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番外編
彼女の幸せと母の幸せ②
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あれからしばらくして、ジュリエッタはシロと結婚し、晴れて夫婦となった。
公爵夫人が用意してくれた豪奢な花嫁衣裳を身に纏うジュリエッタは眩いばかりに美しく、花婿であるシロも、母のチェルシーも感動のあまり涙を流す。
「はあ~……すっごく綺麗だよジュリエッタ……。こんな美人を妻にできる俺はこの世界で一番の果報者だ……」
「ううっ……。こうして娘の花嫁姿を見れるなんてっ……!! 生きててよかったわ……」
二人の結婚式は町中の人が祝福に来てくれた。
教会で誓いの言葉を交わし、外に出てきた二人に花の雨が降り注ぐ。
赤、青、黄、白、色とりどりの花を用意し、町中の皆の手に渡るよう手配してくれたのは花屋のジョーだった。
ジュリエッタの門出を最高のものにしたい。
そう言って彼女の好きな白い花で纏めたブーケをプレゼントしてくれた彼に、ジュリエッタは密かに母との仲を応援しようと心に決めた。
結婚式後、ジュリエッタとシロは母の住む家の近くに新居を構えた。
本当は母と一緒に住みたかったが、母はそれを頑なに拒んだ。
「貴女、シロ君のことも考えなさい。姑と一緒に住むなんて窮屈で可哀そうよ。それに私が一緒に住んでいたら気になって子作りも出来ないでしょう?」
母親に直接子作りのことを言われて赤面するジュリエッタだが、確かに義母と暮らすとなるとシロは気を遣うかもしれない。夫への気遣いが出来ていない自分を反省し、彼と話し合った結果、母の家の近くに新居を構えることにした。
母の気遣いの結果、ジュリエッタは新婚早々に子を身籠った。
嬉しくてたまらず、早速報告に行こうとシロと共に母の家へ向かう。
薔薇の盛りを過ぎ、花が無くなった庭が見えた時、急にシロがジュリエッタの体を抱き寄せた。
「シロ? 急にどうしたの?」
「しっ、静かに。あそこ……、あの、窓辺の辺りに誰かいる……」
シロにそう言われ、驚いたジュリエッタがそちらに目を向ける。
するとそこに男がおり、窓から室内を覗いていた。
「えええ? な、なにあの人……!」
「この辺じゃ見ない髪色だ……。誰かは知らないけど不審者であることは確かだね。お義母さんが心配だから俺が何とかするよ。ジュリエッタは危ないから家に戻ってて。鍵を閉めて、俺が戻るまで絶対に外に出ちゃ駄目だよ!」
「えっ、そんな! シロが危ないよ!」
「何言ってんの、俺はハルバード家で護衛兼工作員をやってたんだよ? そんじょそこらの盗人や暴漢なんて相手にもならないって! それよりほら、早く帰って。お義母さんのことも早く助けなきゃ」
シロにそう促され、ジュリエッタは後ろ髪を引かれる思いで家まで戻った。
急いで玄関の鍵を閉め、部屋の中で夫と母の無事をただ祈る。
どうか、二人共無事でありますように――。
公爵夫人が用意してくれた豪奢な花嫁衣裳を身に纏うジュリエッタは眩いばかりに美しく、花婿であるシロも、母のチェルシーも感動のあまり涙を流す。
「はあ~……すっごく綺麗だよジュリエッタ……。こんな美人を妻にできる俺はこの世界で一番の果報者だ……」
「ううっ……。こうして娘の花嫁姿を見れるなんてっ……!! 生きててよかったわ……」
二人の結婚式は町中の人が祝福に来てくれた。
教会で誓いの言葉を交わし、外に出てきた二人に花の雨が降り注ぐ。
赤、青、黄、白、色とりどりの花を用意し、町中の皆の手に渡るよう手配してくれたのは花屋のジョーだった。
ジュリエッタの門出を最高のものにしたい。
そう言って彼女の好きな白い花で纏めたブーケをプレゼントしてくれた彼に、ジュリエッタは密かに母との仲を応援しようと心に決めた。
結婚式後、ジュリエッタとシロは母の住む家の近くに新居を構えた。
本当は母と一緒に住みたかったが、母はそれを頑なに拒んだ。
「貴女、シロ君のことも考えなさい。姑と一緒に住むなんて窮屈で可哀そうよ。それに私が一緒に住んでいたら気になって子作りも出来ないでしょう?」
母親に直接子作りのことを言われて赤面するジュリエッタだが、確かに義母と暮らすとなるとシロは気を遣うかもしれない。夫への気遣いが出来ていない自分を反省し、彼と話し合った結果、母の家の近くに新居を構えることにした。
母の気遣いの結果、ジュリエッタは新婚早々に子を身籠った。
嬉しくてたまらず、早速報告に行こうとシロと共に母の家へ向かう。
薔薇の盛りを過ぎ、花が無くなった庭が見えた時、急にシロがジュリエッタの体を抱き寄せた。
「シロ? 急にどうしたの?」
「しっ、静かに。あそこ……、あの、窓辺の辺りに誰かいる……」
シロにそう言われ、驚いたジュリエッタがそちらに目を向ける。
するとそこに男がおり、窓から室内を覗いていた。
「えええ? な、なにあの人……!」
「この辺じゃ見ない髪色だ……。誰かは知らないけど不審者であることは確かだね。お義母さんが心配だから俺が何とかするよ。ジュリエッタは危ないから家に戻ってて。鍵を閉めて、俺が戻るまで絶対に外に出ちゃ駄目だよ!」
「えっ、そんな! シロが危ないよ!」
「何言ってんの、俺はハルバード家で護衛兼工作員をやってたんだよ? そんじょそこらの盗人や暴漢なんて相手にもならないって! それよりほら、早く帰って。お義母さんのことも早く助けなきゃ」
シロにそう促され、ジュリエッタは後ろ髪を引かれる思いで家まで戻った。
急いで玄関の鍵を閉め、部屋の中で夫と母の無事をただ祈る。
どうか、二人共無事でありますように――。
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