bun's Boys Love N collection 男同士文集

bun

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episode A アイとヒューゴ カロンとユアン

004. be loved / 年下攻め

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強い日差しが降り注ぐ季節

コツコツコツ
ひやりとした大理石に心なしか足早な靴音が響く
「ヒューゴ、お疲れさま
バーに寄って行かないかい」
「今日は辞めておくよ」
同僚を振り切って
ヒューゴは魔法庁のエントランスをくぐった

今日は彼が夏季休暇で里帰りしてくるのだ
最愛の彼
浮足立って流れる汗もそのままに家路を急いだ


玄関をあけると恋い焦がれた眩しい笑顔がヒューゴを出迎えた

「アイ!おかえり」

「ヒューゴ!会いたかったよ」

数ヶ月ぶりの再会にふたりはきつく抱きしめ合った

「ん~~!ヒューゴ、恋しかった」
ぎゅうううう
「アイ、苦しいよ また体が大きくなったんじやないか?」
太い腕の熱い抱擁にヒューゴはまんざらてもないふうに眉を寄せた

アイは大工に憧れ全寮制の建築学校に進学しクリケットクラブにも所属している
太陽に愛されている証の小麦色の肌、グリーンの大きな瞳、金髪は肩まで伸び輝きを放ち
体格も身長もヒューゴよりも一回り大きく育っていた


「ヒューゴ、部屋に行こう。お土産があるんだ」
「母さんたちに挨拶に行かなくて良いのかい?」
「ヒューゴは僕とふたりきりになりたくないのかい?」
大きな犬のようにしょげて見せるアイに
ヒューゴも愛しい気持ちが抑えられず急かされるがままに部屋に入った


「ん~…ヒューゴの匂い」

ベッドに腰掛けギュッと抱きつき鼻から深呼吸するアイの頭を胸に抱き込み少し汗ばんだ髪を梳いてやる

「なんだ、今日はやけに甘えん坊だな…」

ヒューゴはその頭のてっぺんにチュッとキスを落とした
そのとき
アイの大きな手がするりと薄手のシャツの中に入り込み
微睡んだ空気が引いた

「ちょっと…ん…ッ…アイ、」

指先が乳首を掠め、明らかに甘えを通り越したうごきを始めたから
ヒューゴはその手を掴んだ

「フフッ、ヒューゴ、これを見て」

アイが得意気にポケットから取り出したものは金糸で刺繍が施された小さなフエルトの飾り
その美しい刺繍に束の間見とれ次の瞬間嫌な予感で震えた
それのことはヒューゴも聞いたことがある

「見て、ヒューゴ 道に迷った異国の商人を助けたらこれをくれたのさ」

アイは
魔法を封じられるアップリケを見せびらかした

「おい、」
「これでヒューゴは普通の男性だよ」
「ヤメ、…!アイ…!!」

言うと、アイは抵抗されるよりも素早く動いた
ヒューゴの素肌、左胸の乳首の上あたりにワッペンをペタリと貼り付けた

「…!!」

言葉もなく固まってしまったヒューゴの頰を包み込み不安気に揺れる目を見つめるアイ

「これで僕のほうが力は上だよ

ヒューゴ
お願い、抱かせて。昔愛し方を教えてって言ったでしょ
教えてあげる

ヒューゴは愛される側なんだよ。」


ヒューゴは、目を見開いた


「や…ぁ、アイ…ッ」
「ああ、ヒューゴ…震えてる…大丈夫だよ。全部僕に任せて」

アイはヒューゴをベッドに横たえ強張ったカラダをやさしく擦りながら
首筋や鎖骨のくぼみに唇と舌を這わせていく

「くぅ…ッんッく…アイ…ッ、ま…って」

なんでこんなことに

「あぁ、ヒューゴ なんてきれいなんだろう」
普段あまり日に当たらない白くて華奢な胸板にうっとりと舌を這わせられる

自分が親代わりに育てた、年の離れた弟のような、
あんなに無力で自分に頼り切りだったアイの…

「く…ッん…アァ…ッ、」

舌が乳首を掠めた瞬間、ヒューゴは遂に涙を零した
感情と思考がグチャグチャでどうしたら良いのか分からない

「んぅ、ちゅっ…好き。ヒューゴ、大好きなんだ」
「くぅん…ふぅん…」
好き、とうわごとみたいに繰り返しながらプツリと堅さを持ち始めた乳首を夢中で食まれヒューゴの口からは子犬の様な鳴き声が洩れ続けた

「かわいい…もっと声だして」
「…ふぅ…っ…うぅん」
「もっと可愛くしてあげる」

言うと、器用にズボンの前を開け下着の中に手を滑り込ませた
「すご、ぬるぬるになってる」
「あ…ッ!や、やだ…ッ」
「恥ずかしがらないで。ヒューゴ。こんなに感じてくれて僕嬉しいんだよ」

建築学校の実習ですっかり武骨になった手が繊細な動きでヒューゴのそれを上下に抜いていく
そのやさしい愛撫に複雑に乱れた精神が少しずつとろけ
しかしその変化にまた戸惑いを覚えてしまう

「お願い…アッ、あぁ…アイ、キスして…ッ」

「ああ、ごめんね。ヒューゴ、不安だったね」
アイは体を伸ばし震える唇に口づける
そっと舌を挿し込み戸惑いに縮まるヒューゴの舌に絡ませた
「う…、んふ…ちゅっ」
やさしい口づけに何故か無性に泣きたいような気持ちになりながらも徐々に力が抜けてきて
うっとりと酔いしれていたそのとき
不意に下半身が外気に晒されていることに気がついた

いつの間にかズボンと下着をおろされていたのだ

「あ…ッ、いや、いや、アイ!」
頬に朱を散らしアイの視線から逃れようと慌てて身体をくねらせるヒューゴだが
逞しい手であっという間にあられもない形に足を開かれてしまう

「お願い。ヒューゴ、見せて…大丈夫だよ…ああ酷いよヒューゴ、こんなきれいなのに見せてくれないなんて」

宥めるように太股を撫でながらアイは感慨深くため息を漏らし、たちあがり涙をこぼすソコに唇を寄せた

「あぁ…ッ…や、アイ…ッ あぁ…」
いたわるように包み込むねっとりとしたフェラチオの快楽にヒューゴはのまれていく

「あんッ…あぁ…ッ」
「ふふ、ヒューゴ。覚えてる?昔ヒューゴが僕にしてくれたことだよ」
「や…やだ…ッ…アイ…ッ」
「ヒューゴ?」
切れ長の美しい目尻から大粒の涙がこぼれしくしくと泣き出してしまったヒューゴにぎょっとして
アイは慌ててその顔を腕でくるんだ
「たのむ、から、昔のこと言わないで…ッ、思い出させないで…ひっ…アイに抱かれてることに集中させて…」
「ああ、ごめんね。ごめん、ヒューゴ 愛してるよ。無神経な言葉を許して」
腕の中で震える身体にキスの雨を降らせると
拗ねたような濡れた目が見上げられ
ヒューゴの口からは、せきをきったように言葉が溢れた

「アイ…ッ、俺、ずっと寂しかった…ッ誰かと居てもいつもなんだか孤独で…ッ、自分のことが嫌いで…ッ
だから今すごく不安だけど、アイに愛してもらえて…ッ…ッ」
ヒューゴが自分でも何を言っているのか分からなくなり
うんと年下の自分が育てた青年にこんな自己憐憫じみた告白をしてしまう己を恥じてうつむく

「ヒューゴ…僕、ずっとその言葉を聞いていたよ」
「え…?」
「まだ言葉を話せなかったころからずっと、ヒューゴの心の声が聞こえていたんだ。大好きなヒューゴを助けたい、愛したいってずっと思ってた」
「アイ…ッ、…」

なんとなく、漠然とだけど
このままアイに抱かれたら何かが変わるような、近い未来が素敵になるような予感にヒューゴは目を閉じた

:

「アッ…アアッ…あぅッ」
「…ッ、ヒューゴ、痛くない?」
「アアぅッ…ッ」

痛くない 痛い訳がない
前戯でたっぷり甘やかされイカされ
アイがすごく時間をかけて舌と指で狭い入り口を
あまりの切なさにヒューゴが泣き出してしまうまで解してくれたのだから

想像を絶する圧迫感と幸福感にヒューゴは顔を横にふるだけで精一杯だった

トロリ、とヒューゴ自身から雫が零れるのを見てアイは目を細めた

「僕、幸せ過ぎてどうにかなっちゃいそう…ッ、ヒューゴのナカすっごく気持ちよくて、顔も声も可愛くって…」

「あぁ…ッ、あッアアァ」
体のナカをいっぱいに満たしてくれるアイの雄芯と言葉に溺れ
ヒューゴは泣き笑いみたいな顔で喘ぎアイの太い首にしがみつくとふたりで昇り詰めるこの先をねだった

「あぁ…ッあぁ…ッひん」
アイの律動がヒューゴのプライドや不安をベッドの下に振り落としていく

好きだ
好きだ
好きだ

ふたりの雄芯から愛の象徴の白濁が零れるころ



日が暮れた空に
一番星が零れ落ち
芽生えたばかりの恋愛を祝福していた












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