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これからどうなるのだろう
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ビクトリアからとんでもないことを聞いたブリジットは夜になり帰宅した両親に昼間の出来事を告げる。
「あのお花畑の猿王子が! 帝国に喧嘩売る真似してどういうつもりだ!? ビクトリア嬢が婚約者として不適格と判断されて帰国したとは聞いていたが……もしかしなくてもこれが原因だろうな」
「ええ、帝国皇太子の婚約者となるべき淑女が元婚約者からの恋文を受け取っているなんて有り得ませんわ。どうやらビクトリア嬢は随分とふしだらな女性のようね。あの王太子はそんな女性を好みだというなら、貞淑なブリジットでは合わないのは当然でしょう」
二人の話によると、ビクトリアは帝国で『皇太子の婚約者にふさわしくない』とされ国元に帰されたらしい。
落第者とされた令嬢が帰国しても針の筵だろうが、昼間の様子からはそんな風には感じられない。
よほど神経が図太いのか、理解していないのかどちらかだろう。
「あの阿婆擦れと猿王子がよりを戻そうが知ったことではないが、帝国がどう出るか……それが恐ろしいな」
「ええ、王族が皇太子の婚約者宛てに恋文を送るなんて前代未聞です……。あちらがどう来るかが恐ろしいですわ。万が一にでも開戦ということになれば武力で帝国にかないそうもありません」
「そうなったら阿婆擦れと猿の首を土産に国王陛下自身で謝ってもらうほかあるまいよ。自分の息子の不始末は親が責任をとらなければな」
両親が深刻な顔で話す様をブリジットは震えながら聞いていた。
もし、帝国が開戦を宣言したら……。
そうなったら国や人々はどうなってしまうのか、考えるだけで恐ろしくてたまらない。
無神経で思いやりのない男だとは思っていたが、まさか自国を危機に晒すほどの阿呆だったとは思わなかった。
王太子への怒りでブリジットは頭がおかしくなってしまいそうだ。
それに王太子の愛しの君であるビクトリアも同罪だ。
元婚約者から恋文が送られて呑気に喜ぶとか頭がおかしいのではないか。
愛し合う婚約者同士が無理矢理引き裂かれた、とかならまだ分かる。
だがビクトリアは自ら望んで婚約を解消し、帝国に行ったのだ。
王太子は「ケンリッジ公爵の命令で無理矢理ビクトリアを奪われた!」と勘違いしているが、それは違う。
実はビクトリアも父親同様に帝国の皇太子妃になることを望んだのだ。
我が国の王太子妃になるよりも、帝国の皇太子妃になった方が贅沢できると思った彼女は父親の公爵の案に乗り、婚約解消を申し出たのだ。
わりと社交界では有名な話なのだが、何故かそれを知らない王太子をブリジットは不思議に思ったがあえて訂正はしなかった。
言ったところで信じてくれそうもないし、逆にこちらが嘘つき呼ばわりされたら不快だからだ。
それくらい王太子はブリジットにとって一つも信用のできない相手だった。
帝国はこの国をどうするつもりなのだろう……。
そう考えるとブリジットは不安で押し潰されそうになり、その夜は一睡もできなかった。
「あのお花畑の猿王子が! 帝国に喧嘩売る真似してどういうつもりだ!? ビクトリア嬢が婚約者として不適格と判断されて帰国したとは聞いていたが……もしかしなくてもこれが原因だろうな」
「ええ、帝国皇太子の婚約者となるべき淑女が元婚約者からの恋文を受け取っているなんて有り得ませんわ。どうやらビクトリア嬢は随分とふしだらな女性のようね。あの王太子はそんな女性を好みだというなら、貞淑なブリジットでは合わないのは当然でしょう」
二人の話によると、ビクトリアは帝国で『皇太子の婚約者にふさわしくない』とされ国元に帰されたらしい。
落第者とされた令嬢が帰国しても針の筵だろうが、昼間の様子からはそんな風には感じられない。
よほど神経が図太いのか、理解していないのかどちらかだろう。
「あの阿婆擦れと猿王子がよりを戻そうが知ったことではないが、帝国がどう出るか……それが恐ろしいな」
「ええ、王族が皇太子の婚約者宛てに恋文を送るなんて前代未聞です……。あちらがどう来るかが恐ろしいですわ。万が一にでも開戦ということになれば武力で帝国にかないそうもありません」
「そうなったら阿婆擦れと猿の首を土産に国王陛下自身で謝ってもらうほかあるまいよ。自分の息子の不始末は親が責任をとらなければな」
両親が深刻な顔で話す様をブリジットは震えながら聞いていた。
もし、帝国が開戦を宣言したら……。
そうなったら国や人々はどうなってしまうのか、考えるだけで恐ろしくてたまらない。
無神経で思いやりのない男だとは思っていたが、まさか自国を危機に晒すほどの阿呆だったとは思わなかった。
王太子への怒りでブリジットは頭がおかしくなってしまいそうだ。
それに王太子の愛しの君であるビクトリアも同罪だ。
元婚約者から恋文が送られて呑気に喜ぶとか頭がおかしいのではないか。
愛し合う婚約者同士が無理矢理引き裂かれた、とかならまだ分かる。
だがビクトリアは自ら望んで婚約を解消し、帝国に行ったのだ。
王太子は「ケンリッジ公爵の命令で無理矢理ビクトリアを奪われた!」と勘違いしているが、それは違う。
実はビクトリアも父親同様に帝国の皇太子妃になることを望んだのだ。
我が国の王太子妃になるよりも、帝国の皇太子妃になった方が贅沢できると思った彼女は父親の公爵の案に乗り、婚約解消を申し出たのだ。
わりと社交界では有名な話なのだが、何故かそれを知らない王太子をブリジットは不思議に思ったがあえて訂正はしなかった。
言ったところで信じてくれそうもないし、逆にこちらが嘘つき呼ばわりされたら不快だからだ。
それくらい王太子はブリジットにとって一つも信用のできない相手だった。
帝国はこの国をどうするつもりなのだろう……。
そう考えるとブリジットは不安で押し潰されそうになり、その夜は一睡もできなかった。
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