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閑話 話が通じない
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ヘレンを始末する為に向かった王宮でハスリー侯爵はイアン公爵子息であるカールに呼び止められ、彼女の行方を尋ねられたことがある。聞いた話によるとこのイアン公子はヘレンと親しくしていたらしく、急にいなくなった彼女を探していたところに伯父である侯爵に偶然会ったとのでつい声をかけてしまったとのこと。唯一の血縁者である侯爵ならばヘレンの行方を知っているのではないかと思ったそうだ。
そんなのこっちが知りたい、と言いたかったが自分よりも身分が上の子息にそんな不躾なことなど言えない。当たり障りなくこちらも知らないという旨を伝えると、聞いてもいないのにヘレンへの想いを語りだした。
やたらキザったらしい言い回しでヘレンへの愛を語る若造に侯爵はウンザリとした。
何かヘレンの行方について手掛かりを知っているわけでもない相手と話すのは完全に時間の無駄であった。彼が如何にヘレンを愛しているかなど別に知りたくもない。
「あの時はかなり無駄な時間をとらせてくれたなと嫌な気分になったものだが……結果的にはこうして役に立ってくれたな」
例の娼館へとカールを案内した侯爵は安堵の息を吐く。
先日、娼館を出た彼は真っ先にイアン公爵邸へと向かい、カールにヘレンが見つかったと伝えた。そして、どうかヘレンを身請けしてやってくれないかと涙ながらに訴えたのだ。
『ヘレンが娼館に……? どうしてそんな場所にヘレンが!?』
『それは私にも分かりません……。ですが、一度娼館に入ってしまえば身請け以外にそこを出ることは不可能です。それにどうやらまだ客もついていない様子。イアン公子、どうかヘレンの初めての客となり、あの子を身請けしてやってくださいませんか?』
『わ、わたしが……ヘレンを!? で、でも……ヘレンを妻になど両親が許してくださらない……』
なんで“身請け”することが“妻にする”という発想に繋がるんだ、と侯爵は首を傾げた。
貴族家嫡男が娼婦を妻になど出来るわけもない。おそらくはヘレンを妻にしたいという願望からそんな言葉が出てきたのだろうが、こちらとしてはあんなのを公爵夫人にしてもらっては困る。
『イアン公子、ヘレンは元子爵令嬢とはいえども今は娼婦に身を落としました。貴方様は次期公爵です。当然妻になる女性は相応の家格と器が必要不可欠、とてもではないが不肖の姪になど務まりません』
『え? だが、貴公は今ヘレンを身請けしろとおっしゃったではないか……』
『ええ、身請けしてほしいとは申しましたが妻にしてほしいとは全く思っていません。娼婦となった姪は正妻どころか第二夫人にすらなれないでしょう。なので愛人として囲っていただきたいと思っております』
『愛人!? ヘレンをそんな日陰の存在にするなんて……』
『いえ、あの子にはそれで十分でしょう。それに……仮にご両親の反対を押し切ってヘレンを貴方様の妻にしたとして、あの子は幸せになれるでしょうか?』
『え……どういう意味だ?』
『考えてもみてください、あの子は令嬢としての教育を受けていないのです。女主人として家政を取り仕切ることも社交をすることもあの子には不可能だ。それに平民で娼婦だった女を公爵夫人にするとなれば周囲から強い反発を受けて当然です。そんな辛い環境に置くことが幸福だと思いますか?』
『…………いや、思わない』
『そうでしょう? なら、愛人として貴方様に愛されるだけの生活を送った方があの子にとって幸せというもの。そうは思いません?』
『私に愛される生活……か。そうか、確かにその方がヘレンにとって幸せかもしれない……』
『ええ、どうかあの子に貴方様の慈悲を与えてやってください。慎ましやかな住まいを与え、そこでひっそりと愛を育むことこそあの子にとっての幸福と言えるでしょう。勿論高貴な貴方様を独り占めするなどという贅沢をさせることはありません。気が向いた時にでも可愛がってやれば慎ましいあの子は満足することでしょう……』
とにかく愛人として囲ってくれればそれでいいと、侯爵は耳当たりのよい言葉で訴えかけた。最初は拒んでいたカールだが、それを聞くうちに段々と『それも悪くない』と思い始めたようだ。
『分かった。貴公の姪を想う気持ちに応えよう』
ただ単純に好いた女を手に入れたいという邪心を綺麗な言葉で誤魔化すカールに侯爵はうっかりと鼻で笑いそうになる。心の中では『単純で扱いやすいな』とカールを見下すものの、それを悟らせるような真似はしない。気分を損ねてヘレンの身請けを断られたら困るからだ。
『ありがとうございます。公子様の優しさと寛大な御心に感謝を。どうか末永くヘレンをよろしくお願いいたします』
これでこの若造に身請け金を支払わせて尚且つヘレンを押し付けることが出来ると侯爵は内心でほくそ笑んだ。
『つきましては早速その娼館にご足労願います。先方には話をつけておきますので最低三度はヘレンを買い、その後に身請けをオーナーへと申し出てください』
『え!? すぐにヘレンを助け出すのではないのか?』
『娼館にも作法というものはございます。それを飛び越えていきなり娼婦を身請けするということは不作法というもの。なあに、あちらのオーナーには話をつけておきますので他の客にヘレンを買われることはありませんのでご安心を』
この国の娼館では最低三度は通ってから身請けするという暗黙のルールがある。
これはただ単に身請け金プラス三度通う金を得るという、娼館側の利益のためのルールだ。即日身請けされるよりも何度か通ってもらった方が利益になるというただそれだけの理由。
『そ、そうか……そういうことなら……仕方ないな』
鼻の下を伸ばして助平な事を考えるカールに侯爵は生温かい視線を送った。
三度通うということはつまり……その度にヘレンを抱けるということ。
男ならば好いた女を抱きたいと思うのは当然のことだが……侯爵は感情を簡単に表に出すカールを内心見下した。貴族ならば己の心情は隠すものだ。それをしないからこうしていいように使われるのだと。
(まあ……その方がこちらにとって都合がいい)
かくして侯爵は娼館に話をつけ、カールにヘレンを身請けさせる旨の約束を取り付けた。
そして約束の日が訪れると侯爵はわざわざ馬車でカールを迎えに行き、娼館へと送り届けたのだ。万が一にも途中で心変わりなどおこされてはたまらないと。
「では、明日の朝また迎えに参ります。今宵はゆっくりとお楽しみください」
「う、うむ……。貴殿は帰ってしまうのか……?」
「はは……申し訳ございません。少々仕事が立て込んでいるものでして……」
本音を言えば侯爵だって馴染みの娼婦と一夜を過ごしたい。
だがハスリー侯爵家の乏しい資金ではせいぜい一月に一度逢瀬を楽しむことしか出来ない。しかしそんなことは恥ずかしくてとてもじゃないが口に出来ないのでこうして嘘をついたというわけだ。
そうしてハスリー侯爵が帰り、案内人によって室内に通されたカールはヘレンを待った。
既にこの時のカールはヘレンを手に入れられるといった期待で興奮状態にあり、王宮の時のような紳士ぶりなど完全に失われていた。
手に入れることなど無理だと半ば諦めていたヘレン。
王太子であるアレクセイがずっと離さなかったから思いを伝えることすら出来なかった愛しい女性。
それを誰に咎められることなく合法的に好きに出来るとなれば興奮しないわけもなく、カールはヘレンに会うなり会話もそこそこにいきなり襲い掛かったのだ。それはもう獣の如くに。ヘレンは優しかったカールがいきなり別人のように豹変したことに驚愕し、まるで獣ように自分の体を貪る行為に恐怖で言葉も出ない。この行為が何なのかも分からず、終わった頃には茫然自失となっていた。
(な、なに……? いったいなにをされたの? なんでカール様はこんな真似を……)
性の知識もないヘレンは自分が何をされたのか理解が出来なかった。
菫色の瞳から自然と溢れる涙をカールは嬉しそうに指で拭う。
「ヘレンも私と結ばれて嬉しかったんだね?」
それが嬉し涙だと勘違いをしたカールの言葉にヘレンは驚愕した。
慌てて訂正しようと「違う!」と叫ぶもまたもやカールに良い方向にとられてしまう。
「そんなに照れるなんて可愛いね……」
うっとりと頭を撫でてくるカールに鳥肌が立った。
こんな酷い事をされてどうして照れなければいけないのか理解が出来ない。
ヘレンは「こんなことをするなんて酷い」や「どうしてこんな真似を……」と非難するが、それすら好意的にとられてしまい会話にならない。
(話が通じない……! なんで? なんで嫌だって分かってくれないの!?)
この時、ヘレンは“話が通じない”ことによるストレスを生まれて初めて感じた。
それは今まで何度も他人から言われてきたことだが、それがこんなにも辛く苛立ちを覚えるものだと知らなかった。
「ごめんね、すぐにでも君をここから連れ出してあげたいんだけど……あと二回通ってからじゃないと無理なんだ。それまでどうか耐えて欲しい。必ず君を救い出してあげるからね」
二回? じゃあ、あと二回もこんな嫌な思いをしなきゃいけないの?
救い出してあげるって……私に酷い真似をしたのは貴方なのに何を言っているの?
カールの話がヘレンには全く理解が出来なかった。
もっと他にも聞きたいことが山程あるのにショックで上手く声が出てこない。
王妃のことやアレクセイのこと、そして王宮はどうなっているかを知りたかった。そして何よりどうしてカールがこの場所に来たのか、何で自分にこんな真似をするのかも聞きたいのに体も心も疲弊して言葉が紡げない。
唯一理解できることはカールがこちらの気持ちを理解する気がないということ。
ここに来てからずっと自分がどうしたいかばかりを話してこちらの話や気持ちを全く聞いてくれない。
信じていた人にこんな誠意のない言動をとられたヘレンは自分の心が擦り切れていくのを感じていた……。
そんなのこっちが知りたい、と言いたかったが自分よりも身分が上の子息にそんな不躾なことなど言えない。当たり障りなくこちらも知らないという旨を伝えると、聞いてもいないのにヘレンへの想いを語りだした。
やたらキザったらしい言い回しでヘレンへの愛を語る若造に侯爵はウンザリとした。
何かヘレンの行方について手掛かりを知っているわけでもない相手と話すのは完全に時間の無駄であった。彼が如何にヘレンを愛しているかなど別に知りたくもない。
「あの時はかなり無駄な時間をとらせてくれたなと嫌な気分になったものだが……結果的にはこうして役に立ってくれたな」
例の娼館へとカールを案内した侯爵は安堵の息を吐く。
先日、娼館を出た彼は真っ先にイアン公爵邸へと向かい、カールにヘレンが見つかったと伝えた。そして、どうかヘレンを身請けしてやってくれないかと涙ながらに訴えたのだ。
『ヘレンが娼館に……? どうしてそんな場所にヘレンが!?』
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なんで“身請け”することが“妻にする”という発想に繋がるんだ、と侯爵は首を傾げた。
貴族家嫡男が娼婦を妻になど出来るわけもない。おそらくはヘレンを妻にしたいという願望からそんな言葉が出てきたのだろうが、こちらとしてはあんなのを公爵夫人にしてもらっては困る。
『イアン公子、ヘレンは元子爵令嬢とはいえども今は娼婦に身を落としました。貴方様は次期公爵です。当然妻になる女性は相応の家格と器が必要不可欠、とてもではないが不肖の姪になど務まりません』
『え? だが、貴公は今ヘレンを身請けしろとおっしゃったではないか……』
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『愛人!? ヘレンをそんな日陰の存在にするなんて……』
『いえ、あの子にはそれで十分でしょう。それに……仮にご両親の反対を押し切ってヘレンを貴方様の妻にしたとして、あの子は幸せになれるでしょうか?』
『え……どういう意味だ?』
『考えてもみてください、あの子は令嬢としての教育を受けていないのです。女主人として家政を取り仕切ることも社交をすることもあの子には不可能だ。それに平民で娼婦だった女を公爵夫人にするとなれば周囲から強い反発を受けて当然です。そんな辛い環境に置くことが幸福だと思いますか?』
『…………いや、思わない』
『そうでしょう? なら、愛人として貴方様に愛されるだけの生活を送った方があの子にとって幸せというもの。そうは思いません?』
『私に愛される生活……か。そうか、確かにその方がヘレンにとって幸せかもしれない……』
『ええ、どうかあの子に貴方様の慈悲を与えてやってください。慎ましやかな住まいを与え、そこでひっそりと愛を育むことこそあの子にとっての幸福と言えるでしょう。勿論高貴な貴方様を独り占めするなどという贅沢をさせることはありません。気が向いた時にでも可愛がってやれば慎ましいあの子は満足することでしょう……』
とにかく愛人として囲ってくれればそれでいいと、侯爵は耳当たりのよい言葉で訴えかけた。最初は拒んでいたカールだが、それを聞くうちに段々と『それも悪くない』と思い始めたようだ。
『分かった。貴公の姪を想う気持ちに応えよう』
ただ単純に好いた女を手に入れたいという邪心を綺麗な言葉で誤魔化すカールに侯爵はうっかりと鼻で笑いそうになる。心の中では『単純で扱いやすいな』とカールを見下すものの、それを悟らせるような真似はしない。気分を損ねてヘレンの身請けを断られたら困るからだ。
『ありがとうございます。公子様の優しさと寛大な御心に感謝を。どうか末永くヘレンをよろしくお願いいたします』
これでこの若造に身請け金を支払わせて尚且つヘレンを押し付けることが出来ると侯爵は内心でほくそ笑んだ。
『つきましては早速その娼館にご足労願います。先方には話をつけておきますので最低三度はヘレンを買い、その後に身請けをオーナーへと申し出てください』
『え!? すぐにヘレンを助け出すのではないのか?』
『娼館にも作法というものはございます。それを飛び越えていきなり娼婦を身請けするということは不作法というもの。なあに、あちらのオーナーには話をつけておきますので他の客にヘレンを買われることはありませんのでご安心を』
この国の娼館では最低三度は通ってから身請けするという暗黙のルールがある。
これはただ単に身請け金プラス三度通う金を得るという、娼館側の利益のためのルールだ。即日身請けされるよりも何度か通ってもらった方が利益になるというただそれだけの理由。
『そ、そうか……そういうことなら……仕方ないな』
鼻の下を伸ばして助平な事を考えるカールに侯爵は生温かい視線を送った。
三度通うということはつまり……その度にヘレンを抱けるということ。
男ならば好いた女を抱きたいと思うのは当然のことだが……侯爵は感情を簡単に表に出すカールを内心見下した。貴族ならば己の心情は隠すものだ。それをしないからこうしていいように使われるのだと。
(まあ……その方がこちらにとって都合がいい)
かくして侯爵は娼館に話をつけ、カールにヘレンを身請けさせる旨の約束を取り付けた。
そして約束の日が訪れると侯爵はわざわざ馬車でカールを迎えに行き、娼館へと送り届けたのだ。万が一にも途中で心変わりなどおこされてはたまらないと。
「では、明日の朝また迎えに参ります。今宵はゆっくりとお楽しみください」
「う、うむ……。貴殿は帰ってしまうのか……?」
「はは……申し訳ございません。少々仕事が立て込んでいるものでして……」
本音を言えば侯爵だって馴染みの娼婦と一夜を過ごしたい。
だがハスリー侯爵家の乏しい資金ではせいぜい一月に一度逢瀬を楽しむことしか出来ない。しかしそんなことは恥ずかしくてとてもじゃないが口に出来ないのでこうして嘘をついたというわけだ。
そうしてハスリー侯爵が帰り、案内人によって室内に通されたカールはヘレンを待った。
既にこの時のカールはヘレンを手に入れられるといった期待で興奮状態にあり、王宮の時のような紳士ぶりなど完全に失われていた。
手に入れることなど無理だと半ば諦めていたヘレン。
王太子であるアレクセイがずっと離さなかったから思いを伝えることすら出来なかった愛しい女性。
それを誰に咎められることなく合法的に好きに出来るとなれば興奮しないわけもなく、カールはヘレンに会うなり会話もそこそこにいきなり襲い掛かったのだ。それはもう獣の如くに。ヘレンは優しかったカールがいきなり別人のように豹変したことに驚愕し、まるで獣ように自分の体を貪る行為に恐怖で言葉も出ない。この行為が何なのかも分からず、終わった頃には茫然自失となっていた。
(な、なに……? いったいなにをされたの? なんでカール様はこんな真似を……)
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菫色の瞳から自然と溢れる涙をカールは嬉しそうに指で拭う。
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慌てて訂正しようと「違う!」と叫ぶもまたもやカールに良い方向にとられてしまう。
「そんなに照れるなんて可愛いね……」
うっとりと頭を撫でてくるカールに鳥肌が立った。
こんな酷い事をされてどうして照れなければいけないのか理解が出来ない。
ヘレンは「こんなことをするなんて酷い」や「どうしてこんな真似を……」と非難するが、それすら好意的にとられてしまい会話にならない。
(話が通じない……! なんで? なんで嫌だって分かってくれないの!?)
この時、ヘレンは“話が通じない”ことによるストレスを生まれて初めて感じた。
それは今まで何度も他人から言われてきたことだが、それがこんなにも辛く苛立ちを覚えるものだと知らなかった。
「ごめんね、すぐにでも君をここから連れ出してあげたいんだけど……あと二回通ってからじゃないと無理なんだ。それまでどうか耐えて欲しい。必ず君を救い出してあげるからね」
二回? じゃあ、あと二回もこんな嫌な思いをしなきゃいけないの?
救い出してあげるって……私に酷い真似をしたのは貴方なのに何を言っているの?
カールの話がヘレンには全く理解が出来なかった。
もっと他にも聞きたいことが山程あるのにショックで上手く声が出てこない。
王妃のことやアレクセイのこと、そして王宮はどうなっているかを知りたかった。そして何よりどうしてカールがこの場所に来たのか、何で自分にこんな真似をするのかも聞きたいのに体も心も疲弊して言葉が紡げない。
唯一理解できることはカールがこちらの気持ちを理解する気がないということ。
ここに来てからずっと自分がどうしたいかばかりを話してこちらの話や気持ちを全く聞いてくれない。
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