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アリスティアの猛攻

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「アリスティア、其方は貴重な時間をこうして余に費やしてよいのか?」

 王妃様の尽力により、とうとう陛下と二人きりでお茶をするまでになりました。
 そして何度目かのお茶の時間、陛下は私に対してそんな質問をされたのです。

「陛下、私はこの時間を何より楽しみにしております。それともご迷惑でしたでしょうか……?」

「迷惑だなんて思うわけない。だが、其方のように若く美しい令嬢の貴重な時間を余に費やすべきでないと思うてな。……ソフィアに聞いた、あれは其方を余の公妾にしようとしたらしいな?」

 王妃様の策略が知られてしまいました。
 
 ……でもこれは逆にチャンスかもしれません。

「左様に御座います。ですが強制ではございません、王妃様は私の気持ちを尊重してくださいました」

「臣下である其方に王妃が言ったことは半強制と言って過言はない。よい、余が許す故、これ以上無理をしなくともよい」

「まあ……! 無理をしなくてよい、ということは、私のこの溢れんばかりの陛下への想いを隠さなくてよい、ということでございますね?」

 陛下が仰りたいことは分かってます。
 
 無理に公妾にならずともよい、と仰りたいのですよね?
 
 ですがそんなの嫌でございます。
 なのでここは天然を装い押して押して押しまくりますわ! 

 私の本気をとくとご覧あれ!

「………………んっ? ……今、何と申したのだ?」

「はい。陛下を愛しておりますと申しました。もちろん殿方としてです。好きです、触れてほしいです」

「いやいやいや……ちょっと待て!?」

「嫌です、待てません! 私は充分待ちました! これ以上待てません!」

 恋心を覚えてから早一か月。そう、一か月も待ったんですよ?
 もう待てません!

「陛下は私のことがお嫌いですか? 年が離れすぎて子供にしか見せませんか?」

「~~~~っ!! そんなわけなかろう! 余とて其方を初めて見た時からとても美しい女性だと……。だがな、其方はもっと若く有望な令息と一緒になった方が……」

「嫌です、気持ち悪い! 陛下以外に触れられたくありません! 私の体も心も全て陛下の物です!」

「なっ……なんてことを言うんだ!? ん? 待て、若い令息と一緒になることが気持ち悪いのか?」 

 陛下の質問にお答えしたいのは山々ですが、今はそんな場合ではありません。
 今大切な場面ですので後にしてくださいませ。

「陛下が少しでも私を好きだと思ってくださるなら口付けしてください。お願いです、陛下……」

「あ、こ、こらっ、待ちなさい……」

「待ちません! 口付けしてくださるまで私は帰りませんからね!」

 
 不敬上等です。ここまできたら何としても手出しをしてもらいます。


「~~~~っ! ああ、もう、分かった……。だが、本当によいのか? 其方に触れたらもう離してやれぬぞ?」


「――――っ!! 離さないでくださいませ! ずっと、ずーっと陛下のお傍にいたいのです!」

 私がそう言うと、陛下は困ったようなそれでいて嬉しそうな顔で笑いました。
 そして急に雄の顔になり、力強く私をその腕の中に捕えたのです。

「陛下……嬉しい……」

「……そんな可愛い顔で嬉しそうにしよって。もう其方が嫌がっても離してやらん」

「ええ、離さないでくださいませ……ずっと」

 互いに見つめ合い、そっと唇を重ねました。
 
 陛下の口付けはうっとりするほど素敵で濃厚で蕩けてしまいそうです。
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