魔滅術

檸檬牛乳(みるく)

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0魔.黒き者③

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 叔父さんの姿が見えなくなってから、俺は飛行魔術を使って裏山へ向かった。
飛行魔術とは、その名の通り、空を飛ぶ魔術だ。

 何故裏山に向かうのかって?
行くなと言われて、大人の言うことを素直に聞くほど俺は大人じゃないし、ましてやまだガキだからだ。

 冒険者たる者、自分の好奇心に抗うことなかれと、なんかの本に書いてあった。
本能が叫んでいる。
この機を逃すな、感覚を研ぎ澄ませと──

 裏山に着くと、煙が上がっているのが見えた。
煙の方へ向かうと、崖から落ちかけている馬車と馬に乗っている騎士が見えた。

 あいつらの魔力の波動じゃないな。
こんなに黒く禍々しい波動は初めて感じたな……何者だ?

 魔力の波動、それは術者の使用する魔術特有の波動で、個々で異なる。
それ故に波動を覚えてしまえば、誰の魔術か分かるようになる。

 しかし、魔術を極めた者のほんの一握りの者だけが、魔力の波動を変化させることが可能だ。
俺や父さんも魔力の波動を変化させられる。

 高位魔術師は魔力の波動を可視化出来る。
もちろん俺も可視化出来るから、魔力の波動を辿り、最も魔力濃度の高い場所を見つけだした。

 そして、辿り着いた先にいたのは、俺よりもはるかに大きく、翼の生えた、黒光するモンスターであった。
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