貴方といると、お茶が不味い

わらびもち

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二度目です

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「レオナ、お帰りなさい。……随分と早いようだけど、もしかして?」

「ただいま戻りました、お母様。ええ、お察しの通りです。婚約者同士の交流茶会に、部外者のスピナー公爵令嬢がいらっしゃいましたわ」

 母は扇で口元を覆い、目を顰める。
 そして私と同じように大きなため息をついた。

「本当に、ふしだらではしたないこと。それを受け入れるロバス子息も非常識だわ。ああ、レオナ、さぞかし不快な思いをしたでしょう?」

「ええ……。仲睦まじい様子の二人を眺めながら飲むお茶はあんなにも不味くなるものですね」

「ええ、ええ……そうでしょうとも。それにしても随分と当家の娘を馬鹿にしてくれること。これで……。約束通り婚約を破棄させて頂きましょう」

「ああ、やっとですね……。それにしても、本当にやらかすとは思ってもみませんでしたわ」

「国益の為だからこちらは我慢せざるを得ない、と足元を見られているのよ。いくらこちらの方が身分が下だからといって、そこまで馬鹿にされる筋合いはないわ。あちらは公爵家、こちらは侯爵家、だけど当家は王妃殿下の生家よ。国母の外戚である我が家が他家に蔑ろにされる筋合いはこれっぽっちもないの。……今日の件はわたくしから旦那様に話を通しておきます。レオナはお部屋で休んでいなさい」

 意気揚々と父の執務室に乗り込む母の背中が眩しい。
 華奢な背中が随分と逞しく見える。

 お言葉に甘えて部屋で少し休むことにした。
 婚約者と逢瀬は精神的な消耗が激しいので、毎回毎回帰ってくるとぐったりしてしまう。

 人は他人から非常識な行いを受けるとこんなにも消耗してしまうのだなと知った。
 それを分かっていながらわざわざ受けにいくのだから、その消耗は相当なものだ。

「ああ、でも……これでやっと、あの人達から解放されるのね……」

 長い間苦しめられてきたものからやっと解放される。
 その安堵からホッとした私はそのまま眠りについた。
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