっき目を刺されたように見えたが、大丈夫なのか?』
『なんか叫んでる……大丈夫かなあ?』
なんだこれ……あの三人の考えていることがわかる……ニーズヘッグに目を貫かれた影響か?
「その通りだ。俺の契約者であるグレイは俺の能力を使える。だが、"心眼"だけは、俺が与えなければ使うことができない」
そう言い、ニーズヘッグは俺にメガネをかけた。
メガネをかけられた瞬間から、頭の中に聞こえていた声は消えた。
「度は入っていない。これはアーティファクトだ。これをつけている限り、心眼も鑑定眼も発動しない。普段からつけておけ」
一度言葉を切り、ニーズヘッグは崖の上に降り立ち、言葉を続けた。
「デメリットは……そうだな、俺の能力全てを使える代わりに、コントロールするのが難しいことかな」
俺は驚きと痛さのあまり叫び声をあげた。
「ああああああ……! 何をするんだ! ニーズヘッグ!」
ニーズヘッグは笑みを浮かべた。
「まだ痛いか? 痛くなければ、向こうの崖上の奴らの方を見てみろ」
言われてみれば、痛みは引いていたし、左目も見えていた。
何が起きたのかわからないまま、馬車の近くに立つ三人の貴族の方を見た。
すると、彼らの考えていることが頭の中に流れ込んできた。
『彼は何者なんだ? ドラゴンを手懐けたのか!?』
『さっき目を刺されたように見えたが、大丈夫なのか?』
『なんか叫んでる……大丈夫かなあ?』
なんだこれ……あの三人の考えていることがわかる……ニーズヘッグに目を貫かれた影響か?
「その通りだ。俺の契約者であるグレイは俺の能力を使える。だが、"心眼"だけは、俺が与えなければ使うことができない」
そう言い、ニーズヘッグは俺にメガネをかけた。
メガネをかけられた瞬間から、頭の中に聞こえていた声は消えた。
「度は入っていない。これはアーティファクトだ。これをつけている限り、心眼も鑑定眼も発動しない。普段からつけておけ」
一度言葉を切り、ニーズヘッグは崖の上に降り立ち、言葉を続けた。
「デメリットは……そうだな、俺の能力全てを使える代わりに、コントロールするのが難しいことかな」
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