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王太子と騎士団長
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「失礼します! こちらで愚息がお世話になっていると聞きまして……」
「おや、騎士団長ではないですか? ああ、そういえば殿下の側近は騎士団長のご子息でしたね」
扉を開けて入室してきたのは王国騎士を統べる騎士団長だった。
彼は自分の息子が王宮の医務室に重傷を負って運ばれたと聞き慌ててやってきたようだ。
「これは王宮医師殿……愚息が世話になりました。あの……それで愚息の容体は……」
「全身の骨折、口内の裂傷、歯も数本抜けております。命に別状はありませんのでご安心を」
重症の患者を気遣うでもなく、素っ気ない態度をとる医師。
そんな医師の様子に騎士団長は怒るどころか冷や汗を流し始めた。
「先ほど私に愚息のことを報せてくれました衛兵から聞いたのですが……。あの、愚息がグリフォン公爵令嬢を害そうとして護衛に返り討ちにあったとは本当でしょうか……?」
この“護衛”という言葉に王太子は疑問を覚えた。
アンゼリカの傍にいたのは侍女が一人だけで、護衛の姿など見えなかったような……。
「いえ、私も詳しくは聞いておりませんね。どうなのでしょう、殿下?」
医師が王太子に話を振ると、彼は気まずそうに顔を逸らす。
今更になって自分が不味い事をしたのだと自覚したようだ。
「殿下! 愚息はグリフォン公爵令嬢に危害を加えようとしたのですか!? か弱き女性相手にそんな非道な真似を……!」
重傷を負った側近も見習いとはいえ騎士を目指す身であった。
強きをくじき、弱きを助けることを信条とした騎士がか弱い女性相手に暴力を振るおうとするなどあるまじき行為。息子がそんな真似をしようものなら自決する、とまで言いそうなほど騎士団長は鬼気迫る顔で王太子に詰め寄っていた。
「い、いや……彼は私の為にアンゼリカの無礼を改めようと……」
「では、真実だと仰るのですね!? 愚息は騎士を目指す身でありながら、か弱き女性に暴力を振るおうとしたと……そう仰るのですね!!?」
「落ち着いてくれ騎士団長……そこまで大袈裟にしなくとも……」
「これが大袈裟なものですか!! 愚息は何と恥知らずな男に育ったのか……父親として情けない限りです。はっ……こうしてはいられない! すぐにグリフォン公爵家へ謝罪に向かわねば!!」
「待て、騎士団長! これだけの重傷を負わされたのだからこちらが被害者だ!」
「殿下……何と情けないことを仰るのですか! 仕掛けたのは愚息からなのでしょう? ならばどう考えても加害者は愚息の方です! それに重傷を負わされたのは単に愚息の鍛錬不足が原因、それなのにこちらが被害者だと宣うなど恥でしかありません!」
騎士団長の熱弁に王太子はたじろいだ。
あちらは無傷でこちらは重傷、となれば悪いのはあちらだと主張したのにそれがあっさりと拒絶されてしまった。
だが王太子にとって悪いのはアンゼリカであって、自分達はあくまで無礼を諫めようとしただけに過ぎない。
それなのにここまで非難されるのは自尊心の高い彼にとって納得できないものだった。
「騎士団長! 其方はそれでも父親か? 息子がこんな重傷を負わされたというのに何も思わないのか!?」
「某は父親である前に騎士です。か弱き女性に手を出そうとした息子への罰としてこの位の傷は当然の報いだと思っております。むしろ軽傷であったのなら某の手で息子に罰を与えておりました!」
「……くっ、だがっ……王太子である私の側近を害したことは断じて許されることではない! アンゼリカは責任をとるべきだ!」
「そうですか……そこまで仰るのでしたら、今を持って愚息には殿下の側近を辞退させます。それならばもう側近ではないのですから殿下がこの件について口を挟む権利はございませんよね?」
「はあ!? 何を勝手に……そんなことが許されるはずないだろう!」
「いえ、殿下の許可云々の問題ではありません。愚息は殿下の護衛として側近の任に就きましたが……この怪我ですと再び剣を握ることを難しいでしょう。護衛の役割をこなせないような役立たずをいつまでも王太子殿下の傍に置く意味はありますか?」
騎士団長に言い分はもっともだ。
護衛として側近になった者が護衛の役割を果たせないのなら、もう傍に置いておく意味はない。これには王太子も言葉に詰まる。
「……彼は私の友人だ。それに、ルルナだって彼がいなくなれば寂しがる……」
ルルナ、という名に反応し騎士団長の眉がピクリと動いた。
それは彼にとって最も忌むべき名であったからだ。
「ああ……件の男爵令嬢のことですか。殿下や我が愚息を誑かしたあの女狐が寂しがると……。そうですか、殿下は王国に尽くし続けた某の意見よりも、国に何の貢献もしていない男爵令嬢の気持ちを慮るのですね……」
地を這うような低い声音に王太子は騎士団長がこのうえなく怒っているのだと気付く。
「あ、いや……そういうつもりではない。ただ、ルルナは私達にとって大切な人で……」
慌てて言い訳をしようとするも、完全に的外れな言葉に騎士団長はひどく冷たい眼差しを向けた。
「さようでございますか……。殿下の婚約者でもない、国に貢献しているわけでもないご令嬢の方が某よりも大切だと……」
面倒くさい彼女のような事を言ってきた騎士団長だが、言っていることは正しい。
長年に渡り国家を守り続けてきた騎士団の長と、特に何も貢献していない婚約者ですらない令嬢。
王太子としてどちらを優先させるべきかと問われれば、内心はどうであれ前者を選ぶことが正しい判断だ。
そんなことすら分からず、ただ寵愛しているだけの令嬢を優先させる発言をすれば臣下としては面白くない。
王太子は上に立つものとして最も駄目な選択をしてしまい、騎士団長の不興を買ってしまった。
「医師殿、世話になりました。愚息は連れて帰ります」
騎士団長はもう王太子を見限り、満身創痍の息子を背負いこの場を去ろうとする。
王太子が何か言い募ろうとしても鋭い眼力でそれを黙らせた。
「ああ、お大事にどうぞ。しばらくは絶対安静にした方がよろしいですよ」
絶対安静というわりには雑な運び方をしている騎士団長に医師は苦言を呈したりはしなかった。
騎士団長も「そのように致します」とだけ言ってさっさと医務室を後にする。
「おや、騎士団長ではないですか? ああ、そういえば殿下の側近は騎士団長のご子息でしたね」
扉を開けて入室してきたのは王国騎士を統べる騎士団長だった。
彼は自分の息子が王宮の医務室に重傷を負って運ばれたと聞き慌ててやってきたようだ。
「これは王宮医師殿……愚息が世話になりました。あの……それで愚息の容体は……」
「全身の骨折、口内の裂傷、歯も数本抜けております。命に別状はありませんのでご安心を」
重症の患者を気遣うでもなく、素っ気ない態度をとる医師。
そんな医師の様子に騎士団長は怒るどころか冷や汗を流し始めた。
「先ほど私に愚息のことを報せてくれました衛兵から聞いたのですが……。あの、愚息がグリフォン公爵令嬢を害そうとして護衛に返り討ちにあったとは本当でしょうか……?」
この“護衛”という言葉に王太子は疑問を覚えた。
アンゼリカの傍にいたのは侍女が一人だけで、護衛の姿など見えなかったような……。
「いえ、私も詳しくは聞いておりませんね。どうなのでしょう、殿下?」
医師が王太子に話を振ると、彼は気まずそうに顔を逸らす。
今更になって自分が不味い事をしたのだと自覚したようだ。
「殿下! 愚息はグリフォン公爵令嬢に危害を加えようとしたのですか!? か弱き女性相手にそんな非道な真似を……!」
重傷を負った側近も見習いとはいえ騎士を目指す身であった。
強きをくじき、弱きを助けることを信条とした騎士がか弱い女性相手に暴力を振るおうとするなどあるまじき行為。息子がそんな真似をしようものなら自決する、とまで言いそうなほど騎士団長は鬼気迫る顔で王太子に詰め寄っていた。
「い、いや……彼は私の為にアンゼリカの無礼を改めようと……」
「では、真実だと仰るのですね!? 愚息は騎士を目指す身でありながら、か弱き女性に暴力を振るおうとしたと……そう仰るのですね!!?」
「落ち着いてくれ騎士団長……そこまで大袈裟にしなくとも……」
「これが大袈裟なものですか!! 愚息は何と恥知らずな男に育ったのか……父親として情けない限りです。はっ……こうしてはいられない! すぐにグリフォン公爵家へ謝罪に向かわねば!!」
「待て、騎士団長! これだけの重傷を負わされたのだからこちらが被害者だ!」
「殿下……何と情けないことを仰るのですか! 仕掛けたのは愚息からなのでしょう? ならばどう考えても加害者は愚息の方です! それに重傷を負わされたのは単に愚息の鍛錬不足が原因、それなのにこちらが被害者だと宣うなど恥でしかありません!」
騎士団長の熱弁に王太子はたじろいだ。
あちらは無傷でこちらは重傷、となれば悪いのはあちらだと主張したのにそれがあっさりと拒絶されてしまった。
だが王太子にとって悪いのはアンゼリカであって、自分達はあくまで無礼を諫めようとしただけに過ぎない。
それなのにここまで非難されるのは自尊心の高い彼にとって納得できないものだった。
「騎士団長! 其方はそれでも父親か? 息子がこんな重傷を負わされたというのに何も思わないのか!?」
「某は父親である前に騎士です。か弱き女性に手を出そうとした息子への罰としてこの位の傷は当然の報いだと思っております。むしろ軽傷であったのなら某の手で息子に罰を与えておりました!」
「……くっ、だがっ……王太子である私の側近を害したことは断じて許されることではない! アンゼリカは責任をとるべきだ!」
「そうですか……そこまで仰るのでしたら、今を持って愚息には殿下の側近を辞退させます。それならばもう側近ではないのですから殿下がこの件について口を挟む権利はございませんよね?」
「はあ!? 何を勝手に……そんなことが許されるはずないだろう!」
「いえ、殿下の許可云々の問題ではありません。愚息は殿下の護衛として側近の任に就きましたが……この怪我ですと再び剣を握ることを難しいでしょう。護衛の役割をこなせないような役立たずをいつまでも王太子殿下の傍に置く意味はありますか?」
騎士団長に言い分はもっともだ。
護衛として側近になった者が護衛の役割を果たせないのなら、もう傍に置いておく意味はない。これには王太子も言葉に詰まる。
「……彼は私の友人だ。それに、ルルナだって彼がいなくなれば寂しがる……」
ルルナ、という名に反応し騎士団長の眉がピクリと動いた。
それは彼にとって最も忌むべき名であったからだ。
「ああ……件の男爵令嬢のことですか。殿下や我が愚息を誑かしたあの女狐が寂しがると……。そうですか、殿下は王国に尽くし続けた某の意見よりも、国に何の貢献もしていない男爵令嬢の気持ちを慮るのですね……」
地を這うような低い声音に王太子は騎士団長がこのうえなく怒っているのだと気付く。
「あ、いや……そういうつもりではない。ただ、ルルナは私達にとって大切な人で……」
慌てて言い訳をしようとするも、完全に的外れな言葉に騎士団長はひどく冷たい眼差しを向けた。
「さようでございますか……。殿下の婚約者でもない、国に貢献しているわけでもないご令嬢の方が某よりも大切だと……」
面倒くさい彼女のような事を言ってきた騎士団長だが、言っていることは正しい。
長年に渡り国家を守り続けてきた騎士団の長と、特に何も貢献していない婚約者ですらない令嬢。
王太子としてどちらを優先させるべきかと問われれば、内心はどうであれ前者を選ぶことが正しい判断だ。
そんなことすら分からず、ただ寵愛しているだけの令嬢を優先させる発言をすれば臣下としては面白くない。
王太子は上に立つものとして最も駄目な選択をしてしまい、騎士団長の不興を買ってしまった。
「医師殿、世話になりました。愚息は連れて帰ります」
騎士団長はもう王太子を見限り、満身創痍の息子を背負いこの場を去ろうとする。
王太子が何か言い募ろうとしても鋭い眼力でそれを黙らせた。
「ああ、お大事にどうぞ。しばらくは絶対安静にした方がよろしいですよ」
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