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贈られたドレス
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まだ昼過ぎだというのに私は一連の出来事に疲労困憊だ。
夜には皇太子殿下の歓迎を兼ねた晩餐会に出席するというのに、もはやライフはゼロに近い。
「濃い目のカフェオレに砂糖をたっぷりと入れてちょうだい……」
こうなったらもうカフェインと糖分で無理やりにでも体と頭を動かすしかない。
出来れば前世のような栄養ドリンクを注入したいが、この世界にそんな代物はないからなー……。
「かしこまりました、直ちにご用意いたします」
専属侍女のキャシーが手早く用意してくれた苦くて甘~いカフェオレを一口飲むとカフェインと糖分が体に染みていく心地がした。ああ、ホッとする。これで何とか晩餐会も乗り切れそう。
「お嬢様、晩餐会に着ていくドレスはどれになさいます?」
ああ、そうか、ドレスを選ばなきゃ……。
今はドレスを選ぶことすら面倒で、うっかり「キャシーが選んで」と言いかけてしまった。
それは流石に怒られそうなので私は重い頭で手持ちのドレスを思い浮かべる。
「確か先日お母様と一緒に仕立てたモスグリーンのドレスがあったわよね……。あれを着ていくわ」
母がドレスを仕立てるというのでついでに私も仕立ててもらった。
公爵夫人である母が見立てたものなら申し分ないだろう。
しかし、私の言葉にキャシーは何かを言いたげな顔を見せる。
何事かと思い尋ねてみると、彼女は言いにくそうに「ええっと……不愉快な方を彷彿させるようで申し訳ないのですが……」と呟く。
「ちょっと前にあの王太子から珍しく贈られてきたドレス、あれを覚えていらっしゃいますか? 紫色の……」
「王太子から? ああ、あったわね、そんなの……」
婚約破棄を宣言したしばらく後、王太子が紫色のドレスを邸に送り付けてきたことがある。今までそういった婚約者らしいことを全くしてこなかった男からの初めて贈り物にひどく警戒したことは覚えている。
「紫色のドレスだったので一応は持参したのですが……」
「ああ…………」
王族が婚約者に紫色のドレスを贈ることは『貴方を王家の一員として認める』という意味になる。
紫は王族のみが身に着けていい高貴な色だから。
健気なミシェルだったら泣いて喜んだでしょうけど、私はちっとも嬉しくない。
むしろ「別れた女に贈り物寄越すなよ」と思ってしまうわよ。
だいたい婚約破棄を突きつけたっていうのに“王家の一員として認める”って何よ?
その王家に入るつもりないし、やけに上から目線の意味も気に食わないわ!
これが『王家の一員になってください、お願いします』という体姿勢な懇願だったら着てやらないこともないけど。
あのムカつく王太子からの贈り物だとしても、中身が紫色のドレスという王家の色だったからキャシーも一応尋ねたんでしょうね。名目上はまだ王太子の婚約者だから紫色のドレスを着なくてもいいのかって。
「あの王太子から贈られたドレスなんて気持ち悪くて着られないわ」
「ですよねー……。すみません、変な事を聞いてしまって……」
「いえ、思い出させてくれたのはよかったわ。すっかり存在を忘れていたからね」
もしかすると晩餐会で国王陛下あたりが「息子から贈られた紫色のドレスはどうした?」とか聞いてくるかもしれない。あの方は若干空気が読めないところがあるから。
そういえば……私は実物を確認していなかった。
だって王太子からの贈り物という時点で見たくも無かったし。
中身を確認した侍女から「紫色のドレスでした」という報告を受けただけ。
今更だけど一応、確認だけはしておこうかしら……。
「着ることはないけど中身だけは確認したいからここへ持ってきてくれる?」
なんとなく、今確認しておいた方がよさそうな気がする。
何の根拠もないけれど、そんな勘のようなものが働いた。
「あ、中身を出す際は必ず手袋を嵌めてからよ。布地に毒を染み込ませているかもしれないからね!」
「お嬢様の殿下への信用はゼロですね~! 分かりました、きちんと手袋と……それと口布もつけて中身をお持ちします」
まるで毒物を運ぶような出で立ちのキャシーと侍女数名がドレスの入った箱を運んできた。彼女達は慎重な動きでゆっくりと箱の蓋を開けてドレスを取り出し、それをトルソーへとかけた。
「見た目は普通のドレスのようね…………」
紫色の生地にフリルやレースがふんだんにあしらわれた可愛らしいドレス。
いかにもお姫様、といった感じのプリンセスドレスだ。
「ねえ、キャシー……率直に聞きたいのだけど、このドレス……わたくしに似合うと思う?」
正直私にはこのドレスがミシェルに合うとは思えない。
官能的な体つきのミシェルにはマーメイドやAラインのドレスの方が綺麗に着こなせるだろう。こんなフリフリのドレスを着たら逆に太って見えてしまいそうだ。
「いえ……誠に失礼ながら、このようなデザインはお嬢様向けではないと思われます。お嬢様にはもっとお体のラインに沿ったドレスの方がお似合いかと」
キャシーも私と同意見のようね。
あの阿呆は婚約者に似合うドレスも見繕えないわけ?
つくづく使えない……。仕事が出来ないと思ったらこういう気遣いにおいても無能なのね。
「それにこのドレス……サイズもお嬢様のお体に合わないように思われます。ほらここ……」
そう言ってキャシーはそのドレスの胸元を摘まんだ。ろくに伸びもしない生地とその幅から察するにとてもミシェルの豊かな胸囲に届かない。
「これではお嬢様はおろか私のサイズでも無理です。それに比べてウエスト部分はお嬢様が普段お召しになられているドレスよりも余裕があります。これ、完全にお嬢様以外の方のサイズで作られていますよ……」
「他人のサイズで作られたドレスを贈ってくるなんて何を考えているのかしら……!?」
あの王太子が贈ってくる物なんて絶対に何かある、と思っていたら本当にあった!
いや、予想はしていたけど……なんというか、毒とか針とかを布地に仕込んでいるのかと思っていた。調べたくもないから調べていないだけで、もしかしたらそれらも仕込まれているのかもしれないけど。
サイズが違う物を贈りつけるって……なんというかみみっちい嫌がらせだな。
あの器も何もかもが小さい王太子らしい……。
「サイズが合わないドレスを持っていても仕方ないわね。後で返しておくわ」
数日経った後だから返しにくいな……。
こんなことならすぐに中身を確認しておけばよかった
それにしてもこのドレスは誰のサイズで作られたものなのだろう……?
夜には皇太子殿下の歓迎を兼ねた晩餐会に出席するというのに、もはやライフはゼロに近い。
「濃い目のカフェオレに砂糖をたっぷりと入れてちょうだい……」
こうなったらもうカフェインと糖分で無理やりにでも体と頭を動かすしかない。
出来れば前世のような栄養ドリンクを注入したいが、この世界にそんな代物はないからなー……。
「かしこまりました、直ちにご用意いたします」
専属侍女のキャシーが手早く用意してくれた苦くて甘~いカフェオレを一口飲むとカフェインと糖分が体に染みていく心地がした。ああ、ホッとする。これで何とか晩餐会も乗り切れそう。
「お嬢様、晩餐会に着ていくドレスはどれになさいます?」
ああ、そうか、ドレスを選ばなきゃ……。
今はドレスを選ぶことすら面倒で、うっかり「キャシーが選んで」と言いかけてしまった。
それは流石に怒られそうなので私は重い頭で手持ちのドレスを思い浮かべる。
「確か先日お母様と一緒に仕立てたモスグリーンのドレスがあったわよね……。あれを着ていくわ」
母がドレスを仕立てるというのでついでに私も仕立ててもらった。
公爵夫人である母が見立てたものなら申し分ないだろう。
しかし、私の言葉にキャシーは何かを言いたげな顔を見せる。
何事かと思い尋ねてみると、彼女は言いにくそうに「ええっと……不愉快な方を彷彿させるようで申し訳ないのですが……」と呟く。
「ちょっと前にあの王太子から珍しく贈られてきたドレス、あれを覚えていらっしゃいますか? 紫色の……」
「王太子から? ああ、あったわね、そんなの……」
婚約破棄を宣言したしばらく後、王太子が紫色のドレスを邸に送り付けてきたことがある。今までそういった婚約者らしいことを全くしてこなかった男からの初めて贈り物にひどく警戒したことは覚えている。
「紫色のドレスだったので一応は持参したのですが……」
「ああ…………」
王族が婚約者に紫色のドレスを贈ることは『貴方を王家の一員として認める』という意味になる。
紫は王族のみが身に着けていい高貴な色だから。
健気なミシェルだったら泣いて喜んだでしょうけど、私はちっとも嬉しくない。
むしろ「別れた女に贈り物寄越すなよ」と思ってしまうわよ。
だいたい婚約破棄を突きつけたっていうのに“王家の一員として認める”って何よ?
その王家に入るつもりないし、やけに上から目線の意味も気に食わないわ!
これが『王家の一員になってください、お願いします』という体姿勢な懇願だったら着てやらないこともないけど。
あのムカつく王太子からの贈り物だとしても、中身が紫色のドレスという王家の色だったからキャシーも一応尋ねたんでしょうね。名目上はまだ王太子の婚約者だから紫色のドレスを着なくてもいいのかって。
「あの王太子から贈られたドレスなんて気持ち悪くて着られないわ」
「ですよねー……。すみません、変な事を聞いてしまって……」
「いえ、思い出させてくれたのはよかったわ。すっかり存在を忘れていたからね」
もしかすると晩餐会で国王陛下あたりが「息子から贈られた紫色のドレスはどうした?」とか聞いてくるかもしれない。あの方は若干空気が読めないところがあるから。
そういえば……私は実物を確認していなかった。
だって王太子からの贈り物という時点で見たくも無かったし。
中身を確認した侍女から「紫色のドレスでした」という報告を受けただけ。
今更だけど一応、確認だけはしておこうかしら……。
「着ることはないけど中身だけは確認したいからここへ持ってきてくれる?」
なんとなく、今確認しておいた方がよさそうな気がする。
何の根拠もないけれど、そんな勘のようなものが働いた。
「あ、中身を出す際は必ず手袋を嵌めてからよ。布地に毒を染み込ませているかもしれないからね!」
「お嬢様の殿下への信用はゼロですね~! 分かりました、きちんと手袋と……それと口布もつけて中身をお持ちします」
まるで毒物を運ぶような出で立ちのキャシーと侍女数名がドレスの入った箱を運んできた。彼女達は慎重な動きでゆっくりと箱の蓋を開けてドレスを取り出し、それをトルソーへとかけた。
「見た目は普通のドレスのようね…………」
紫色の生地にフリルやレースがふんだんにあしらわれた可愛らしいドレス。
いかにもお姫様、といった感じのプリンセスドレスだ。
「ねえ、キャシー……率直に聞きたいのだけど、このドレス……わたくしに似合うと思う?」
正直私にはこのドレスがミシェルに合うとは思えない。
官能的な体つきのミシェルにはマーメイドやAラインのドレスの方が綺麗に着こなせるだろう。こんなフリフリのドレスを着たら逆に太って見えてしまいそうだ。
「いえ……誠に失礼ながら、このようなデザインはお嬢様向けではないと思われます。お嬢様にはもっとお体のラインに沿ったドレスの方がお似合いかと」
キャシーも私と同意見のようね。
あの阿呆は婚約者に似合うドレスも見繕えないわけ?
つくづく使えない……。仕事が出来ないと思ったらこういう気遣いにおいても無能なのね。
「それにこのドレス……サイズもお嬢様のお体に合わないように思われます。ほらここ……」
そう言ってキャシーはそのドレスの胸元を摘まんだ。ろくに伸びもしない生地とその幅から察するにとてもミシェルの豊かな胸囲に届かない。
「これではお嬢様はおろか私のサイズでも無理です。それに比べてウエスト部分はお嬢様が普段お召しになられているドレスよりも余裕があります。これ、完全にお嬢様以外の方のサイズで作られていますよ……」
「他人のサイズで作られたドレスを贈ってくるなんて何を考えているのかしら……!?」
あの王太子が贈ってくる物なんて絶対に何かある、と思っていたら本当にあった!
いや、予想はしていたけど……なんというか、毒とか針とかを布地に仕込んでいるのかと思っていた。調べたくもないから調べていないだけで、もしかしたらそれらも仕込まれているのかもしれないけど。
サイズが違う物を贈りつけるって……なんというかみみっちい嫌がらせだな。
あの器も何もかもが小さい王太子らしい……。
「サイズが合わないドレスを持っていても仕方ないわね。後で返しておくわ」
数日経った後だから返しにくいな……。
こんなことならすぐに中身を確認しておけばよかった
それにしてもこのドレスは誰のサイズで作られたものなのだろう……?
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