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番外編
新婚夫婦と姑を同居させる? 正気ですか?
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「どう考えてもカイルの花嫁が可哀想じゃないですか!? 新婚早々に姑も一緒って! 父上は孫夫婦を離縁させたいのですか!」
「い、いや……別邸だし一緒に住むというわけでは……」
「敷地内にあるんだからしょっちゅう顔合わせますよね? なんなら簡単に会いにいけますよね? 姑がいつ来るか分からない状況下で新妻が落ち着いて暮らせますか? ……ちなみに、母上はこの件について了承しているんですか?」
礼儀に厳しい母上が娘の出戻りを許すとは思えない。
あ、父上が目を逸らした。
「…………もしかして、母上がこの場にいないのって、この件に反対しているからじゃないですか?」
「う…………実はそうなんだ。だからお前にも説得を手伝ってもらおうと思って……」
「何で僕がすると思うんです? しませんよそんなの!」
「いや、クラリスの離縁の話を聞けば考え直すはずだ! クラリスの夫の公爵はな……」
父上の話によれば、姉上の夫は若い愛人に入れ込み、とうとう屋敷に連れこんでしまったらしい。
だが本妻と愛人が会えば喧嘩になるのは当然だ。
そこでひと悶着あって、夫に愛想を尽かした姉上は離縁して出てきたそうだ。
あれ……? この話ってオニキスがメイドの噂話で聞いたやつだよな?
じゃあ、あれって姉上夫妻のことだったのか!?
「それは災難なことだと思いますし、公爵のことも最低だと思います。ですがそれとこれは別の話です。カイルの花嫁が嫁いでくるタイミングで姉上が出戻ってくるなんて、あちらにしてみれば顔を顰める案件ですからね!? 伯爵家の当主である父上が一番気にすべきことは、出戻った娘ではなくて新たな伯爵夫人となるカイルの花嫁の方じゃないですか?」
僕の言葉にハッとなる父上。
嘘だろう? こんな当たり前なことを僕に言われるまで気が付かなかったのか?
そんなに実の娘が可愛いのかよ……。
「それもそうだ……。だ、だが、クラリスが可哀想だと思わないのか? あんなに公爵家に尽くしてきたのにこんな酷い裏切りを受けて……。ここに住めないなら修道院に行くしかないのだぞ? クラリスは悪くないのに、そんなのあんまりじゃないか!」
修道院に行けと言うのは母上の意見だろう。出戻り娘の行き先といえば通常はそこしかない。
だがそれは貴族に限っての話だ。貴族思考の両親や姉上はそれが分かっていない。
「い、いや……別邸だし一緒に住むというわけでは……」
「敷地内にあるんだからしょっちゅう顔合わせますよね? なんなら簡単に会いにいけますよね? 姑がいつ来るか分からない状況下で新妻が落ち着いて暮らせますか? ……ちなみに、母上はこの件について了承しているんですか?」
礼儀に厳しい母上が娘の出戻りを許すとは思えない。
あ、父上が目を逸らした。
「…………もしかして、母上がこの場にいないのって、この件に反対しているからじゃないですか?」
「う…………実はそうなんだ。だからお前にも説得を手伝ってもらおうと思って……」
「何で僕がすると思うんです? しませんよそんなの!」
「いや、クラリスの離縁の話を聞けば考え直すはずだ! クラリスの夫の公爵はな……」
父上の話によれば、姉上の夫は若い愛人に入れ込み、とうとう屋敷に連れこんでしまったらしい。
だが本妻と愛人が会えば喧嘩になるのは当然だ。
そこでひと悶着あって、夫に愛想を尽かした姉上は離縁して出てきたそうだ。
あれ……? この話ってオニキスがメイドの噂話で聞いたやつだよな?
じゃあ、あれって姉上夫妻のことだったのか!?
「それは災難なことだと思いますし、公爵のことも最低だと思います。ですがそれとこれは別の話です。カイルの花嫁が嫁いでくるタイミングで姉上が出戻ってくるなんて、あちらにしてみれば顔を顰める案件ですからね!? 伯爵家の当主である父上が一番気にすべきことは、出戻った娘ではなくて新たな伯爵夫人となるカイルの花嫁の方じゃないですか?」
僕の言葉にハッとなる父上。
嘘だろう? こんな当たり前なことを僕に言われるまで気が付かなかったのか?
そんなに実の娘が可愛いのかよ……。
「それもそうだ……。だ、だが、クラリスが可哀想だと思わないのか? あんなに公爵家に尽くしてきたのにこんな酷い裏切りを受けて……。ここに住めないなら修道院に行くしかないのだぞ? クラリスは悪くないのに、そんなのあんまりじゃないか!」
修道院に行けと言うのは母上の意見だろう。出戻り娘の行き先といえば通常はそこしかない。
だがそれは貴族に限っての話だ。貴族思考の両親や姉上はそれが分かっていない。
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