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仕込んだナイフと剥き出しのナイフ
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「何かしら? 騒がしいわね……」
アンゼリカは立ち上がり、外の様子を確かめるべく入り口の方へと向かう。
それをサラマンドラ家の侍女が慌てて止めようとして「グリフォン公爵令嬢、危険ですのでここでお待ちを!」と叫ぶ。それをアンゼリカの専属侍女が「お嬢様でしたら大丈夫です。ご安心を」と無表情で返した。
「お嬢様、こちらを」
「ありがとう、サラ」
アンゼリカの専属侍女、サラが恭しく扇子を差し出した。
一般的な物よりも一回り程大きめなそれをアンゼリカは両手で握り、左右へと引き抜く。するとそこには鈍色に輝くナイフが姿を現した。
「さて、と。騒ぎの元凶は……あちらの方角ね」
手慣れた様子でナイフを持ち、騒ぎの元へと向かう。
その姿は貴族令嬢というよりも手練れの暗殺者のそれだ。
ちなみにこのナイフはアンゼリカの父、グリフォン公爵が特注で作らせたもの。
以前、娘が素手で騎士団長の息子を再起不能にしてしまったことを彼は「やり過ぎだ」と叱った。
『お前の腕力はゴリラ並なのだから気をつけなさい』
そう叱った後、公爵は扇子に擬態させた仕込みナイフを娘へと渡した。
素手だとやり過ぎてしまうだろうが、ナイフならば多少加減は出来るだろうと考えたからだ。
およそ貴族が娘へとかける言葉ではない。アンゼリカもアンゼリカで「流石はお父様!」と感激したのだから似た者同士ではあるが。ちなみにその様子を見ても”恐ろしい親子だ”と恐怖するような者はいない。グリフォン公爵家ではこれくらい日常茶飯事なのだから。
ぎゃあぎゃあと甲高い声が聞こえる方へと向かうと、そこには豪奢なドレスを身に纏った女性が髪を振り乱しながら騒いでいた。
「放してよ! あの女はどこ!? あの女がいるせいでレイモンド様と私は離れることになったのよ!? 絶対に許さないわ……!」
顔を真っ赤に染め、鼻息荒く喚き続ける女。見ればその手には鈍く光るナイフが握られていた。
「止めろ、ハウンド嬢! いいからそのナイフを下ろすんだ!」
それを止めようとレイモンドが女に近づこうとするも、興奮した女は己の喉元に刃の先を当て「来ないで! 近づいたら死んでやるんだから!」と自らを盾に脅す。
その様子を黙って眺めていたアンゼリカは心の中で「状況は分からないけど、自死してくれるならそれで終わるじゃない」と心無い事を考えていた。合理主義な彼女にとって、目の前の乱入者が大人しくなるならそれで構わないのだ。むしろ、その程度で怯むレイモンドを“甘い”とすら思う。
「あの女さえいなければ……私はレイモンド様の妻になれていたはずなのに! あんな壊れた女のせいで、どうして私が婚約解消されなければならないのよ!?」
よくは分からないが、まあ痴話喧嘩の類なのだろうなとアンゼリカはぼんやりと彼等のやり取りを物陰から見つめていた。ミラージュが危ない目に遭わぬよう騒ぎの元を見に来たが、レイモンドとのいざこざであれば別にいいかと温室に戻ろうとしたその時だった。
「王太子に捨てられた情けないミラージュを邸に置くことを反対したくらいで、どうして婚約を解消されなければならないの!? 新婚夫婦の家に妹なんていたら邪魔に決まっているじゃない! 私は当たり前のことを言っただけよ!」
「ハウンド嬢! 妹を悪く言うのは止めろ! 妹は被害者だぞ!? 被害者を悪く言うなんてどうかしている!」
「ひ、ひどい! そうやって妹ばかり庇って……! あんな女、いなくなっちゃえばいいのよ!」
女は決して言ってはいけない事を言ってしまった。
案の定、アンゼリカの纏う空気が一変し、慣れているはずのサラでさえ恐怖で「ひいっ!?」と小さく悲鳴をあげてしまう。
「まあ……ふざけたご令嬢ですこと。何処のどなたかは知りませんが、いなくなるのは貴女のほうではなくて? この世からおさらばしたいのでしたら、お手伝いして差し上げましてよ……」
「は? 誰よ、あんた……ひっ!? ひいいいいっ!!?」
素早く女の背後に回ったアンゼリカは地を這うような低い声で囁いた。
そう、もちろん女の耳元で。
いきなり背後から耳元で囁かれた女は驚いて後ろを振り向き、そしてヒュッと息を飲んだ。
そこには、悪魔さえも裸足で逃げ出すほど恐ろしい形相をした少女がこちらを睨みつけていた。
「身の程を弁えなさい。貴女と公子様の間に何があったかは知らないけど、ミラージュ様への侮辱は許されなくてよ。貴女……このわたくしに許されないという意味が、どういうことだかは理解しているかしら?」
そう言い放つと同時にアンゼリカはナイフを掲げてそのまま女に向かって振り下ろした。あまりの速さに女は悲鳴をあげることも出来ず、次の瞬間、彼女が着ていたドレスが真っ二つに裂け、白い肌が露わとなった。
「へ…………? え? あ……い、いやあああああああ!!!」
ドレスどころかコルセットまで裂かれた女はドロワーズ一枚でその場にへたり込んだ。自らを抱きしめるように曝け出された肌を隠そうとするも、面積が広すぎて隠しきれない。ちなみにナイフは彼女の手から離れ地面にへと落ちた。
「な、なによ、これえええ!? なんでドレスが破れているの!??」
何が何だか分からない、といった様子で泣きじゃくる女をアンゼリカは冷めた目で見下ろした。そしてサラへと目配せし、それだけで主人の気持ちを理解したサラがこくりと頷く。
「失礼します。お召し物の替えをご用意しておりますので、あちらへ」
「え? 着替え? え……?」
「ええ、そのお姿のままではいられないでしょう?」
見知らぬ侍女にいきなりそう言われ、驚いて女は一瞬涙を引っ込めた。
だが「そのお姿」と言われて改めて自分の姿に目を落とすと再び大粒の涙を零し始める。
「なんで? なんでドレスが破れているの……? レイモンド様の前でこんな……もう、いやあ!!」
人前でいきなり服が破れたなら、男女問わず耐えがたいほどの恥ずかしさを覚えるだろう。ましてや深窓の令嬢であれば尚更だ。
サラはほぼ裸の状態で泣きじゃくる女を背負い、再びアンゼリカに向かって一礼をした後その場を離れて行った。
嵐のような出来事が終止符を打ち、その場に残されたのはアンゼリカとレイモンド、そしてサラマンドラ家の執事だけだった。何が起こったか分からず唖然とする二人を気にせずアンゼリカはナイフを再び扇子の形をとる鞘へと戻す。
鈍色の刃を鞘へと収める際の、パチンという小気味よい音だけがその場に響いた。
────────────
GW中は帰省等の都合で一日一回の更新にさせて頂きます。
その後は元に戻す予定です。
アンゼリカは立ち上がり、外の様子を確かめるべく入り口の方へと向かう。
それをサラマンドラ家の侍女が慌てて止めようとして「グリフォン公爵令嬢、危険ですのでここでお待ちを!」と叫ぶ。それをアンゼリカの専属侍女が「お嬢様でしたら大丈夫です。ご安心を」と無表情で返した。
「お嬢様、こちらを」
「ありがとう、サラ」
アンゼリカの専属侍女、サラが恭しく扇子を差し出した。
一般的な物よりも一回り程大きめなそれをアンゼリカは両手で握り、左右へと引き抜く。するとそこには鈍色に輝くナイフが姿を現した。
「さて、と。騒ぎの元凶は……あちらの方角ね」
手慣れた様子でナイフを持ち、騒ぎの元へと向かう。
その姿は貴族令嬢というよりも手練れの暗殺者のそれだ。
ちなみにこのナイフはアンゼリカの父、グリフォン公爵が特注で作らせたもの。
以前、娘が素手で騎士団長の息子を再起不能にしてしまったことを彼は「やり過ぎだ」と叱った。
『お前の腕力はゴリラ並なのだから気をつけなさい』
そう叱った後、公爵は扇子に擬態させた仕込みナイフを娘へと渡した。
素手だとやり過ぎてしまうだろうが、ナイフならば多少加減は出来るだろうと考えたからだ。
およそ貴族が娘へとかける言葉ではない。アンゼリカもアンゼリカで「流石はお父様!」と感激したのだから似た者同士ではあるが。ちなみにその様子を見ても”恐ろしい親子だ”と恐怖するような者はいない。グリフォン公爵家ではこれくらい日常茶飯事なのだから。
ぎゃあぎゃあと甲高い声が聞こえる方へと向かうと、そこには豪奢なドレスを身に纏った女性が髪を振り乱しながら騒いでいた。
「放してよ! あの女はどこ!? あの女がいるせいでレイモンド様と私は離れることになったのよ!? 絶対に許さないわ……!」
顔を真っ赤に染め、鼻息荒く喚き続ける女。見ればその手には鈍く光るナイフが握られていた。
「止めろ、ハウンド嬢! いいからそのナイフを下ろすんだ!」
それを止めようとレイモンドが女に近づこうとするも、興奮した女は己の喉元に刃の先を当て「来ないで! 近づいたら死んでやるんだから!」と自らを盾に脅す。
その様子を黙って眺めていたアンゼリカは心の中で「状況は分からないけど、自死してくれるならそれで終わるじゃない」と心無い事を考えていた。合理主義な彼女にとって、目の前の乱入者が大人しくなるならそれで構わないのだ。むしろ、その程度で怯むレイモンドを“甘い”とすら思う。
「あの女さえいなければ……私はレイモンド様の妻になれていたはずなのに! あんな壊れた女のせいで、どうして私が婚約解消されなければならないのよ!?」
よくは分からないが、まあ痴話喧嘩の類なのだろうなとアンゼリカはぼんやりと彼等のやり取りを物陰から見つめていた。ミラージュが危ない目に遭わぬよう騒ぎの元を見に来たが、レイモンドとのいざこざであれば別にいいかと温室に戻ろうとしたその時だった。
「王太子に捨てられた情けないミラージュを邸に置くことを反対したくらいで、どうして婚約を解消されなければならないの!? 新婚夫婦の家に妹なんていたら邪魔に決まっているじゃない! 私は当たり前のことを言っただけよ!」
「ハウンド嬢! 妹を悪く言うのは止めろ! 妹は被害者だぞ!? 被害者を悪く言うなんてどうかしている!」
「ひ、ひどい! そうやって妹ばかり庇って……! あんな女、いなくなっちゃえばいいのよ!」
女は決して言ってはいけない事を言ってしまった。
案の定、アンゼリカの纏う空気が一変し、慣れているはずのサラでさえ恐怖で「ひいっ!?」と小さく悲鳴をあげてしまう。
「まあ……ふざけたご令嬢ですこと。何処のどなたかは知りませんが、いなくなるのは貴女のほうではなくて? この世からおさらばしたいのでしたら、お手伝いして差し上げましてよ……」
「は? 誰よ、あんた……ひっ!? ひいいいいっ!!?」
素早く女の背後に回ったアンゼリカは地を這うような低い声で囁いた。
そう、もちろん女の耳元で。
いきなり背後から耳元で囁かれた女は驚いて後ろを振り向き、そしてヒュッと息を飲んだ。
そこには、悪魔さえも裸足で逃げ出すほど恐ろしい形相をした少女がこちらを睨みつけていた。
「身の程を弁えなさい。貴女と公子様の間に何があったかは知らないけど、ミラージュ様への侮辱は許されなくてよ。貴女……このわたくしに許されないという意味が、どういうことだかは理解しているかしら?」
そう言い放つと同時にアンゼリカはナイフを掲げてそのまま女に向かって振り下ろした。あまりの速さに女は悲鳴をあげることも出来ず、次の瞬間、彼女が着ていたドレスが真っ二つに裂け、白い肌が露わとなった。
「へ…………? え? あ……い、いやあああああああ!!!」
ドレスどころかコルセットまで裂かれた女はドロワーズ一枚でその場にへたり込んだ。自らを抱きしめるように曝け出された肌を隠そうとするも、面積が広すぎて隠しきれない。ちなみにナイフは彼女の手から離れ地面にへと落ちた。
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何が何だか分からない、といった様子で泣きじゃくる女をアンゼリカは冷めた目で見下ろした。そしてサラへと目配せし、それだけで主人の気持ちを理解したサラがこくりと頷く。
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「え? 着替え? え……?」
「ええ、そのお姿のままではいられないでしょう?」
見知らぬ侍女にいきなりそう言われ、驚いて女は一瞬涙を引っ込めた。
だが「そのお姿」と言われて改めて自分の姿に目を落とすと再び大粒の涙を零し始める。
「なんで? なんでドレスが破れているの……? レイモンド様の前でこんな……もう、いやあ!!」
人前でいきなり服が破れたなら、男女問わず耐えがたいほどの恥ずかしさを覚えるだろう。ましてや深窓の令嬢であれば尚更だ。
サラはほぼ裸の状態で泣きじゃくる女を背負い、再びアンゼリカに向かって一礼をした後その場を離れて行った。
嵐のような出来事が終止符を打ち、その場に残されたのはアンゼリカとレイモンド、そしてサラマンドラ家の執事だけだった。何が起こったか分からず唖然とする二人を気にせずアンゼリカはナイフを再び扇子の形をとる鞘へと戻す。
鈍色の刃を鞘へと収める際の、パチンという小気味よい音だけがその場に響いた。
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